岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚
今回は、キッズ向けのホームページ紹介です。本連載では、はじめて取りあげるテー マとなりますが、連載の至るところで紹介してきましたし、特に関連した記事としま
しては、夏休みに役立つサイト(1999年9月号)や、学校ホームページの子どもたちの発信(2002年2月号)などがありました。
キッズ向けのホームページは、最初からキッズ専用として情報発信しているところ もあれば、一般向けサイトの中にキッズ用の情報を設けているところもあります。後
者の代表的な例は、各省庁や博物館のページなどがあります。発信内容としては、そのサイトで紹介しているものをキッズ向けにやさしく解説したもの、子ども用の安全
なサイトを集めた検索サイト、遊び道具(ゲームなど)を提供しているサイト、学習 用サイト、子ども相互のコミュニケーションを支援するサイトなど様々です。また、
子ども自身がホームページを公開している例もあります。
今回もこれまでに紹介しなかったサイトを中心に紹介していきます。以前紹介した 分につきましては、バックナンバーのページをご覧ください。なお、キッズ向けとありますが、小学生でもわかりそうなものと捉えています。
●小中学生向け検索サービス「KIDSPLAZA」
http://netplaza.biglobe.ne.jp/KIDSPLAZA/
子どもたちが安全にWebを利用できるように配慮している子ども向けの検索サイト です。管理者不明、営利目的、会員登録が必要、チャットなどの直接対話ができるサ
イトなどを除外しているとのことで、その基準は「保護者の方へ」から参照すること ができます。
検索方法は、キーワード検索と、分類から選んでいくという2種類が提供されてい ます。分類項目は一般の検索サイトに比べて子ども向けとなっており、ニュース、ス
ポーツ、ホビー、のりもの、テレビ・マンガ、生物、科学・歴史、生活があります。 それぞれにさらに下位の分類項目があり、「サーチMAP」からは、すべての項目を参
照することができます。また、登録されているサイトのリンクには、数行程度の紹介 文が付記されていますが、難しい漢字にふりがなをふっているなど、子どもたちでも
読めるような配慮がなされています。
子どもたちにブラウジングをさせる場合は、このような子ども向けの検索サイトを 起点とするのもよいと思います。
●J-students[小・中学生と高校生のサイト集]
http://irukaweb.com/jstudents/
このサイトは、小・中・高校生が作成している数多くのホームページの中から、内 容やデザインのすぐれたサイトを厳選して紹介しています。
登録されているホームページは、小学校から高校まで学年別に整理されており、各 ページへのリンク部分には登録日と簡単な内容説明が載っています。また、「セレク
ション」として、サイト運営者のおすすめホームページをピックアップして紹介して います。このサイトに登録される主な基準は、こだわりのコンテンツがあるかどうか
や、デザインが見やすいものになっているかどうかとのことです。自薦をするための 登録申し込みフォームも用意されています。
今の子どもたちがどんなページを公開しているのかを知りたいときには、ここから 見てまわるとよいと思います。子どもたち自身が利用するのであれば、まず自分と同
じ学年を見てみるのもよいでしょう。小学校低学年の子どもが公開しているホームペー ジもあり、ずいぶん小さい子どもまでもがホームページを持つ時代になったと実感させられます。
●サイバーキッズ共和国
http://www.cyberworld.ne.jp/kids/
子どもたち同士でコミュニケーションを行う場を提供しているサイトです。
「キッズページを作ろう」では、子どもたちが自分のホームページを作成できるよ うになっています。Web上から素材を選択して文字を書き込むことで、簡単にホーム
ページが作れます。絵を描いたり写真をのせたりできるアルバムや、日記を書いてい く機能なども提供されています。作成したページは、「キッズタウン」に登録して公
開することができます(事務局で審査を通る必要があります)。キッズタウンは、例 えばブルーベリータウンの2丁目3番地など、町の中にページが登録されているよう
な雰囲気になっています。
