情報科関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は、平成15年度から高等学校で開始する教科「情報」(以下、情報科)に関連 したサイトを紹介します。本連載では、2001年10月に取り上げた内容であり、さらに 2002年11月号(著作権)、2002年10月号(セキュリティ)、そして2003年1月号(2005年の教室)も関連した内容となります。
 現在、平成15年度から始まる情報科に向けて、何をやるべきか教科書などを見なが ら頭を悩ませている先生方も多いと思います。また、一歩進んで、すでに前倒しで実 践をはじめているところもあります。
 情報科関連サイトには、教師個人や教育センター、教科書会社を中心に、先進的な 実践事例や指導案等が提供されています。プロジェクトとして情報科の教材を作って いるところもあります。また、情報科関連のサイトは、これまで培ってきた情報教育 における実践や、他にも様々なコンピュータ関連のサイト(例えば用語辞典やトラブ ルFAQ等)が公開されていますので、利用できるサイトは多いと思います。
 今回も、これまで取り上げていないページを中心に紹介していきます(以前紹介し たものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください)。

サイト紹介

佐藤先生による「情報科の先生になります」
http://www.hi-ho.ne.jp/yoshi-sato/joho/
 情報科に関連したサイトのリンク集です。情報科に関することで調べものがある時 には、ここを利用してみるとよいと思います。
 リンク集は、情報科の先生の視点でカテゴリ分けされています。「授業準備」には、 実習環境の整備や情報科の指導案・実践報告、教材作成用としてWeb作成支援に関す るサイトが紹介されています。「教材研究」では、情報科の理解を深めるためのサイ ト、教科書会社、情報モラルに関するサイトなどが紹介されています。「先生になる」 には、研修や講習、教職課程などのサイトが、「生徒向け情報」には、コンピュータ リテラシー教材や、統計データなどのサイトが紹介されています。各リンクには紹介 文が付記され、リンク登録数もかなり増加してきています。
 また、「実践例」として、サイト管理者自身による、選択授業の年間授業計画(主 にコンピュータ操作に関するもの)や、校内にLANを引くための解説として、LANのメ リットや問題点、設置方法などが提供されています。

関本先生による「教科「情報」の実践報告」
http://www.geocities.jp/okugake/
 情報Aをどう進めていくかをまとめながら、情報発信をしているサイトです。かな り詳細な指導案が提供されており、参考になる部分も多いと思いますが、まだ実施は していないとのことです。構想の段階から公開することで、さらによりよい授業を目 指している姿勢が伺えます。実施後は、反省・感想をそのつど記入していくとのこと です。
 年間予定は、前期が自己紹介の作成・クラス調べ・WEB情報収集・ポスター作成・ 職業大学調べ・前期期末考査、夏休み課題、後期がWEB作り・情報のデジタル化・マ ルチメディア作品・クラス文集CD・後期期末考査 となっています。それぞれ指導案と配布物が公開されており、教員が作成した作品例 もあります。全体の流れとしては、教科書を最初から順にするという形式ではなく、 最初はスキルの平均化(スキルのばらつきへの対応)や発表に慣れることを目標とし、 スキルがほぼ平均化したところで夏休み前の課題をさせて、後期につないでいくよう な観点から授業を構成しています。後期では、何かの作品を作るプロジェクトなどを 行うことになっています。

南先生による「はじめての「情報科」」
http://kminami373.hp.infoseek.co.jp/
 情報科の授業を前倒しで実施している普通科高校の取り組みを紹介しているサイト です。
 実践した授業については、情報Aに準じたもので、「実施計画」で1年間の流れを 見ることができます。これは2002年度に実施中のもので、実際の授業の様子は「授業 日記」から見ることができます。内容は、1学期に文字入力とワープロ(作品評価会 あり)、そして本稿で紹介する「ネット社会の歩き方」を利用した情報モラル(個人 情報)の授業があります。2学期はメールとWebの使い方、修学旅行先の調査と発表 、著作権についてとなっています。授業で利用した教材は「情報科の授業」で見るこ とができます。受講者対象に行ったコンピュータ利用経験に関するアンケート調査結 果の報告もあります。
 また、「情報教室整備」として、校内サーバの設定(Web、メール)や、クライア ント設定の説明があります。他にも、情報科ではありませんが、「Web化学」という 教材が作成・公開されており、この教材を利用した授業実践報告があります。

