著作権関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は、著作権関連のホームページ紹介です。本連載では、2000年11月号で取り上 げた内容であり、第2弾ということになります。また、先月のセキュリティ(情報モ ラル)関連のホームページ紹介でも関連したページを紹介していますし、教育用デー タ・ソフト紹介(2000年4月等)では著作権フリーの素材サイトなどを紹介してきま した。
 情報のデジタル化によるコピーのしやすさ、インターネットの発展による公開の手 軽さにより、自らが知らないうちに著作権侵害したり逆に侵害されたりする可能性が 増えてきました。特にホームページの作成・公開の際には著作権に留意する必要があ ります。
 著作権関連の情報は、著作権を管理している団体を中心に公開されています。発信 内容としては、著作権とはどのようなものかの解説や、著作権侵害となる事例のQ&A が中心となっています。
 今回もこれまでに紹介しなかったサイトを中心に紹介していきますが、本テーマを 以前取り上げた時の記事をご覧頂いてない場合は、そちらの内容もバックナンバーの ページ等で確認して頂ければと思います。

著作権関連のホームページ紹介

メディア教育開発センターによる「教育メディア著作権関連情報」
http://deneb.nime.ac.jp/
 このサイトには、教育の場でマルチメディア資源を活用するに際して、必要となる 著作権の処理作業等に関する基礎知識や関係法令等や助言を提供しています。教育の 視点からの著作権情報ですので、参考になる部分が多いと思います。
 「著作権情報」には、一般的な著作権情報だけでなく、教材開発・利用のための著 作権情報として、著作物を自由に使えるケースなどが解説されています。
「教材開発・利用に関する一問一答」では、使用が自由な著作物や、放送番組の録音・ 録画利用、市販されている著作物、外国の著作物等についての質問・回答が載ってい ます。
 「著作権利用情報」では、著作権関係団体の著作物使用申請・許諾書式例や、著作 権が消滅した著作者リスト(50音別分類)などがあります。
 「著作権処理相談」では、著作物の利用目的・入手元のメディア・種別・利用の形 態等を順次選択していくと、必要となる著作権処理をシステムがアドバイスしてくれ ます。

社団法人コンピュータソフトウエア著作権協会(ACCS)
http://www.accsjp.or.jp/
 このサイトは、コンピュータに関わる著作権について詳しく知ることができます。 ACCSは、コンピュータソフトウェアの著作権者の権利保護や著作権思想の普及活動を っている団体です。
 「ASK ACSS情報モラルを考える」は、著作権プライバシー相談室というタイトルがついてお り、何か著作権でわからないことがあった場合に役に立つページです。「テーマで探 すケースで探すQ&A」では、著作権についてテーマとケースの両方から質問項目を探 し出すことができます。例えばテーマを探すでは、ソフトのコピーやホームページ、 データベースなどのテーマごとに質問が分類されています。ケースで探すでは、一般・ 職場・家庭・学校・マスコミに質問が分類されており、例えば学校では、合唱した歌 をホームページで流すことやクラスのホームページを作る場面で注意するなど、教育 活動場面における質問が出てきます。著作権に関する質問は400件近く登録されてお り、かなり膨大なものとなっていますので、著作権で疑問に思ったことがあれば、ま ずここにあたってみるとよいと思います。他にも、相談をするためのフォームが用意 されている相談室や、情報モラルの問題を取り上げた特集、情報化社会を生き抜くた めの10か条などもあります。
 「まなびば」は、情報モラル教育についての情報を発信しているページです。「ど んな授業をしているの?」として、情報モラル教育を実践している学校の授業紹介や、 ACCSが行った出張授業の内容紹介があります。「よろず情報」には、中学校における コンピュータ教育および情報モラル教育に関する調査結果報告などが載っています。
 「著作権傷害事件」では、コンピュータに関連した著作権侵害事件のニュースにつ いて、1999年度からこれまでのものを参照することができます。また、「中古ソフト 問題」として中古ソフト販売をめぐる訴訟やQ&Aが載っています。

茨城県教育研修センター
http://www.edu.pref.ibaraki.jp/center/
 このサイトでは、教員向けに著作権の解説が提供されています。
 「教育情報」にある「情報モラル及びQ&A」では、著作権を中心とした情報モラ ルについて、全6章に分けた解説があります。その内容は、1)著作権の権利(著作物、 著作者及び著作者の権利)、2)著作権(複製権、演奏権、公衆送信権等)、3)著作権 (展示権、上映権等)、4)著作権を制限して,著作権者に許諾を得ることなく利用で きる場合、5)インターネット利用に係わる課題、6)まとめ、となっています。
 また、各回で説明した内容に関して、クイズ形式(Q&A)のような形で、学校にお ける著作物利用場面の問いとその解説が載っています。例えば、A先生がインターネ ットを利用し,ダウンロードしたプログラムを関係する多くの先生に電子メールで送 信した場合、公衆送信権の侵害に該当すると考えてよいのか等があります。著作権に ついて、正しい知識を持っているかを確認するためのチェックリストのような使い方 もできると思います。

