岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚
例年この時期は、年賀状関連のホームページを紹介してきましたが(2001年1月号、1999年12月号)、今回は年賀状を含みつつ、もっと範囲を広げ、冬休みをテーマとしました。内容としましては、クリスマスとお正月(年賀状、料理、伝統的遊び)に関するホームページ紹介となります。
年賀状のサイトについては、執筆時点では準備中のサイトが多かったものの、昨年度まで紹介していたサイトがほとんど存続しているような印象を受けましたので、過去に紹介したページも参考にしてください。
また、今回は取り上げませんが、他にも冬休みに関連しそうなことととして、年越しそば、除夜の鐘、大掃除、初詣、飾り付け、餅つき、スキー場の情報を提供しているサイトもありました。年末になってくると、今年の10大ニュースなども、新聞等のサイトから公開されることでしょう。年末年始特集と称したリンク集もたくさん登場すると思います(昨年度のものがたくさん確認できたので)。
今回も、これまで連載で取り上げていないページを中心に紹介します(以前紹介したものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください)。
●キャノンによる「2002年賀状作成おたすけサイト」
http://bj.canon.co.jp/otasuke/
2002年の年賀状作りに便利なホームページを集めたリンク集です。執筆時点では、2002年に対応したリンク集はここしか見つけることができませんでした。
リンク集は、「イラスト・筆文字」や「年賀状テンプレート」、「パソコン年賀状制作方法」、「宛名書きオタスケ」に分類して提供されており、年賀状に関連するホームページの種類がだいたい網羅されています。もちろん、2002年の干支である馬のイラストが無料でダウンロードできるページも紹介されています。
また、年賀状用無料素材として、「筆文字」や「イラスト」が用意されています。各イラストは、Windows用のbmp形式と、Macintosh用のpict形式の両方で提供されています。賃貸・営利目的ではない限りにおいて、フリーで利用できるとのことです。
他にも同サイトからは、例えば「ワールドクリップアート」のJAPANに正月用の素材が提供されていたり、「デジタルフォトワンダーラボ」では、パソコンによる写真入り年賀状の作り方が紹介されています。
●「みてみ亭」
http://home.intercity.or.jp/users/s/mite/
投稿型のイラスト(素材)提供サイトであり、投稿者ごとの部屋があります。かなりの数のイラスト作品が提供されています。
「2002年年賀状」には、短期の特集という形で、年賀状用のイラストが、数多く提供されています。例えば、2002年用に作成された(馬のイラストが入った)年賀状テンプレートが、作者別に提供されています。ポケモンやハム太郎のイラストが入った年賀状もあります。年賀状用素材として、馬イラストや文字素材も用意されています。また、印刷して折りたたんで作ることができるポチ袋のイラストも提供されています。
このサイトは、ほとんどのイラストが、wmf形式等のドロー系グラフィック(ベクタ画像)で提供されている点が特徴的です。「印刷素材の使い方」を読むと、画像へのこだわりが伝わってきます。
「みてみ亭について」には、作品の利用上の注意が書かれていますので、利用する場合は、必ず目を通すようにしましょう。各作品は、個人使用のみ可能とのことです。
●野上絢さんによる「クリスマス・キャロル」
http://freepages.cultures.rootsweb.com/~xmas/
このサイトはクリスマス・キャロルを通して、クリスマスやキリスト教のいろいろな話題を紹介しています。大変充実したサイトです。
クリスマス・キャロルについては、曲名順のリストだけでなく、推薦曲やよく聴かれる曲、思い出のクリスマスソングまで様々な形で紹介されています。各曲の紹介には、歌詞(訳)が掲載されており、MIDIでBGMが流れるものや、曲に対する解説が付記されているものもあります。「英語で歌おう!」では、歌詞のガイドに従って歌の練習ができます。
