[戦略的計画と意思決定の演習2]
[背景]
S産業はギフト商品の製造と販売を行っている業者である。主力商品のびっくり箱は細かな設定が出来るのでギフト商品としてだけでなく、企業の景品などにも使用されている。
びっくり箱は、手持の在庫から販売できるように商品は前もって生産されているので、しばしは、期末に売れ残った商品の在庫を抱えることとなる。これらの商品は時期まで持ち越されるが、それには単位あたり200円の在庫費用が生じる。
S産業は現在、この商品に1,000円の価格をつけており、1期間あたり3,000個生産能力を持つ工場で生産し、販売している。同社の生産費分析によれば、単位あたり400円の変動費と、期間あたり100万円の固定費が生じている。
S産業は最近、自社の事業活動について調査研究を行い、価格が売上数量にどのような影響を与えるかを分析した。分析の結果、売上数量が、前期の価格の30%以上の値上げがない限り、提示される価格と前期の売上数量の影響を受けることがわかり次式であらわされることがわかった。
付加的売上数量=市場の平均価格×2,000,000÷(自社の価格×自社の価格)
潜在的売上数量=(前期の売上数量÷3)+付加的売上数量
注意:実際の売上数量は、潜在的売上数量と販売可能数量(当期の生産数量+前期の在庫数量)となる。
さらに、同社は売上高を大きく増大させるマーケティングプログラムに着手する方針を決めた。マーケティング・コスト分析が示すところでは、上記の式で計算される潜在的売上数量は、次の式で計算される要素を掛け合わせただけ増大する。
マーケティング・コスト要因=(1,000,000+マーケティングコスト)÷1,000,000
※少数のまま!! 四捨五入しない!!従って、潜在的売上数量’は、次式に修正される。
潜在的売上数量’=[潜在的売上数量]×マーケティング・コスト要因
例:
マーケットコスト10万円の場合、需要が1.1倍
マーケティングコスト100万円の場合 需要が2.0倍
マーケティングコスト0の場合は、需要1.0倍で変わらず但し、マーケティングプログラムを急激に変化することは、難しいのでマーケティングコストは、前期の±20万円以内の増減に制限する。
これらの分析の結果を踏まえ、今後の戦略と意思決定を行う。
新しく始めるにあたり、ゲームに先立ち工場の生産能力を以下のように変更できる。
3,000個から4,000個に増量:固定費110万円
3,000個から6,000個に増量:固定費120万円
(3,000個のまま:固定費100万円)各費用は次式で求められる。
売上高=価格×実際の売上数量
生産費=変動費+固定費
=(単位あたりの変動費×生産個数)+固定費在庫費=単位あたりの在庫費用×在庫数量
総費用=生産費+在庫費
利益=売上高−総費用
[手順]
4から6人で業界を作る。
基本戦略の検討:社長の立場で、今後の経営の戦略を立てる。
(工場の処理能力をアップするかどうかの決定も含む)
[基本戦略の検討]
社長として、今後の経営の戦略を各自立てる。
部長として、戦略に従って、工場の処理能力をアップするかどうかの決定、価格設定の方針、生産数量の方針、マーケティングコストの方針
係長として、価格の設定、生産能力の設定、マーケティングコストの設定
初回の前期価格1,000円、売上数量3,000個、在庫数量0個としてはじめる。また、前期の価格から30%以上の値上げはできないものとする。
[立場]
社長の立場:長い目で、会社が成長していくための基本戦略を立てる。
部長の立場:社長の立てた基本戦略に基づいて、具体的な戦略を立てる。
各期の生産量の方針:最大生産量の設定と各期の生産量の方針
価格方針の決定:平均価格の予想と自社価格の方針
マーケティングコストの方針:
係長の立場:社長、部長が決めた戦略に従い、各期の価格、生産量、マーケティングコストを決定する。
次期平均価格の予想
自社価格と生産数量の調整
マーケティングコストの調整
事務担当の立場:各項目の計算を正確かつ迅速に行う。
各期において次の1から11を繰り返す。
累計の利益を計算する。
グループでの順位を記述する。
価格の設定と生産量の意思決定にどのような基準で行ったかを記述する。
簡易計算ツール:http://ipshsv2.myk.iwate-pu.ac.jp/bgame/calc.php
ビジネスゲームを通して、感じてほしいこと。
社長って、どんな情報をもとに、どんな仕事をして、どんな情報を出しているのか?
部長・係長って、どんな情報をもとに、どんな仕事をして、どんな情報を出しているのか?
社員って、どんな情報をもとに、どんな仕事をして、どんな情報を出しているのか?