とんび先生による「教科「情報」DESK MEMO」
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Asagao/7759/
 情報Bに関する内容が中心のサイトです。特に、教科書の比較や利用アプリケーシ ョンについてまとめられています。
「教科書研究」では、平成15年度用に発行された情報Bの教科書9種類について、学習 指導要領に示されている単元ごとに各教科書のページ数を比較し、どの単元が重視さ れているのかを調べた結果が載っています。また、小単元ごとにページ数や解説項目、 実施項目、使用ソフトについて比較した表もあります。教科書の選定に際し、参考に なる部分もあると思います。
 「アプリケーション」では、情報A・B・Cの各単元について、ワープロ、表計算、 ブラウザ、メーラーなどのアプリケーションの利用頻度が、一覧表としてまとめられ ています。一般的にどの単元でどんなアプリケーションの利用を想定しているのかが わかります。
 また、「年間指導計画」として情報A・B・Cについての計画がまとめられており、 情報Bについては、関連した教材が「教材保管庫」にあります。

教科「情報」交流ページ
http://www.geocities.com/zyouhouk19/
 情報Aに関連した情報が中心ですが、特にコンピュータを利用しない実習のアイデ アが多く提供されていることが特徴的です。自分のメモのために作り始めたサイトと のことです。
 「年間指導計画」では、情報Aの単元計画と簡単な指導案が提供されています。実 習について内容を見ることのできるものもあります。実習は、コンピュータを使わな いで行うものが多く、その内容は「コンピュータを使わない演習案」としてまとめら れています。情報は正しい結果を導くかと題した数当てゲームや、情報のデジタル化 として方眼紙に文字をデザインするなどの案が紹介されています。
 「授業のアイデア」では、情報科の授業について思いついたアイデアが、数多く紹 介されています。アイデアは、情報とのつきあい方・統計・問題解決などに分類され、 例えば、人間はどれだけ間違うのかを確かめるために、200個程度のデータを手作業 で入力させて間違いがないかをチェックし、ミスを少なくするためにはどうするかを 考えさせるアイデアなどが提供されています。

岡山県情報教育センター
http://www.jyose.pref.okayama.jp/
 情報教育センターのサイトですので、情報教育関連の内容が豊富にあり、その中に 情報科に関連した資料も提供されています。「高等学校新教科「情報」関連資料」で は、情報A・B・Cの年間指導計画案と指導案、ワークシート等の教材が提供されて います。また、著作権関連資料や、情報科のQ&Aとして学習指導要領等の内容をま とめたものが提供されています。
 「ネットワークQ&A集(基礎編・管理者編)」では、基礎編として、ネットワー クの知識やLAN構築の方法、Windows 98のネットワーク設定などが解説されています。管理者編では、Windows NTを用いたネットワーク管理の方法やセキュリティについての解説があります。「校 内研修・教材作成テキスト、情報科」では、県内の学校向けに、パソコンの基礎基本 や表計算ソフトのテキストが公開されています。実際の授業での指導法や教材作成法、 校務支援のテキストもあります。
 「デジタルコンテンツ活用授業レシピ集」は、情報科用ではありませんが、デジタ ルコンテンツを活用した授業実践を行う際の指導案、コンテンツ、ワークシートが提 供されています。