「クリスマス小辞典」は、クリスマスに関連する用語の詳細な解説があります。各用語の解説には、その関連項目や関連曲へのリンクも用意されています。さらに、サンタクロースのことを紹介した「サンタクロースのすべて」や、クリスマスに関連する映画を紹介した「クリスマス映画」、クリスマスの物語を載せている「クリスマスストーリーズ」、クリスマス関連の西洋絵画を紹介する「クリスマスギャラリー」など、どれもが読み応え十分の内容です。
●NORADによる「Tracks Santa Claus Website」
http://www.noradsanta.org/
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)では毎年、サンタクロース追跡プログラムを行っており、その情報が載っているサイトです。このプログラムは、40年以上も続いており、とあるお店がサンタクロースと話ができると宣伝した電話番号に間違いがあり、総指揮官のホットラインにつながってしまったことがきっかけで開始したそうです。英語だけでなく、日本語、フランス語など、各国の言葉によるページが用意されています。
「Our Radar」では、サンタ追跡プログラムの内容を見ることができます。世界中でサンタクロースが今どこにいるのかの印が地図上に表示され、さらにCGを利用した実況ムービー(日本語)を視聴することができます。執筆時点では昨年度のものでしたが、おそらく本年度も行われることでしょう。クリスマスにはこのサイトにアクセスしてみるのも面白いと思います。
また、「Santa」では、「サンタクロースは存在するのか、どうやって煙突を降りるのか等のサンタクロースに関する話題が紹介されています。
●紀文食品による「紀文・feel・site」
http://www.kibun.co.jp/
このサイトには、おせち料理について詳しく説明しているページがあります。「What's new」のページを下にスクロールしていくと、「紀文のお正月"おせち料理特集"」として、2001年版のおせち情報へ行くことができます(本誌が発刊される頃には、2002年のおせち特集があるかもしれません)。
「お正月ミニ知識」では、おせち料理がどのように始まったのかや、おせち料理の食材にどのような意味があるのかが説明されています。意味とは例えば黒豆なら、まめが丈夫・健康を意味する言葉なので、おせち料理として出すそうです。全部で14個の食材に対して、ひとつひとつの食材の意味を知ることができます。
「楽しくお重詰め」では、伝統的なお重の詰め方や、それぞれの重の意味が説明されています。遊び心を加えたり、自分流に盛り付けるアイデアも紹介されています。「お正月の写真大募集」では、お重詰めの応募写真を見ることも出来ます。
さらに、「お正月の準備」として、おせちの食材を買うときの注意事項も解説されています。
●雉鳴庵による「全国お雑煮お国自慢」
http://www.hoops.ne.jp/~chimeian/
瀬川写真事務所/雉鳴庵/登獏隊が主催する写真や料理等の統合サイトの中に、日本全国のお雑煮の情報を収集しているページがあります。投稿数は263件に上っており、すべての県の情報が出揃っています。
「全国お雑煮お国自慢」には、投稿された記事の内容が県別に紹介されています。これを見ると、地方や家庭によって、だしの種類や中身の具やおもちの種類などに違いのあることがわかります。それぞれの雑煮にも、その雑煮になった意味(例えば縁起を担ぐことなど)があるのだと思います。
また、投稿されたデータをもとにして、いくつかまとめられた情報が公開されています。「西日本分布地図」・「東日本分布地図」として、日本地図に県別で、具材と出汁の一覧とお餅の形色分けを記入したものがあります。さらに、「お餅・お雑煮考」として、お雑煮に使う具を分類したり、投稿の中から特筆すべき部分が紹介されています。投稿されたデータの「グラフ分析」もあります。
お雑煮だけでなく、年越しそばや鏡餅などの情報を収集する新企画もあるようです。
●Atelier Pandoraによる「百人一首「小町」」
http://www.komachi-web.com/
正月の遊びとして代表的な、百人一首に関する情報が公開されているホームページです。
