英語科関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は、英語科関連のホームページ紹介です。本連載では、過去に2度、1999年6月号と、2000年12月号(小学校のみ)で取り上げています。
 英語科関連のページは、英語教師を中心にして、研究会、企業・団体、個人などから公開されています。発信内容としては、授業実践例や学習教材、リンク集、研究資料、資格試験情報などがあります。例えば授業実践例の中には、授業の工夫を紹介しているページや、インターネットを用いて国際交流(国際理解教育)をしているところなどがあります。学習教材には、英語問題の出題、文法等の解説、文学や映画・ドラマ等の日英の対訳、リーディング・リスニングができるもの等があります。インターネット上の共通語は英語ですから、世界中のサイトが教材として使えることでしょう。
 また、本稿では取り上げませんでしたが、英語独自学習法のページも数多くあり、独自の経験からの学習法や、英会話学校の比較、市販教材のおすすめなどが紹介されていました。
 今回も、これまで連載で取り上げていないページを中心に紹介します(以前紹介したものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください)。

英語科関連のホームページ紹介

●「Nory Koinuma's Junior High School English Teaching」(http://village.infoweb.ne.jp/~koinuma/)
 筑波大学附属中学校の肥沼先生によるホームページです。英語の教授方法や実践例が紹介されています。
 「入門期指導」・「コミュニケーション活動」・「イベント学習」・「LL指導」・「英語通信」・「文法指導」では、それぞれの指導(試み)の考え方や、目的、問題点、いくつかの実施例などが紹介されています。実施例には、活動の概要や指導内容、教材、生徒の作品などがまとめられています。例えば、「コミュニケーション活動」には、私は誰でしょうというクイズを生徒が個人で出題して残りの生徒がグループ対抗で答えを探す「Who Am I?」や、日本文化を英語でわかるように説明する「古畑−コロンボ活動」といった実施例が紹介されています。
 また、「プライベート」のページには、留学体験記やアメリカ大陸バス旅行記などがあります。他にも、筑波大学附属中学校英語科の紹介や、中学校教師が行う高校OCAの授業、研究協議の情報や学会・研修会の参加記録、著書紹介などもあります。

●高澤先生による「Tawashi's Room」(http://www.iris.dti.ne.jp/~takazawa/)
 中学校で英語の教師をされていた先生によるサイトです。「こんな英語の授業やってます」というサブタイトル通り、多くの実践例が公開されています。講師や研究発表のプレゼンテーションの内容も載せており、授業を行う上で参考になる部分も多いことでしょう。
 発信内容は、授業の作り方、評価・テスト、聞く活動、話す活動、読む活動、書く活動に分類されています。例えば、「ねえ、みなさん…」という自己紹介の実践や、「Play & Guess」という寸劇の作成・上演の実践、「Diary of Dreams」という絵つき日記を書く活動など、かなりの数の実践例が紹介されています。それぞれの実践については、内容の詳細な解説や、ワークシート(文字部分のみ)、まとめとして評価を行っての考察が載っています。生徒の作品を参照できるものもあります。希望で実際に利用したワークシートのダウンロードも受けてつけているようです。また、「実践的コミュニケーション能力って何かな」といった、新しい学習指導要領(中学校外国語教育)についての考察もあります。「雑記帳」には、授業の失敗談などが紹介されています。

●「西川俊朗のWEBPAGE」(http://member.nifty.ne.jp/nishikawat/)
 三重県立飯南高校の西川先生によるホームページです。高校における実践記録や生徒の作品、研究発表等が紹介されています。この高校では、中高一貫教育が実施されており、その実践の記録(発信型のTTの授業)が紹介されています。
 また、Debateへの取り組みとして、実践の流れとワークシート・ハンドアウトが紹介されています。「SpeakingおよびWritingへと発展させるReading指導の在り方」というDebateの授業の研究発表論文もあります。
 さらに、「国際理解教育」の実践もいくつか紹介されています。海外の高校生との交流についてや、「Internetを活用した英語学習」として、E-mailによる姉妹校との国際交流、Webを使った調べ学習、Webページ作成(作品も参照可)の実践が紹介されています。
 他にも、英語の本を読むことを走ることに見立てた「Reading Marathon」の実践、期末テストの問題の一部、高校と大学の連携授業、高校生の英語学習や英語教師のためのリンク集など盛りだくさんの内容です。