「コッキーズ広場」では、子どもたち同士でWeb上からメールのやりとりができる ようになっています。広場は、運動場や駄菓子屋さんなどのフィールドに分けられ、
各フィールドに登録している子どもたちのメッセージを見ながら、気に入った相手に メールを送信したり、メーリングリストで仲間同士でやりとりすることもできます。
また、「キッズ美術館」では、お絵かきのできる掲示板や、応募されたイラストなど が展示されています。
●Kids' Space
http://www.kids-space.org/
かなり歴史のある有名な子ども向けサイトです。トップページは英語版ですが、表 示を日本語に変更できます。
「キッズギャラリー」は、世界各国の子どもたちが描いた絵を展示しています。 「ストーリーブック」では、子どもたちによる創作話などが展示されています。毎月
素材が提示されて、その素材を利用して話をつくるものもあります。「まめの木」は、 子どもたちが互いに絵や話を作ってひとつの絵本を創作するページで、キッズギャラ
リーの絵に物語をつけたり、ストーリーブックの話に絵をつけるなど、各国の子ども たちの共同作品ができあがっています。「オンエアコンサート」という音楽作品を展
示しているページもあります。
また、kids' spaceの中でコミュニケーションに関連する部分を扱っているkids' Space Connection(http://www.ks-connection.org/)が別サイトとして運営されています
。英語版だけですが、「Penpal Box」としてE-mailペンパルをみつけるためのページ(個人用とクラス用がある)な どがあります。日本の子どもや英語の授業でも活発にペンパルの募集をかけているようです。
●総務省による「情報通信白書 for kids」
http://www.kids.soumu.go.jp/
情報通信に関することをしっかりと学ぶことが出来る大変充実したサイトです。子 どものために、4コマ漫画や紙芝居、アニメーションなどを駆使してわかりやすく解
説されています。
「インターネットの世界」では、インターネットとは何か、電子メールなどの各サー ビスの仕組み、インターネット接続の方法、使用上の注意、クイズなどが提供され、
インターネットに関わる基礎的なこと(仕組みも含めて)を学ぶことができます。 「モバイル通信」についても同様に、その仕組み等がわかりやすく解説されています。
「メディアミュージアム」では、メディアの歴史に関する解説(言葉・文字からイ ンターネットまで)や、現在の情報通信の利用状況についての統計資料、モールス信
号などを体験できるコンテンツが提供されています。
また、「クイズ&ゲーム」では、楽しみながら情報通信のことを学ぶことができま す。他にも、「情報通信業界で働く人々」の紹介や、「情報通信用語集」、これまで
届いた質問にたいする回答が載っている「情報通信Q&A」などがあります。
●株式会社オルカビジョンによるブロードバンドこどもチャンネル「ひらけごまTV」
http://www.hirakegoma.tv/
このサイトからは、5〜7歳児を対象にしたさまざまな番組(教材)が公開されてい ます。番組は動画やアニメーション(Flash)によって提供されています。
「やってみよっ!」では、デジカメでハムスターをきれいにとる方法や、カブトム シの取り方、マジックのやり方など、その道の名人がポイントを教えてくれる番組が
数多く提供されています。番組とともに、プリントしてやってみようとして、番組の 内容をまとめた印刷用ページが表示されるものもあります。番組は画面サイズが大き
く、見やすいものとなっています。
ひらけごまくらぶ提供の「アニメ」では、英語のアルファベットを学習するための 教材が提供されています。アニメを見ながら、A〜Zまでを覚えることができます。
「がくしゅう」では、国語・算数・英語の教材が提供されています。漢字の学習や算 数のかけざん、英単語を学ぶものなど、各教科5種類ずつの教材が提供されています。
また、「お☆さまのおつげです」では、星占いをやってみることができます。
●コドモウエブ
http://www.kodomoweb.net/
子どもが遊べるコンテンツが満載のサイトです。グラフィックがとてもきれいで、 デジタル世代のお父さんやお母さんが、 子どもと一緒になって遊べるサイトを目指しているそうです。