「かるた遊び」では、百人一首の遊び方の種類や、覚え方が解説されています。きまり字(歌い出しから何字で歌を特定できるかの字数)による一覧もあります。これを見ると、同じ出だしの歌が多いことがわかります。
「百人一首」では、歌番号順に十首ずつ、百首すべてが紹介されています。各歌の紹介には、歌と詠み人、かるたの絵があり、歌を音声で読み上げてくれます。詠み人の詳細や、歌の意味などを説明しているものもあります。百首全部の一覧表や、上の句・下の句だけの一覧表も提供されています。
また、「オンライン百人一首」として、Web上で百人一首のクイズ(5択と10択)をやってみることもできます。覚えたかどうかの確認として使えそうです。さらに、百人一首の競技を楽しむことができるソフトも提供されており、フリーソフト版とシェアウエア版があります。
他にも、「古典文学館」や「源氏物語」の情報が載っています。
●「羽子板資料館」
http://www.tadi.jp/hagoita/
正月の遊びといえば、羽根つきをして負けたほうが顔に墨を塗るという風景が思い浮かびます。羽子板には、羽根つき用のものと、装飾用のものがあるそうです。このサイトは、装飾用の羽子板(押絵羽子板)のことがわかるホームページです。丁寧に説明されているので、わかりやすい内容となっています。
「羽子板歴史館」では、羽子板の歴史として、その起源や、時代の移り変わりとその中での歌舞伎との関わりが紹介されています。時代とともに、羽子板が多様化してきていることが伺えます。
「押絵羽子板小辞典」では、押絵羽子板を制作する課程が写真入りで解説されています。職人の技という雰囲気が伝わってきます。作り方もまた、時代とともに変わってきていることがわかります。
「羽子板と歌舞伎小辞典」は、その壱からその参まであり、羽子板の写真とともに、その羽子板に描かれた役者に関する歌舞伎のストーリーが紹介されています。ここに紹介されている羽子板は、どれも華やかで見ごたえがあります。
●大橋栄二さんによる「カイトピア」
http://www.kikimimi.ne.jp/www/eohashi/
正月といえば、昔はよく凧あげをしたものです。このサイトは、日本の伝統的な凧の写真を見ることができるWeb上の図鑑です。
「日本全国伝統凧大図鑑」では、北海道から沖縄までの日本全国の凧(約700点) の写真を見ることができます。地域別分類や凧作家・凧名の索引が提供されています。
また、「世界の凧絵」として海外の子どもが描いた凧絵や、「昭和初期の凧絵」、大橋さんの創作凧など、さまざまな凧が紹介されています。以前は「新春特別企画」もやっていたようで、縁起凧や鶴・亀凧、干支の動物の絵が入っている凧の紹介もあり
ます。
「たこ・タコ・凧Q&A」では、凧についての子どもたちの質問に答えています。光村図書出版の小学3年国語教科書の「たこたこあがれ」について担任の先生や父母からたくさんの質問が寄せられたので、その答えをまとめたそうです。
他にも、別サイトで「独楽大図鑑」を公開しており、日本の伝統的な独楽(コマ) と外国の独楽を約600点を写真で紹介しています。
本稿執筆は11月中旬でしたが、年賀状やクリスマス等のサイトは、ほとんどが準備中、もしくは放置状態でした。街に出ると、クリスマスツリーが飾られ、年賀状が販売されており、すでに年末の様相ですが、Web上では情報が早く伝わる分だけ、情報発信の開始時期は直前になっていると感じます。
また、検索にはひっかかるものの、ホームからリンクが張られていないページ(昨年度の情報)が多々ありました。季節限定であっても、アーカイブ化しておけば、有用だと思います。
今回は、正月の伝統的な遊び・料理のサイト等を紹介しましたが、年末年始は特に、 日本の伝統文化を振り返る良い機会です。Web上で見つけた授業実践としては、お雑煮比較や世界のお正月比較などがありました。伝統的なものには必ずそうなった意味があり、それを理解・尊重していくことが、今後の国際社会でも重要なことだと思います。伝統を少しでも理解してお正月を迎えられれば、いつもとは違った気分でお正月を過ごせるかもしれません。
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