岩手県立大学ソフトウエア情報学部助手 市川 尚
ホームページは個人レベルで情報発信できるため、日々の変化がとてもはげしく、その数があまりにも多いので、非常に雑然としています。トップダウンではなくボトムアップ的な発信ですから、すべての情報のありかを誰も把握できていません。自分の目的にあった情報も多数あるでしょうが、逆に今自分にとって全く必要のない情報がほとんどです。
Web上には、目的の情報が載っているホームページを探し出すためのサービスを提供しているサイトがあります。それらを総称して、検索サービス(サイト)や、サーチエンジンなどと呼びます。すべての情報を網羅して、誰にでも使いやすい万能の検索サービスは存在せず、さまざまな特色を出した検索サービスが登場しています。それぞれ一長一短があるため、私たちは情報を見つけるために、これらの検索サービスを選択し、使いこなす必要があるのです。
検索サービスは、下記の4種類に大別されます。
(1)全文検索型(ロボット型)
ホームページ上の情報(全文)にキーワードで検索をかけて、該当したホームページを検索結果として表示してくれます。あらかじめ各ホームページの情報を自動的に収集してデータとして蓄積しておき、そのデータを使って検索を実現しています。また、検索対象の選択、キーワードの種類の選択、絞込み検索(AND)などの応用的な検索機能によって、使い勝手が異なります。もちろん各検索サービスによって、検索システムが違いますから、同じキーワードでも全く結果が異なります。一般に代表的なものは、「goo」(http://www.goo.ne.jp/;図1)で、登録数の多さが好評です。また、「フレッシュアイ」(http://fresheye.toshiba.co.jp/)は、データの更新を2時間間隔で行い、新しい情報を検索できるという特徴があります。キーワードを入力するだけで結果が出てくるので、作業は楽ですが、結果が多数出て来る場合などは、そこから探すのが大変です(キーワードを工夫したり、絞込み検索などのテクニックが必要となります)。
(2)ディレクトリ型(カテゴリ型)
ホームページがカテゴリに分類・整理されており、その分類を選んでいくことで、目的のホームページを見つけていくというサービスです。分類の種類や多さ、登録の条件、そして登録数によって、同サービスでも差が出ます。主流は手動登録であるために、余計な情報が出てくることはありませんが、登録数が(全文検索型と比べて)少ないという短所があります。また、掘り出し物的なホームページが見つかることも稀です。分類された項目をたどっていく手間はありますが、リストにはページの紹介文がついている場合も多く、探しやすい面もあります。一般的に代表的なものは、「Yahoo!
Japan」(http://www.yahoo.co.jp/;図2)で、子ども版の「Yahoo! キッズ」も用意されています。他には、「iNet
Guide」(http://www.inetg.com/)などもあります。
(3)ポータルサイト
ポータルとは、正面玄関の意味です。Webを利用するときに、まず行ってみるサイトとなるように、普段から必要と思われる情報を集め、だいたいそこで情報が間に合うように設計されています。最新情報を把握できたり、関連するホームページを探したりもできます。上記で紹介した、「Yahoo!Japan」をはじめとして、最近の検索サービスは、こぞってポータル化してきました。ポータルサイトの定義はあいまいではありますが、一般に情報が充実し、更新が頻繁であるため、大変便利です。
(4)リンク集
ホームページを集め、リスト(一覧)しているところです。ディレクトリ型と概念的には似ていますが、それよりは登録数が少ないか、ひとつのテーマに特化したもの、カテゴリ分類の階層が浅いものをこう呼んでいるようです。リンク集には、登録数の多い大規模なものから、各ホームページについている小規模なものまでさまざまですが、リストしたページの概要が添えられていたり、用途にあわせてページを細かく分類しているところもあります。一方で、ただリストだけしてあるものは探すのに時間を要します。よいページを一番良くわかっているのは、その道の専門家でしょうから、その人が作ったリンク集は、充実したサイトが載っている場合も多いです。
これら4種類のどれが良いというわけではなく、利用目的によって一長一短があります。そして、例えば、ディレクトリ型と全文検索型の両方を備えているといった併用型も少なくありません。ポータルサイトは、ほとんどが他の検索サービスの進化形と見ることが出来ます。
検索サービスには、上記で示した大きな違い(検索型)のほかに、蓄積・登録している情報の対象範囲によって大きく異なります。対象は、ひとつの分野に対して(教育系のみ)や、全教科、ひとつの教科、子供用など、さまざまです。さらに、情報の蓄積量や、絞込み検索などの検索拡張機能、情報更新の頻度、他にも検索スピードや、表示方法などによっても、検索サービスの便利度は異なります。
ここでは、教育系の検索サービスに絞って、いくつかを紹介していきます。
●NTT東日本による「こねっとgoo」(http://www.goo.wnn.or.jp/;図3)
[全文検索型+ディレクトリ型]
検索されるページは、学習に役立つサイトとして厳選されたもので、有害な情報はなく、子どもでも安心して検索がかけられます。全文検索型の機能の他にも、検索するページを、施設別や内容別などの分野ごとに整理しており、ディレクトリ型との併用となっています。かなりの情報蓄積量で、便利なサイトです。
●学校専用検索システム自主研究グループによる「学校検索」(http://s4.jr.chiba-u.ac.jp/;図4)
[全文検索型]
教育系のホームページを検索する、全文検索型の検索サービスです。「インターネットと教育」リンク集(下記で紹介)の収録サイトを全文検索できます。特徴としては、校種などで検索対象を選択することができます。また、有害情報を検索する恐れのある用語を検索しない機能もついています。
