Visible Spectrum Eye Tracking

視線計測機器は,眼球運動と脳の高次処理の関係の解明や人の行動分析,コンピュータの入力手法などで実用化されており,現在においても,計測機器の高精度化と小型化が進んできています.本研究では,専用の視線計測機器を利用せずに,顔画像または動画像から視線方向を推定する手法を提案しました.提案アルゴリズムはまず,顔画像に対して3次元顔モデルを当てはめ,頭部姿勢を求めた後,その頭部姿勢を考慮して目領域を抽出して歪みを除去します.次に虹彩の形状を円で当てはめ,その虹彩の中心座標と頭部姿勢をもとに,頭部の変動に対応してPOR(Point-of-regard)を算出します.評価実験では,頭部姿勢を左右と上下に 5°刻みの±20°方向に変化させて視線計測の精度を求め,その結果,頭部姿勢の変化が5°以内で約 2°,±5~±20°では約 3.5°の視線計測精度を確保できることを確認しました. また,本アルゴリズムがPCやタブレット端末を用いた視線入力が十分に行えることも確認しました.