小学校の英語関連サイトの紹介

 岩手県立大学ソフトウエア情報学部助手 市川 尚

 

はじめに


 今回は、最近注目されている小学校の英語関連ホームページを紹介します。インターネットの広がりによって、海外との情報のやりとりを直接手軽に行うことができるようになり、従来以上に英語を必要とする機会が増してきました。インターネット上では英語が世界共通語であるため、少しブラウジングをしただけでも、英語が目に入ってきます。
これまで英語教育は中学校や高校で行われていましたが、新しい学習指導要領では、小学3年生以上が「総合的な学習」の中で、国際理解に関する学習の一環として英語学習を行うことができるようになっています。さらに文部省は、「英語指導方法等改善の推進に関する懇親会」を組織し、今後の英語教育のあり方について検討しています。その審議会経過報告(http://www.monbu.go.jp/news/00000480/)によると、中学校の前倒しや教師が一方的に教え込むものではなく、子供たちが楽しみながら行うような形で実施すべきと意見が一致したそうです。現在、「小学校英語活動実践の手引き」を作成中とのことです。
本連載では、これまでに英語学習や国際理解教育の紹介をしてきており(1999年6月号1997年10月号)、その中でいくつか小学校の国際交流の事例も紹介しました。今回のテーマである小学校の英語と題しているページは、まだまだ少ないのが現状ですが、英語教育や国際交流の実践校がありますし、関連するものとしては早期教育的な場面での英語教育、国内外からの英語による子ども用のサイトなどが公開されています。今回は、そういった小学校での英語学習のためにヒントとなりそうなページを紹介していきます。

 

小学校英語関連のホームページ


Richard先生とWilliam先生による「GenkiEnglish.com」(http://www.genkienglish.net/gamemenuj.htm;図1)
 小学校の英語に関わる先生が個人的に公開しているページです。小学校の英語教師のためにこのホームページを作成したとのことで、教材、授業のネタの紹介など、小学校英語のアイデア満載のホームページです。内容は、文法を教えるものではなく、ゲームや歌を使って楽しく子供に英語を教える方法を紹介しています。
「授業で使える単語の復習ゲーム」や「会話の練習ゲーム」では、黒板やカードを使った授業の中で行えるゲームが紹介されています。対象学年が明記され、写真入りで解説されてわかりやすいです。ゲームだけでなく、それが飽きたときのネタとして、英語の本をつくるといったアイデアも紹介されています。1年間のカリキュラムや、教材を作成するために授業で使ってもよいクリップアート・音楽(Mp3ファイル)などもあります。「発音ガイド (声が出るページ!)」には、Web上で実際に音が出てくる数々の教材があります。「今月のビデオ」では、お知らせや実践の様子などがビデオで紹介されています。小学校の先生方に教える無料の日本全国ツアーをする予定でもあるそうです。

福井県三宅小学校(http://www.hokuriku.ne.jp/miyake-s/main/index.html;図2)
 「国際交流ねっと」では、この小学校における国際交流活動等の紹介が載っています。「小学校の英語情報BOX」では、英語学習のねらいや、国際理解・英語の歌・英語学習のための本のリストが載っています。「英語で話そう!!」では、"OK"などのいくつかの英語のジェスチャーが紹介されています。「国際交流活動の紹介」には、交流中のアイルランドの学校や国の紹介があります。「日本の家庭料理」では、各自が自分の家の料理を紹介しています。「わたしたちは特派員」では、国際交流クラブの児童が、ぼんおどりやお正月など日本の文化を、ビデオで紹介したり日本語だけでなく英語版のページで紹介しています。「アイランドクエスト」は,米国人と日本人の探検隊が沖縄や屋久島を探検することに、インターネット上から参加していこうというプロジェクトで、そのレポート等が載っています。
このように、小学校においても国際理解教育・英語教育が行われ、ホームページ上に実践をまとめているところがあります。今後、小学校のページでは、こういった情報を公開するところが増えてくることでしょう。

Harumi先生による「Teddy Bear Club」(http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6848/;図3)
 個人的に英語クラブを開いている先生のページです。各クラス(ベビー&キッズクラス、キンダ−クラス、プライマリークラス)ごとに、今月のレッスンの内容が紹介されています。また、ハロウィーン等のイベント紹介にも、その様子やそこで使われた道具の解説などがあります。その他にも、絵本を使った活動をはじめとして、各レッスンの内容が詳細に解説されています。自分の子どもに英語を教えた体験談や、各種英語教材も紹介されています。
小学校で英語を教えることを考えた時、こういった早期教育的な英語教育の内容も大変に役立つ情報だと思います。英語教室からの発信や、子育ての中で英語を教えた記録などもかなり公開されています。

