市川 尚(岩手県立大学ソフトウェア情報学部助手)
今回は新学期特別編としまして,ご好評いただいている,授業で使えるデータ・ソフトのページ紹介の第3弾をお送りします.前回までの2回は,1998年9月号と1999年2月号で紹介しておりますので,バックナンバーもあわせてご覧ください.
ひとくちにデータといっても実に様々ですが,現在公開されているホームページ上には,教育に活用できるデータが豊富にあります.博物館のサイトをはじめとして,特定のデータを蓄積したWeb上のデータベースの公開もかなりの数にのぼってきました.各官公庁では,統計データが公開されていますし,企業からもその業界に関連するデータが公開されています.頻繁に更新しているところでは,最新のデータを得ることができます.また,各学校の子どもたちが分担して調査を行い,その結果得られたデータを公開する環境教育系のプロジェクトも多数あります.ものづくりの際には,素材データやテンプレートなどを公開しているサイトが有用です.
また,教育用ソフトウエアの場合でも,教員個人で公開しているもの,ソフト制作会社が公開しているもの,そういったソフトのデータを集めた2次情報サイトなどがあります.例えば教育センターの多くは,所蔵するソフトのデータベースを公開しています.前回の紹介のときは,ダウンロードしてから利用するソフトが提供されているホームページを紹介しましたが,現在ではWeb上でそのままできる教材もかなり増えてきました.
ソフトをダウンロードして利用する場合には,ウイルスの感染に注意する必要があります(教育用ソフトには少ないでしょうが).また,データ(素材)の著作権についても,必ず注意事項を参照し,フリーでない場合や,そういった情報が記載されていない場合には,承諾を得るようにしましょう.
●国立教育会館(http://www.naec.go.jp/;図1)
「国立教育会館教育情報データベース」では,教育に関する様々なデータを検索することができます.例えば,今回のテーマに特に関連するものとして,「教育用ソフトウェア2次情報」のデータベースは,ソフト名,提供元,学年,教科,機種別などから市販及び自作の教育用ソフトウェア検索をすることができます.「教育ソフト活用事例情報」からは,教科や学年,地域等から検索をかけることで,教育ソフトを活用した事例として,実践した学校の概要,目標やねらい,指導案,使用ソフトの詳細,授業の流れと生徒の反応などを参照することができます.教育ソフトを授業で活用する際は大変参考になることでしょう.また,特色ある授業実践校情報や,自作教材の活用事例情報についても,校種・学年・教科領域・地域などから検索することもできます.これらのデータベースでは,すべての校種(小・中・高・特殊教育諸学校)について,データが提供されています.
その他にも,高校転入学,いじめ問題,海外教育など多数の情報が公開されています.教育関係ホームページ検索システムも,機関や都道府県ごとの検索ができ,シンプルで便利です.教育関係の情報を何か探しているときは,まずここに当たってみるのもよいと思います.
●石井正子先生による「School Icons Club」(http://www.schoolicons.com/;図2)
このサイトでは,ホームページ制作のための素材を提供しています.タイトル通り特に学校に関連する画像素材が豊富です.学校のホームページを明るく楽しい雰囲気に見せたい場合などに,これらの素材が利用できることでしょう.素材の種類としては,アイコンやボタン,ライン,壁紙,などがあります.どれもそのままホームページに利用することができます.これらの素材に関して使用料はフリーのようですが,「ご利用上のお願い」に著作権のことが書いてありますので,良く読んでから利用してください.素材はかわいい絵柄のものが多く,特に小学校のページに合うのではないかと思います.
また,このサイトでは他にもスタディーツールとして賞状などのテンプレートがPDF形式で提供されていたり,クイズがあったりと盛りだくさんです.
筆者がホームページを作る際には,こういったフリーの素材を利用させていただいています.本誌にも毎回いろいろな素材がCD−ROMで提供されていますが,Web上にも素材集は存在していますので,私と同様にイラストに自信のない方は,利用してみるとよいかと思います.
