新学期に見てほしいホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は新学期に見てほしいホームページと題しまして、これからインターネットを 活用していく上で知っていても損はないと思われるページを紹介していきます。特に、 教育系の情報を収集・発信しているところや検索できるところが中心となります。本連載では、2000年5月号の「初心者の先生必見のホームページ」や2000年8月号の「検索サービス紹介」などが関連した内容となります。
 平成14年度は、新学習指導要領の施行により、先生方にとっては、かなり大変な新 学期スタートとなるのではないかと思います。文部科学省(http://www.mext.go.jp/) や、各教科書会社のサイトをはじめとして、多くのサイトからも新指導要領に関連する情報が公開されています。本連載では、2002年3月号(総合的な学習の時間)や2001年10月号(情報科)で紹介しています。本来はこの話題を取り上げようかと思いましたが、すでに各学校においては基本的な部分は詰めている段階と思いますので、今 回のテーマとしました。
 以前紹介した ものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください。

新学期に見てほしいホームページ紹介

Eスクエア・プロジェクト
http://www.edu.ipa.go.jp/E-square/
 このサイトからは、インターネット利用教育のための様々な情報が発信されていま す。内容は、インターネットの導入に関することから実践までをカバーしており、イ ンターネットを利用した授業を行おうという先生方には一度は見てほしいサイトです。 本連載で一度紹介しているサイトですが、その時よりもさらに情報が充実していまし た。
 「授業実践例検索」では、校種・教科・地域などやキーワードで、インターネット を利用した授業実践例(約900件)に検索をかけて参照したり、授業情報システムと して登録された授業(約500件)の学習指導案や授業実践風景などの写真や作品例等 を見ることができます。「学校ヘルプデスク」では、ソフトウエアやハードウエアの 使い方や教育関連の問題を質問したり、これまでの内容(回答)を見ることもできま す。また、「教育用画像素材集」として、様々な画像や動画をダウンロードできます。 非営利な教育目的での利用に限り、無償で供与・複製・加工・二次的利用ができるそ うです。他にもリンク集や各種ガイド等が提供されています。

教育情報ナショナルセンター
http://www.nicer.go.jp/
 教育情報ナショナルセンター(NICER)は、インターネット上にある日本の教育・学 習に関するあらゆる情報を収集し、体系的に整理していくことを目標として、平成13 年8月31日に開設されました。ポータルサイトとして既存のWeb上の情報を整理してい くだけでなく、データベースやソフトウエアの開発事業等も行っています。教育関係 の情報を探すのにも大いに役立つサイトです。
 このサイトは「こども」「おとな」「せんせい」に分かれて提供されており、それ ぞれについて内容や表示順序が若干異なります。子ども用では、文章にふりがなが振 られていたり、子どものためのページへのリンクが提供されています。大人用では生 涯学習等に関係の深いものが先に来ています。その他の内容は基本的には共通です。
 「インターネットで学習しよう」としては、Web上の情報等を漢字の学習度合いに 合わせてひらがな表記に変更する漢字かな変換や、日本史の教科書を年やキーワード で検索して表示する日本史データベース、農業や人口などについて調べることができ る社会科統計情報の教材が提供されています。「教育関連ウェブページの検索」では、 カテゴリやキーワードで現在インターネット上に公開されている教育系Webサイトを 検索することができます。「学習支援ソフトウェア」では、日本国内の任意の場所の 地図を生成できるJ-MAPPYをダウンロードして利用できるようになっています。「学 校運営・授業計画支援ツール」として、学習用の素材データベース、授業に使えるソ フトウエア、校務文書のフォーマット、年間授業時間割案作成支援ツールが提供され ています。「教育関連データベースの検索」は、教員向けの助成情報や文教行政情報 検索などのデータベースが用意されています。中には、ユーザ登録をしないと利用で きないものもあります。
 今後は、教育情報の中心地となっていくことでしょう。3月にリニューアルオープ ンを予定しているとのことで、内容の充実が非常に楽しみなサイトです。

TOSS INTERNET LAND
http://www.tos-land.net/
 このサイトは、教育技術法則化運動に関わってきた多くの教師の実践によって創ら れつつあるインターネット教育情報システムとのことです。より速く、より役に立つ、 無料の教育ポータルサイトを目標に、現在かなり多くの授業実践が紹介されています。
 内容は、授業実践データベースのようになっており、各教師が実践例等を載せたホー ムページを作成し、その情報をこのサイトに登録しています。執筆時点での登録数は 9365件とのことで、かなり数にのぼっています。実践を分類整理しているカテゴリと しては、授業・教科等、総合・教科外学習、教師修行・実践交流、家庭、子ども、TO SS外有益情報、TOSSコミュニティがあり、その中にさらにサブカテゴリ(例えば教科 名)があります。それらを選択したりキーワード検索をかけることで、授業実践を探 すことができます。各実践には固有の番号がふられていて、番号からも検索をかける ことができます。検索すると、登録されている実践のリスト(タイトルと紹介文)が 出てきますので、そこから各実践のページを参照することができます。