●Suzuki先生による「Nine Fields」(http://plaza.across.or.jp/~ysuzuki/)
 インターネットを英語教育で活用することに関する情報が載っている、高等学校の先生によるホームページです。
 「INTERNET IN ENGLISH EDUCATION」には、インターネットを活用した高校での英語教育についてまとめられています(以下に内容を紹介)。
 「学校教育でインターネットを活用する意義について」では、インターネット利用の問題点や前提条件、活用の意義などが考察されています。
「高校の英語教育で使えるウェブサイト〜リンク集」は、情報受信型と情報発信型の授業に分けれられたリンク集です。授業での活用をかなり意識して分類整理・解説されているので、使いやすいと思います。例えば、電子メールの交換の場合は、相手を見つける、無料メールアドレスを得る、電子メールの表現集を利用するといった手順ごとにリンクが提供されています。
 また、「インターネットを使った英語教育@小笠高等学校〜実践記録 (1998〜1999)」として、教科書の補足資料や補習で教材として使ったサイト、海外の人と電子メールを交換した実践記録などが紹介されています。

●日高先生による「中学英語がゼロからよくわかる本」(http://egao21.com/01/)
 このサイトは、1991年に出版された、「中学英語がゼロからよくわかる本」(絶版)のオンライン版で、中学英語の文法を学ぶことができます。
 学習範囲は、ローマ字やアルファベットをはじめとして、主語・動詞、Be動詞、一般動詞、複数形、代名詞、進行形、未来形、助動詞、There〜、命令文、感嘆文についてです。主に、中学校1年生から2年生の前半で習う内容が含まれています。本のタイトル通り、英語が初めての人でもわかるように、やさしく解説されています。内容は、解説文と練習問題が交互に出てくるような感じで、まず説明文を読み、練習問題で理解を深めていく形式です。他にも、実力アッププリント(テスト形式)とその解答や、最後の本番としての確認テストも用意されています。確認テストの結果はメールで送られてくるそうです。
 なお、ここで紹介したのは、無料で参照できるPart1の方で、続編のPart2は2000年に完成し、現在有料でCD-ROMか一括ダウンロードにて提供されています。

●佐藤さんによる「英語ボキャブラリー増強サイトWord Cup 2002」(http://www.t3.rim.or.jp/~tmnet/wordcup/)
 楽しみながら英単語力をアップさせてしまおうという目的で開設されたサイトです。基本的には、英単語の問題が出題され、それに解答していくことになりますが、サッカー風に味付けされているところが面白いです。
 「ワードカップ」には資格試験の頻出単語が、「ワードユース」には大学受験に的を絞った単語が登録されています。単語の難易度は各大会(ワードカップの年度等)で異なっています。予選リーグと決勝トーナメントが用意されており、世界の強豪チームと戦って、優勝することが目標となります。問題は、英単語を見て日本語で意味を答える4択問題が、数問ずつ出題されていきます。そして、正当数と相手チームの強さによって勝敗が決定されます。間違えた単語をメールで受け取ることもできます。
 また、学習履歴機能のついた「Word Cup for Members」もあり、登録をすると、過去の戦績(間違った単語等)が表示されるようになっています。さらに、iモード対応ページも用意され、いつでもどこでも学習が可能です。

