3次元人物姿勢推定手法の提案

人物の3次元姿勢はスポーツ科学における選手の技能の可視化やリハビリテーションの定量的評価に利用されています.従来,3次元姿勢を推定する方法としてモーションキャプチャやKinectがありますが,これらは推定できる範囲や人数に制約があり,利便性に課題があると考えられます.近年,これらの課題を解決するため,画像センシングのみによる手法が活発に研究されています.単眼カメラを用いた手法では,人物の3次元姿勢の情報を大量に格納したDBをもとに3次元姿勢を推定しますが,身長や腕の長さといった個人特有の姿勢情報が推定困難であるという課題があります.一方,ステレオカメラを用いた手法では,三角測量の原理に基づいた3次元計測により,個人差を含めた3次元姿勢の推定が可能です.  本研究では,ステレオカメラと画像中の複数人の2次元姿勢を推定できるOpenPoseを組み合わせて,広範囲において複数人の3次姿勢を同時に推定する手法を研究しています.現在,実験を通じて,7人の3次元姿勢を最大10mの範囲のなかで推定することが可能になりました.この技術を発展・応用すれば,例えばサッカーやバスケットボールなどの複数人が行うスポーツ試合における全選手の動作解析が可能になり,より詳細な試合の客観的分析が可能になります.