●大阪教育大学越桐國雄先生による「インターネットと教育」(http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/educ/;図5)
[リンク集(教育全般)]
国内の主要な教育関係ホームページの膨大なリンク集です。過去・現在・未来の教育系のイベントをはじめ、学校のホームページ(校種・地域別)、図書館・美術館・博物館、教材資料や実践報告など、かなりの量がリストされています。特に、イベントの把握や、学校のホームページを探す際には重宝します。
●「JAPET検索エンジン&サイト集」(http://www.db.japet.or.jp/;図6)
[全文検索型・リンク集(教科別)]
小学校・中学校・高校の校種別で、さらに国語、社会、理科…の教科別に分類整理されています。リンク集には、一言ずつ紹介文が添えられており、ページ選択の際の参考となります。また、教科の中では、さらに国語なら、漢字、古典、作文、書道など、細かく分類されています。登録してあるページに対して、全文検索をかけることもできます。
●こねっとワールドの「教科別リンク集」
(http://konet.wnn.or.jp/cgi-bin/subject/search.cgi;図7)
[リンク集(教科別)]
教科別のリンク集で、対象(校種と学年)と教科を選択することで、該当するホームページのリストが出てきます。リストは、細かく単元ごとにわけられているため、授業で何か情報がほしいときなどは、目的のページをすぐに見つけることができるでしょう。
●飯國信行先生による「社会科リンク集」(http://shakai.edu.shimane-u.ac.jp/1192/index.html;図8)
[リンク集(ひとつの教科)]
社会科に関連するホームページだけを集めたリンク集です。公民・歴史・地理に分類され、その中でさらに細かく分類があります。他にも、学年の内容に即したリンク集や、「もの」に関したリストなどもあります。ほとんどの教科にはこのような、その教科だけに特化したリンク集が存在しますので、自分の担当教科のものは把握しておきたいところです。
●蔵満逸司先生による「小学校教師用教育関連総合リンク集」(http://member.nifty.ne.jp/KURAMITU/;図9)
[リンク集(ひとつの校種)]
小学校の教諭による、小学校のためのリンク集です。教師の視点に立って、安全指導、生き物飼育をはじめ、さまざまな項目で分類していますが、各教科の部分については、さらに指導案、実践記録等の分類があります。このような、ひとつの校種に関してのリンク集は、例えば学校のホームページなどでも見ることができます。
●株式会社教育総研による「JERFI」(http://www.jerfi.ne.jp/;図10)
[リンク集(子ども用)]
子どもが実際に使うことを意識したリンク集です。校種別に、教科だけでなく、スポーツやゲームなど、広範囲に渡った分類で整理されています。登録してあるものは、すべて子どもが安心して使えるものとなっています。
●Z会・(株)増進会出版社による「ED-News Magazine」(http://www.ed-news.com/;図11)
[リンク集(教育全般)・ポータル]
Web上の教育系の最新情報を見ることができるところです。全国の中学校ホームページの更新情報も載っています。また、サイトサーチとして、教育情報を分類したリンク集もあります。更新は頻繁で、常に最新情報がわかりますから、動向をとらえておく意味でも、毎回チェックしておきたいところです。
●NTT-Xによる「環境goo」(http://eco.wnn.or.jp/;図11)
[全文検索型・ディレクトリ型・ポータル]
環境サイトへの全文検索があり、検索範囲に様々な業種など、環境の分野を選択することができます。また、地球環境全般や、気象・大気・宇宙をはじめとするカテゴリ別に分類されたディレクトリ型の検索サービスもあります。エコワード別の検索では、用語解説と関連サイトへのリンクがあります。他にも環境に関する最新情報などを含めた環境ニュースやイベント情報、環境学習用教材などもあり、まさにポータルサイトと言えるでしょう。環境系の情報を探したいときや、興味があるときは、毎回まずここを訪れるとよいと思います。自分が情報のほしいテーマにこういったポータルサイトがあれば便利ですが、まだまだ少ないというのが現状です。
必要な情報というのは、その時に応じてまったく違いますから、検索サービスの特徴を把握して、効果的に自分で情報を探すことができるようになってほしいと思います。ひとつの検索サービスでは限界がありますから、数個を併用してみると良いでしょう。ここでは少ししか触れませんでしたが、各ホームページには、ほとんどの場合にリンク集がついており、良いページを見つけるにはかなり便利です。ひとつのページを見つければ、芋づる式に見つかる場合も多いです。また、自分の授業で利用したいサイトは、あらかじめ自分で小さなリンク集を作っておくということが必要な場合もありますから、良いと思ったら、忘れないようにブックマークをしておきましょう。
図1 「goo」
図2 「Yahoo! Japan」
図3 「学校検索」
図4 「こねっとgoo」
図5 「インターネットと教育」
図6 「JAPET検索エンジン&サイト集」
図7 こねっとワールドの「教科別リンク集」
図8 「社会科リンク集」
図9 「小学校教師用教育関連総合リンク集」
図10 「JERFI」
図11 「ED-News Magazine」
図12 「環境goo」
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