●鳥山さんによる「大好き!マザーグース」(http://www2u.biglobe.ne.jp/~torisan/)
 このサイトは、映画や児童文学の中で使われているマザーグースを用例と共に紹介しています。マザーグースとは、英・米国の子供たちの間で古くから伝承されてきた童謡のことです。
 「MG辞書」では、98編の唄の訳と解説がされています。まず、唄(英語)があり、その後に日本語訳が続き、語句の意味や、唄の解説があります。「映画リスト」では、マザーグースが出てくる映画の一覧が提供されています。お気に入りのマザーグースがあったら、その映画を探して、実際に見てみるのもよいでしょう。教材としても使えるかもしれません。「テレビ放映」では、テレビで放映されるマザーグースが出てくる映画が紹介されています(今後も含めて)。なお、映画での用例は出版されている本で解説しているそうです。
 また、「マザーグースの散歩道」では、大修館書店の「英語教育」という月刊誌に連載したコラム(毎回1つの唄を取り上げて、映画等でどのように引用されているかを解説したもの)について、コラムの内容が読めるものや、関連サイトへのリンクがあります。

●ジャパンタイムズ社による「週刊ST」(http://www.japantimes.co.jp/shukan-st/)
 「週刊ST」という英語学習用の週刊誌(最新ニュースや映画・音楽、海外の大学等の記事がある)のサイトです。
 「ST News」では、ニュース記事(英文)と、記事の概要や語句の日本語訳がセットとなって、毎週2つずつ掲載されています。これらは、Real Playerでリスニングができるようになっており、普通の速さと遅い速さの2種類が用意されているので、自分のレベルに合わせて選択することができます。何も見ずにリスニングだけを試したり、英文を見ながら聞く事もできます。「Online Articles」でも、オピニオン記事がニュースと同様の形式で掲載されており、リスニング(普通の速さしかない)もできます。授業でもリスニング教材として使えるかもしれません。
 「Web English」では、インターネットで英語を遊ぼうと題して、毎回ひとつのサイトをとりあげて、サイトの概要や、サイトに行って何をすべきか、そして学習の要点が解説されています。ここに載っているサイトを授業でとりあげて、生徒にブラウジングさせてみても良いでしょう。

●足立先生による「岸和田っ子あつまれ!」(http://www.rinku.zaq.ne.jp/aquamarine/kids/)
 今回のテーマとは直接関係はありませんが、自薦のページとして、小学校の先生による教育系のリンク集を紹介します。大阪府岸和田市の小学校がこの夏インターネットに接続したことを機会に、教育に役立つホームページをまとめ、子供でも授業でも使えるページを作ろうと思い、ホームページづくりに挑戦したそうです。学校での授業や家庭での予習・復習などに使えそうなページが登録されています。
 リンク集は、各学年ごとやテーマごとに分かれています。リンクには、おすすめマークや各サイトの解説などが付記されているので、わかりやすいです。各学年ごとの分類には、そこで役立ちそうなホームページが教科ごとに整理されています。下の学年に行くほど、きちんと読めるようにひらがなで書かれ、解説の文章も簡単になっています。また、テーマには、本、環境、パソコン、国際、漫画、先生、学校、スポーツ、岸和田等があります。
 さらに、岸和田の図書館や博物館のイベント情報も紹介され、岸和田の子どもたち用のサイトとなっています。

おわりに

 以上、英語科関連のホームページを紹介してきました。
 インターネットという世界的なネットワークを活用して、E-mailのやり取りや英語のページ作成などの国際交流を行う事例があります。国際交流については、公開されている実践事例の内容や、E-squareプロジェクトのページにある「国際交流ガイドブック」(http://www.edu.ipa.go.jp/E-square/kokusai/)等が参考になります。
 また、Web上でマルチメディア情報が扱える利点を生かし、リスニングができるページが数多くありました。普段から英語に接することができるように、iモード用のページを用意している試みも興味深いです。リンク集は、英語教育という視点から海外の優良なコンテンツを整理しているものもあり、更新が期待されます。特に英語圏のサイト数は膨大ですから、リンク集の存在は重要であると思います。
英語科は、インターネットの利点をかなり生かせる教科と言えます。今後ブロードバンドが普及すれば、映像等を用いた教材や交流も増加してくることでしょう。

自薦・他薦のホームページ募集中:ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
バックナンバーのページ:http://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/


Return to:
  ホームページ紹介バックナンバーリスト


ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jp