学習研究社による「elgreen」
http://www.elgreen.com/
 このサイトは、教育ポータルサイトとのことで、「教育」をキーワードに、インター ネット上の役に立つ情報だけを厳選し、分類しています。サイトの収集、分類、評価 は、専門のスタッフが直接サイトの内容を確認した上で行っており、収集されたサイ トには不適切な内容は無いそうです。
 提供している情報は、「教師」「子供」「親」「総合」という利用者ごとのページ に分かれています。Web上の教育に使えそうな様々なサイトが登録されており、教科 ごとや総合的な学習、教育行政、企業、オンライン学習システム、インターネット図 鑑・美術館、学校のホームページ等のカテゴリから探したり、キーワードで検索をす ることができます。利用者のページによって、カテゴリの名称や並び方、そして検索 結果が変わってきます。子どものページでは、例えばカテゴリの名前もよりわかりや すく構成されています。登録されているサイトはかなり多く、検索結果にはオススメ 度の星やページの概要が付記されていて内容を把握しやすくなっています。
 また、「今日は何の日」では、その日におきた過去の出来事や今日生まれた有名人 が紹介され、あわせて関連したリンクが提供されています。例えば野球にまつわる日 だった場合は、セリーグの公式サイトや野球博物館、有名人がサッカー選手だったら サッカーのサイトなどがリンクされます。「今週のランキング」として、1週間でア クセス数が多かったものがベスト10までリストしています(各利用者のページごと に異なります)。「オススメクラブ」では、様々な職業の人たちから、それに関連し たテーマにもとづいて、オススメページ(第3位まで)が利用者ごとに紹介されてい ます。
 このように、さまざまな形でWebサイトのリンクを提供していることが特徴的で、 参照するきっかけを与えてくれるサイトです。

NTT-Xによる「キッズgoo」
http://kids.goo.ne.jp/
 有名な検索エンジン「goo」の子ども用です。小・中学生のためのサイトとして、 興味のあることや学校の勉強について調べたり、マンガやクイズで遊ぶこともできま す。内容は、検索エンジンの「キッズgooサーチ」と、いろいろ遊べる「キッズgoo島」 のふたつから構成されています。
「キッズgooサーチ」では、キーワードとジャンル別の検索が用意されています。子 どもたちが安全にインターネットを楽しめるように、独自のフィルタリング技術(有 害リストと優良リストの併用)を用い、不適切だと思われるページや有害な言葉が含 まれるページは表示しないようにしています。また、「キッズgoo」以外のページに 飛ぶ瞬間に、もう一度、このフィルタリングを適用し、有害コンテンツを含むページ は表示をストップさせます。
 「キッズgoo島」では、モノシリ島やヨノナカ島などのいくつかの島に内容が分か れていて、虫と遊ぼうや恐竜の世界、ぼくらの町のはたらく車、インターネット早わ かり サイエンスクイズ、ペーパークラフトのダウンロードなどの子どもが楽しめるコンテ ンツが用意されています。

ED-eyes
http://www.ed-eyes.com/
ED-eyesは、新潟県内で教育関係者等の協力のもとに組織されたサークルです。こ ED-eyesは、新潟県内で教育関係者等の協力のもとに組織されたサークルです。この サイトは、Web上に掲載されている教育関連情報(全国各地の教育関連ニュース、都 道府県の動き、コンクール等の募集)などを収集し、土日祝祭日を除く毎日発信され ています。全国的な情報だけでなく、都道府県の情報も扱っている点が特徴的です。 これらの情報は日刊と週刊のメールマガジンでも提供されています。
@ホームページには、その日の情報を、ニュースと全国Web情報、エリア情報に分けて 提供しています。「ニュース」は、注目の教育情報ひとつについて内容を提示し、参 考サイトへのリンクを提供しています。「全国Web情報」は、官公庁、団体のサイト で更新があったものについて、そのタイトルとリンクを提示しています。「エリア情 報」は各都道府県の情報(都道府県サイトからのニュース等)を提供しています。 「ニュース日報」では、これまでのバックナンバーを参照することができます。
 また、「新潟教育通信」では、新潟の教育の最新情報を得たり、教育系の人事情報 や学校ホームページなど、充実した内容となっています。

自薦他薦のホームページ紹介

新潟県高柳町立門出小学校「山の子村」
http://www.kisnet.or.jp/~kadoide/nakamura/yamanoko/
 自薦して頂いたページです。この小学校は、「山の子村」という総合的な学習を行 っています。普段は身近すぎてあまり自然に興味をもっていない子どもたちが、彼ら の持っている知識を洗い出し、それぞれを体験することを通して彼らの生活の中で培 ってきた知を結び付け、知の総合化を図ることを目的としたそうです。2級へき地複 式校の挑戦という副題がついています。
 「山の子村」の実践では産業を興し村を活性化させるために、様々な活動に取り組 んでいます。手作業による田植え、和紙でつくった座布団に座り、畑でつくった野菜 を漬物にし、自分たちの手で焼いたお茶わんや自分たちで作ったはしを用いて、自分 たちで作ったおこめを食べています。このページでは、その実践の体験記や作品等が 提供されています。
 これらの取り組みは、地域の人々を師匠として迎え、お米作りや和紙づくりなどの 専門的な部分を支えてもらっていることが特徴的です。地域の人々の知恵や技術の恩 恵を受けて実践が進められている様子が伝わってきます。

おわりに

 今回は新学期に見てもらいたいホームページを紹介しました。
教育関係の情報を収集・発信し、そこに行けば大抵の情報を得ることができるという ポータルサイト的なものが増えてきました。教育関係の実践についても、少しずつデー タベース化されてきています。特に「Eスクエア・プロジェクト」に加え、昨年度新 たに開設された「教育情報ナショナルセンター」は、その充実度からも今度の動向が 気になるところです。
 また、子どもたちがWebを使う実践が今後さらに増えてくるでしょうが、そのため の環境もWeb上に整備されつつあります。漢字ひらがな変換に代表される機能と、安 全なブラウジングのためのフィルタリングを実装した検索サイトです。もちろん、コ ンテンツ自体が子ども用として作られていないと漢字を変換するだけでは足りないか もしれませんが、既存のWebをいかに子どもたちに見てもらうかという部分が整備されつつあると感じます。

自薦・他薦のホームページ募集中:ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
バックナンバーのページ:http://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/


Return to:
  ホームページ紹介バックナンバーリスト


ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jp