「とまとくんのいえ」では、部屋に置いてある物をクリックすると、いろいろな反 応(動きと音)を返してくれます。インタラクティブな絵本のようなものです。同様
に「たんけんたいのきち」では、ジャングルで動物を見つけたり、幽霊屋敷で幽霊が 出てきたりします。「いちごちゃんのへや」では、きせかえ遊びやキッチンレッスン、
英語のレッスンなどがあります。「メゾン・ド・バナナ」では、シルエットクイズな ど、親子で楽しめそうなクイズが提供されています。
他にも、子どもたちが応募してきたイラストが展示されている「びじゅつかん」、 パズルを楽しめる「パズルハウス」、ゲームが提供されている「うちゅうきち」、分
身の術を見破る「にんじゃのしろ」、占いができる「ヨコリーナのテント」、掲示板 のある「みんなのひろば」、とても小さい子用の遊ぶコンテンツを提供している「ベ
ビーハウス」などがあります。
●松下電器による「探検キッズ」
http://www.discovery.panasonic.co.jp/
子どもたちにアニメーションやさまざまな仕掛けを楽しんでもらいながら、総合的 学習に取り組んでいく構成になっているとのことです。全体は4つのコーナーに分か
れており、総合的学習の流れ(発想する→テーマを決める→探索する→体験する)に 沿って活用することができるそうです。
「たんけんに出発!作戦本部」では、
小さくなって家電製品の中に進入してその仕組みを知るミクロ大作戦など、さまざま な角度から暮らしを再発見するためのコンテンツが提供されています。「ひらめくア
イデア!大発見ワールド」では、小学校4年生くらいを対象に、面白く役立ててられ るようなホームページを集めたリンク集です。お気に入りのリンクを登録しておく機
能などもあります。「?がいっぱいふしぎの図書館」では、電気の不思議、水の不思 議など、身近な疑問に対するQ&Aが提供されています。「電気のナゾを追え!エレ
キはかせの研究室」では、家電製品が動く理由や、歴史、世界各国との比較、製品を 使ってできることなど、幅広く家電と暮らしについて解説されています。
●子ども知恵図鑑
http://chie.wschool.net/
このサイトでは、子どもたちが自分たちの環境活動などを報告したり、身近で見つ けた知恵などを紹介しあっています。そういった報告等を登録したり検索できるWeb
上のデータベースとなっています。このサイトを運営しているワールドスクールネッ トワークは、子どもたちに環境教育の場を提供しているNPO団体です。参加登録(有
料)すると、この図鑑に書き込みなどを行えるようになるそうです。閲覧だけなら無 料となっています。
知恵図鑑(データベース)はいくつかのプロジェクトごとに分かれています。「世 界の知恵」では、海外からの環境に関連した問題等が報告されています(執筆時点で
はイスラエルからの報告が行われていました)。報告は問題意識を与えるような形に なっており、その後で子どもたちが考えたり活動したりすることになります。
他にも、水質検査などを進めている「川と大地」、食生活を調べている「たべもの と農業」、子どもたちが挑戦したことやなどが紹介されている「メンバーの広場」、
工作などの身近な知恵を紹介している「My 知恵」など、多くのプロジェクトが進められています。
今回はキッズ向けホームページを紹介してきました。キッズ向けのページはどれも、 言葉づかいを易しくしたり(漢字にふりがなをふる)、画像やアニメーションを多様
して説明するなど、わかりやすくするための工夫をしていました。また、見るだけで なく、インタラクティブな要素を入れることで、楽しく飽きさせないような工夫をし
ているところも多く見られました。
さらに、子どもたち自身が公開しているホームページがたくさんありましたし、コ ミュニケーションサイトで他の子どもたちと(海外も含む)とやりとりをしている記
録を見ると、子どもたちがかなりインターネットを活用していること、家庭にもかな り普及してきたということを実感しました。
一方で、キッズ向け検索サイトやコミュニティーサイトには、子どもや保護者向け に利用の注意事項が必ず載っています。情報モラルを小さな内からある程度身につけ
させないといけない時代になっていると思います。それには学校教育だけでなく、親 が情報モラルを身につけ、それを家庭で子どもたちに伝えていく必要があるでしょう。
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