High Speed HMD Eye Tracking

視野欠損と呼ばれる眼疾患は,欠けた視野範囲を自覚することが難しいという特徴があり,自動車の運転や日常生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります.現在,視野の異常を自覚するためには視野検査を行う必要があります.これまで,視野検査には主観的な評価方法が用いられており検査結果の信頼性が問題視されていました.しかし近年,視線移動の変化から欠損範囲を推定するアクティブ視野検査が提案されました.しかし,この検査方法は頭部を固定する必要があったために被験者の身体的負担が伴う,課題が残されていました.本研究では,VR-HMD型高速視線計測機器を提案・開発し,課題の解決を試みました.健常者による性能評価実験の結果,1分以内の短い検査時間で姿勢の違いに影響されずに検査が可能であることが確認されました.今後,本研究の視線計測技術は医療分野のみならず中心窩レンダリング(foveated rendering)などのVR技術への応用が期待されます.