●建設省国土地理院(http://www.gsi-mc.go.jp/;図3)
「地図と国土の情報」では,国土に関する各種データを参照することができます.例えば,全国都道府県市区町村の面積や,日本の主な山岳・沼地の標高など,地理的なデータが提供されています.「Kids
& family」では,子どもたち向けにも情報を公開しています.その中の「地図のいろいろ」では,数個の都市の国土地理院の地図が,数種類のスケールで提供されています.他にも,「こどもの地図と測量の相談室」や,「測量・地図ミニ人物伝」などもあります.
ここは各官公庁のサイトの一例として取り挙げましたが,他の各省庁でも,ほとんど例外なく統計情報が載っており,関連する教科などに活用できると思います.統計データですから,統計の授業にも使えることでしょう.
●調査プロジェクト
各学校が協力しあいながら,自分のところで調べたデータを提供しあうという様々なインターネット上のプロジェクトが行われてきました.例えば,酸性雨調査(http://pine.fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/acid/atop.html),Nox調査(国際環境プロジェクト;http://www.wnn.or.jp/wnn-s/project/index_f.html),積雪量調査(ユキダスプロジェクト;http://www.nice.or.jp/yukidasu/),植物の成長の観察(全国発芽マップ;http://fes.miyazaki-u.ac.jp/HomePage/kyoudoupuro/hatuga.html)などがあります.ひとつひとつの調査は小規模ながら,協力校全体を見ると,各地域が網羅された大変有用なデータ群となります.離れた地域の人たちを結んで共同学習ができるのもインターネットの利点です.こういったデータを調べるだけでなく,調べ終わってからも,データを基にして皆で議論をして知識を深めていったり,専門家の支援を受けながら科学的な貢献をしていけるようになればすばらしいと思います.
●三重県総合教育センター(http://www.mpec.tsu.mie.jp/;図4)
教育センターからの公開の事例として,このサイトを紹介します.「教育情報」にある「教育用ソフトウェアライブラリー検索」では,教育センターライブラリー室に保有する市販ソフトウェア、自作ソフトウェアが検索できます.同様に「マルチメディア教材データベース検索」もあります.また,「学習教材」として,マルチメディアデータを使った教材が複数提供されています.当然地元の三重県に関するもので,たとえば,三重県郷土学習資料集1998年度版(児童・生徒用)は,画像だけでなく,動画も参照できる教材となっています.
● 長谷川司さんによる「お星様とコンピュータ」(http://www2d.biglobe.ne.jp/~hasegawa/hoshi/;図5)
Web上で全世界の星空がわかる,星空のシミュレーションサイトです.指定した日時の,指定した地域の星空を表示してくれます.現在だけでなく,過去も未来の状況も見ることができますし,リアルタイムに表示することもできます.他にも,日の出、日の入、惑星の出没時刻を計算してデータ出力してくれますし,太陽の位置をシュミレートするものや,日食現象,月についてなど,世界的な星空に関するデータを表示してくれるサイトです.このサイトを理科の授業の中で利用して,子どもたちがシミュレーションを行い,グループで発見した内容をみんなで発表しあうことなどが考えられます.
今後の教育ソフトは,CD-ROM等よりも,こういったWeb上で利用・学習できるものが増加してくることでしょう.
●株式会社アドウィンによる「Edutainment World」(http://www.catalog.ne.jp/eworld/;図6)
現在市販されているエディテイメント・教育ソフトが検索でき,購入もできるサイトです.2月1日段階で,収録数が1800を超えているとのことです.教科別のカテゴリが用意され,またキーワードによる検索をかけることが出来ます.このサイトは無料の会員登録をすれば利用できます.ソフトの情報は,商品のスクリーンショットや,説明,対象学年などが表示されます.個人的に市販の教育ソフトを探しているときなどに活用できます.
自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/
図1 国立教育会館
図2 石井正子先生による「School Icons Club」
図3 建設省国土地理院
図4 三重県総合教育センター
図5 長谷川司さんによる「お星様とコンピュータ
図6 株式会社アドウィンによる「Edutainment World」
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