外務省による「KIDS WEB JAPAN」(http://jin.jcic.or.jp/kidsweb/index.html;図4)
 以前、本連載でも紹介した「Japanese Information Network」のサイトの一部で、海外の子どもたちのために日本のことを英語で紹介しています。英語で書かれた絵本(かちかち山などの日本の童話)や、日本の料理の紹介、簡単な日本語の解説(音声あり)、折り紙などの日本文化の紹介、月間ニュース、子どもたちの絵など、大変充実したページとなっています。英語の学習としても活用できそうですし、国際交流の際に日本を紹介する上での参考ともなるでしょう。
 日本のサイトの中にも、英語で公開しているものは数多くありますし、海外で日本の文化を紹介しているページもたくさんあります。こういったサイトも授業に活用できそうです。

「Kid's Domain」(http://www.kidsdomain.com/kids.html;図5)
日本向けとしてではなく、アメリカの子供向けに海外で公開されているページです。発信内容は、子供用のゲーム、教材、アイコン、ダウンロードやプリントアウトできるものなど、さまざまです。「Holiday」では、誰かへのプレゼントを作るといった活動を行う上でのヒントが満載です。例えば、カードなどの作り方の手順が細かに解説されています。クリスマスやイースターなどでは、プリントアウトして楽しむもの(簡単なクロスワードなど)もたくさん用意されています。英語の授業でアメリカのイベント等をとりあげて活動したい場合などは、ここの教材を利用して、授業を展開してみるのもよいでしょう。「More Sites」では、さらに他から公開されている子供用のサイトなどに行くことができます。
 海内のサイトにも当然ながら、このような子供用の教材があるページなど(もちろん海外の子供向けですが)がたくさん公開されています。英語に関することですから、むしろ海外のサイトを探してみるのもよいでしょう。

NHKによる「えいごリアン」(http://www.nhk.or.jp/eigorian/;図6)
 NHK教育で放映されている番組「えいごリアン」は、総合的学習の時間に対応した, 国際理解のための英語番組です。このホームページには、番組の年間スケジュールや、出演者と出演キャラクターの紹介、2コマ漫画をはじめ、視聴者をサポートする情報が公開されています。「先生のページ」は、この番組を普段の授業で活用しようという先生を支援するページとなっています。「小学校英語Q & A」として全国の先生から寄せられた児童英語に関する質問に答えたり、「えいごリアン全文訳」では会話やナレーションをすべて英文のテキストと日本語の翻訳文にして掲載しています。「えいごリアン授業プラン」では、実際の授業をビデオで見たりもできますし、「小学校英語コラム」もあります。また、「子どものページ」には、番組の一部を動画で見て、聞き取りができるようになっています。

エイゴタウン・ドット・コム株式会社による「eigoTown.com」(http://eigotown.com/;図7)
 英語関連のポータルサイトであり、ここで必要な情報を探したり、英語を学習したりすることができます。英語教師のための情報も豊富にそろっています。「Teachers Room」には、英語の先生方への情報が揃っています。例えば、「英語教育ニュース」として、最近の英語教育に関連するニュースを知ることができます。「文部省公式発表」へのリンクや、検定試験などの「イベントカレンダー」、「英語教師のためのリンク」といったかなり膨大な英語関連のリンク集があります。他にも、「Daily Lessons」や「Weekly Lessons」など、日替わり週替わりの問題が出題されます(資格試験対策等)。ビジネス英語や留学に関する情報もあります。英語関連の情報を探したいときには、まずここを探ってみるとよいかもしれません。

國本和恵先生による「児童と英語教育 〜パソコンとインターネット〜」(http://www.urban.ne.jp/home/bisa/children/teachingchildren.htm;図8)
小学校の英語教育に関連したリンク集です。「小学校と幼稚園」では、英語のページを持っていたり国際理解教育や英語教育を行っている小学校や幼稚園や、文部省指定教育研究開発学校のホームページへのリンクがあります。

 

自薦・他薦のホームページ


藤田保先生による「たものホームページ」(http://www.dokidoki.ne.jp/home2/tamokana/)
学校で役立つホームページをテーマに作成したとのことで、今年の8月で来訪者数が10000件を越えたそうです。いろいろな視点から教育系のホームページをリンク(整理)しています。シンプルさの中にも、少しでも役立ててほしいという意図が伝わってきます。

京都府立綾部高校「綾部高校教育リンク集」(http://www1.kyoto-be.ne.jp/ayabe-hs/ayakoulink200004/index.html)
 本連載ですでに一度紹介済みの学校ですが、このサイトには、高校向けの教育リンク集もあります。かなりの件数がリストされていますので、先生のホームページ収集の参考になることでしょう。

自薦・他薦のホームページ募集中! ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/

図1 GenkiEnglish.com
図2 福井県三宅小学校
図3 Teddy Bear Club
図4 KIDS WEB JAPAN
図5 Kid's Domain
図6 えいごリアン
図7 eigoTown.com
図8 児童と英語教育 〜パソコンとインターネット〜


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