日野先生による「著作権のひろば」
http://cozylaw.com/copy.html
 このサイトでは、著作権について1からしっかりと知ることができます。著作権に ついてほとんど知識が無い場合は、このサイトを見てみるのもよいでしょう。
 「著作権の基本!10項目」では、著作権法の基本理念や何が著作物なのか等、著作 権の基本的なことがやさしく解説されています。「著作権法の話」では、著作権法の 中身に関する解説が中心ですが、著作権の歴史なども説明されています。
 「身近な著作権の話題」には、Cマーク、CDジャケットの標示、引用のトラブル、 キャラクターといった話題や、インターネットにおける著作権知識の重要性、ホーム ページ上の注意点や、インターネットでの写真利用など、インターネットに関わる著 作権の話題もあります。他にも「著作権Q&A」として、結婚式の映画音楽や着メロの 著作権など、身近な著作権に関するQ&Aがあります。
 また、著作権を考える童話「絵は誰のもの?」も公開されています。童話を通して 著作権について考えることができ、文中で着目すべきポイントも解説されています。

社団法人著作権情報センターによる「コピーライト・ワールド」
http://www.kidscric.com/
 子どものための著作権サイトです。親しみやすいようにDr.スランプアラレちゃん のキャラクターたちと一緒に著作権を学んでいくようなデザインとなっています。
 「コピーライトってな〜に?」では、著作権とはどのようなものかをアニメーショ ンでやさしく解説しています。
「バーチャルタウン」では、学校・家庭・会社・インターネットという場面ごとに、 いくつかの著作権の話題がアニメーションで提供されています。例えば、学校であれ ば遠足のしおりや学芸会の音楽演奏、家庭であればお気に入りのMD作りやマンガの主 人公の絵をコピーすること、インターネットであればメールの顔文字などに関する話 題があります。
 「クイズ・コピーライト道場」では、著作権の知識を問うクイズが出題されます。 解答した後には、正解・不正解と解説が出るようになっています。
 執筆時点では準備中のコンテンツも多かったので、今後さらに充実していくものと 思われます。

亀井さんによる「著作権侵害の危機管理」
http://megumi.m78.com/copyright/
 このサイトでは、著作権侵害に関する事前の防止策と事後の対処法について解説さ れています。著作権自体の解説や侵害しないように注意すべき点を解説したサイトが 多い中で、自分が侵害に遭った場合の話題が中心という点が興味深いです。
 事前の防止策については、インターネット上にデータを公開する際の注意点が、文 章・画像・音楽に分けて提供されています。例えば、明確な著作権表示をすることや、 電子透かしを埋め込む方法、ホームページ上から画像ダウンロードを防ぐ方法などが 解説されています。
 事後の対応については、自分の著作物が無断で使用されていた場合の対処法や、自 分のサイトへの頂き物が無断使用されていたなどの対処法が載っています。
 他にも、「えっ、これも著作権侵害になるの?」として、知らずにうっかり著作権 を侵害してしまうような事例や、著作権に関わるコラムや寄稿なども公開されていま す。

社団法人日本音楽事業者協会
http://www.jame.or.jp/
 このサイトからは、著作権ではなく、特にホームページ等を作る際に著作権と共に 注意すべきことである肖像権についての解説があるサイトです。日本音楽事業者協会 は、音楽事業に関する知的財産の維持、管理及び保全を行っているところです。
肖像権は、他人から無断で写真を撮られたり、撮られた写真が無断で公表されたり利 用されたりすることがないように主張できる権利です。法律の条文にはなっていませ んが、数々の判例によって法的に認められています。
 このサイトからは、「肖像権Q&A」が公開されており、肖像権について詳しく知る ことができます。例えば、タレントの写真や映像を自分のホームページに使うことや、 有名タレントの肖像が雑誌で無断使用された場合などが解説されています。
 また、「一般論としての肖像権」として、肖像権とはどのようなものか(プライバ シー権とパブリシティ権の側面があること)が解説されています。

裁判所
http://www.courts.go.jp/
 このサイトからは、知的所有権に関する過去の判例が蓄積されたデータベースが公 開されていますので、世の中で実際に起きている著作権侵害の具体的事例を知ること ができます。
 ホームページ上にある「判例情報」から「知的財産権裁判例集」を選択することで、 過去の下級裁判所における知的財産権関係事件の判決等を検索・参照することができ るページへ行くことができます(最高裁判所の判例については、別途ページが用意さ れています)。また、「知的財産権判決速報」からは、最近の判例を検索することが できます。
 検索で指定できる絞り込みの条件には、任意の文字列や、判決日時、裁判所名、事 件番号、権利種別、訴訟類型があります。知的所有権全般に関する判例のデータベー スとなっていますが、絞り込みの権利種別の部分で、著作権の項目にチェックを入れ ておけば、著作権関連の判例のみを検索することができます。検索結果で一覧表示さ れる個々の判例では、その概要や判決、被告・原告の主張内容等を見ることができます。

おわりに

 インターネット時代になり、著作権はますます身近なものとなってきています。今 回紹介したサイトの中には、教育に関連した著作権情報を公開しているところがあり ました。特に教育活動場面の著作権Q&Aや、利用目的やメディア等を入力すると著作 権のアドバイスをしてくれるシステムなどは、役立つ部分も多いと思います。
 何か教材(例えばホームページ上で公開を考えているもの)を作るときに、自分で 作成した素材のみで構成すれば著作権を気にしないで済みますが、そうはなかなかい かないものです。例えば著作権フリーの素材を提供しているサイトも多くありますが、 利用する際はどこまでがフリーなのかを知るために注意書きに目を通す必要がありま す。他サイトへリンクする場合も基本的には自由かと思いますが、リンクの承諾が必 要な旨をホームページに記載していた場合は、許諾が必要となるでしょう。自分が利 用したいものが著作権を侵害しそうか否かを見極めていく力(著作権に関する知識) が、ますます必要となってきています。

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