啓林館「高校情報」
http://www.shinko-keirin.co.jp/kojoho/
 情報科の教科書が複数出版されていますが、その出版元の教科書会社から、情報科 関連の内容(教科書を支援する情報)が発信されています。教科書選択の際や教科書 を利用して授業を進める際には、一度のぞいて見るとよいと思います。ここでは、そ の一例として、啓林館のサイトを紹介します。
 「教科学習情報」では、情報科の授業実践例がいくつか紹介されています。また、 情報科に関連した論説や、情報・メディア産業(企業)からの提も載っています。 「教科書リンク集」では、情報A・B・Cの教科書の各章と節に関連したサイトが紹介 されています。フリーソフトやフリー素材集へのリンクもあります。
 「情報リテラシーWebコンテンツ」では、パソコンの基本操作から、Word(ワープ ロ)、Excel(表計算)、Power Point(プレゼンテーション)などのアプリーケーションソフトの使い方までが、動 画と静止画を用いて解説されています。また、情報科に関するさまざまな教育情報を 掲載しているメールマガジン「情報教育メール」を発行しています。

「ネット社会の歩き方」
http://www.net-walking.net/
 このサイトは、情報モラルを身につけるための教材集であり、授業で利用できるよ うに、教材・指導案・ワークシートが一体となって提供されています。児童・生徒が 教室で可能な限りリアルな情報社会との接触を体験し、ネット社会を安全に楽しく過 ごす知識を身につけることが目的とのことです。
 「学習ユニット」は、問題点を把握して考える学習をするためのアニメーション教 材です。校種別に用意され、個別学習用(解説あり)と一斉学習用(解説なし)があ ります。情報発信やコミュニケーション、ショッピング等で注意すべき点が、わかり やすく解説されています(アニメの中でまず問題場面に遭遇し、そのあとで解説が出 てくる)。さらにそれぞれに対応した「指導事例集」、「プレゼンテーション資料」、 「ワークシート」が提供されており、授業で活用しやすいように配慮されています。 実際に利用した「実践研究報告」もあります。
 また、「電脳商店街」は、オンラインショッピングの模擬体験を通じて、不適切な 商店の見分け方を学ぶことができる教材です。一通り買い物の操作をした後で解説が 出てきます。

「情報機器と情報社会のしくみ素材集」
http://www.dainippon-tosho.co.jp/mext/joho-kiki/
 このサイトでは、中学校技術家庭科と高校の情報科で扱われる、情報機器の構造や 仕組みをわかりやすく見ることのできる静止画や動画を提供しています。情報科では、 情報Bや情報Cを中心に授業で利用できると思います。文部科学省が実施した平成1 3年度教育用コンテンツ開発事業により、開発委員会が制作し、運営を行っています。
 素材の内容としては、コンピュータや周辺機器の外観・内部構造・動作原理、情報 の表現と量、ソフトウェアの役割、コンピュータやネットワークの応用、情報モラル 教育に関するものがあります。素材は、3DのCGで描かれていますので実物を見るより も、構造や動きがわかりやすいです。静止画と動画の2種類が提供され、例えばマウ スの動作原理であれば、実際に動画で一連の動きを見ることができ、そのうちいくつ かのコマが静止画として提供されています。素材の利用については、営利目的で利用 はできませんが、教育目的であれば、提供された画像を再加工することも一部の素材 で認められています。

おわりに

 今回は情報科関連のホームページを紹介してきました。前回の紹介時点よりは、情 報科についての発信が確かに増加してきていることを実感しました。
 情報科はまだ開始していないため、先行して実施しているところだけでなく、平成 15年度に入ってからの計画として指導案等を提供しているところも見られました。ア イデアを広く募集したり、コミュティ作りをしていこうとする姿勢はすばらしいと思 います。
 指導案に書かれていた授業内容を見ても、ただコンピュータ操作の学習や知識の詰 め込みに終始するというよりも、生徒に考えさせたり、グループ作業をさせたりする といった問題解決やプロジェクト的な実習を取り入れている例もありました。情報科 の授業は、コンピュータの利用にこだわり過ぎたり、ただの操作スキルの習得に終わ らないようにしてほしいと思います。
 情報科の開始が目前に迫ってきていますので、準備段階や来年度の実施の段階で、 今回や前回の紹介記事が少しで参考になれば幸いです。

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