3D球体ディスプレイとスマートスタイラスの開発

近年,3次元空間における情報の提示方法として,複合現実(Mixed Reality; MR)が注目されている.しかし,MRには「専用ゴーグルを着用するため,face-to-faceコミュニケーションに向かない」,「多様な環境光において表示されるコンテンツの鮮明さが低下する」,「MR内のコンテンツを触ったり,操作したりする場合のフィードバックを得難い」という課題がある.本研究では,複数ユーザの視点に応じたコンテンツを提示可能(multi-view;多視点)な単眼プロジェクターによる3次元球体ディスプレイと直接フィードバックが可能なスタイラスを開発し,自然なface-to-faceコミュニケーションを目的としたシステムの構築を試みる.ここで,実装するスタイラスは,6自由度の方向からコンテンツを指し示すことが可能であり,ユーザに直感的なフィードバックを与える.また,映像提示に,運動視差(motion parallax)を採用することで,ユーザは3次元コンテンツを知覚可能であり,さらに単眼プロジェクターの映像にパースペクティブ補正(perspective-corrected)を施すことで3次元コンテンツを高精細に提示する.複数ユーザの場合,それぞれのユーザがアクティブシャッタ・グラス(active shutter glasses)を着用することにより,個別のシャッター周波数を用いて視点に応じた3次元映像を伝達する.この時,グラスのレンズ部分が透明であるためface-to-faceコミュニケーションを妨げない.