教育評価関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

今回は教育評価関連のホームページを紹介していきます。学習指導要領の改定にと 今回は教育評価関連のホームページを紹介していきます。学習指導要領の改定にとも ない、目標に準拠した評価(絶対評価)をより一層重視するなど、評価の方法も変わ りました。文部科学省(http://www.mext.go.jp/)からは、「児童生徒の学習と教育 課程の実施状況の評価の在り方について(答申)」(2000年12月)や、「小学校児童 指導要録,中学校生徒指導要録,高等学校生徒指導要録〜中略〜の改善等について (通知)」(2001年4月)が公開されています。
 教育評価関連のホームページは、例えば教育委員会等から新学習指導要領における 評価規準の例などが公開されています。各校の授業実践や研究紹介の中にも評価の方 法や結果などが載っています。また、ポートフォリオに関する情報(本連載では2001年2月号で取り上げました)といった、評価方法に関するサイトも若干あります。他 にも広く捉えれば資格試験や入試情報といったものなどもありますが、今回は学校の 普段の授業で役立ちそうなところを中心に紹介していきます。
なお、今回紹介するサイトは、PDFファイルでの情報提供が多く、Adobe Acrobat Readerが必要となります。

教育評価関連のホームページ紹介

国立教育政策研究所
http://www.nier.go.jp/
 本連載では、教育情報のデータベースが充実しているサイトとして以前に紹介済み ですが、新学習指導要領における評価規準・評価方法等の研究開発の報告(平成14年 2月)が公開されていますので紹介します。
この報告は、各学校において評価規準の作成、評価方法の工夫改善を行う際の参考 この報告は、各学校において評価規準の作成、評価方法の工夫改善を行う際の参考と して役立てもらうことを目的として公開されています。平成13年5月に中間整理とい う形で公表した後に、研究指定校による実践的な研究を行って、さらに役立つものへ と検討を重ねたものとなっています。
 報告の構成としては、第1章では総説が、第2章では各教科・各学年に分けて、そ の目標や、内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例、単元(題材)の評価に関 する事例、観点別学習状況の評価の総括及び評定への総括についての考え方が提供さ れています。例えば、小学校算数であれば、「算数への関心意欲態度」「数学的な考 え方」「数量や図形についての表現・処理」「数量や図形についての知識・理解」と いう観点から、「A数と計算」「B量と測定」「C図形」といったまとまりごとに規準 が整理されています。

広島市教育委員会による「ホットライン教育ひろしま」
http://www.pref.hiroshima.jp/kyouiku/hotline/
 このサイトにある「幼・小・中学校教育」からは、広島市教育委員会が作成した、 このサイトにある「幼・小・中学校教育」からは、広島市教育委員会が作成した、 「学習状況の評価の在り方に関する手引き」が公開されています(平成14年3月29日 付け)。
 新学習指導要領は、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、自ら学び自ら考え 新学習指導要領は、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、自ら学び自ら考える 力などの「生きる力」を育成することをねらいとしています。そのねらいを達成する ために、新学習指導要領に示された目標に照らしてその実現状況を的確に評価したり, その評価が客観的で信頼できるものとなるように,各市町村教育委員会や各小・中学 校における評価規準の研究開発のための手引き(全144ページ)を作成したそうです。
 手引きの内容は、小中学校の各教科・各学年においてひとつの単元をとりあげ、そ の評価規準や指導計画の例が提供されています。教科だけでなく、総合的な学習の時 間や道徳、特別活動、中学校の選択教科等の評価規準もあります。また、評価の基本 的な考え方や進め方などの説明や、評価についてのQ&A等も提供されています。

福岡県教育委員会による「教育支援フィールド」
http://www.lty.edu.pref.fukuoka.jp/
 このサイトは、平成14年3月をもって運営(更新)を停止していますが、「資料 館」には、「目標に準拠した評価の実施に向けた実践事例集」が公開されています。 先に紹介した国立教育政策研究所による参考指針(報告)を各学校が有効活用できる ように、また、各学校での目標に準拠した評価についての共通理解と指導の作成及び、 絶対評価を取り入れた授業の展開が可能となるように、日常的な評価の進め方につい てまとめているとのことです。現場の先生方の実践をもとに、客観性・信頼性・効率 性の確保という観点から整理したものとなっています。
 この事例集の構成は、第1章が「これからの評価の考え方」、第2章が「各教科等 この事例集の構成は、第1章が「これからの評価の考え方」、第2章が「各教科等に おける目標に準拠した評価の進め方」となっています。第2章では小・中学校別に各 教科の評価規準が提供されており、理論編としてその教科における評価の考え方が説 明され、さらに実践編として、あるひとつ単元を例に、評価規準の設定例や、指導と 評価の計画例、日常的な評価の記録例、単元の評価のまとめ方例等が提供されていま す。

SHINGAKUSHA
http://www.sing.co.jp/
 このサイトには、新学習指導要領における各教科書の内容に沿った評価規準表が公 開されています。
「教育情報」のページから、「小学校教科書単元別評価規準表」を参照することが 「教育情報」のページから、「小学校教科書単元別評価規準表」を参照することがで きます。評価規準表は、指導計画や観点別評価規準作成時の参考資料として、国語・ 算数・理科・社会について提供されています。各教科ともに教科書と学年を選択する ことで、評価規準表が表示されます。東京書籍や啓林館等の教科書(数社)のそれぞ れについて、その内容に沿った規準表となっています。
 また、「小学校児童新指導要録記入例集」として、小学校児童指導要録の各様式に また、「小学校児童新指導要録記入例集」として、小学校児童指導要録の各様式にお ける記入の実例と説明が提供されています。具体的に記入されていますので、イメー ジがつかみやすいかもしれません。「総合所見及び指導上参考となる諸事項欄への記 入参考文例集」もあります。
 他にも、「教育実践講座」のページには、「新指導要録における学習の評価」とい 他にも、「教育実践講座」のページには、「新指導要録における学習の評価」という 項目があり、新学習指導要領において、なぜ絶対評価なのかや、絶対評価の手続き、 絶対評価の問題点等が解説されています。

新潟県新井市立新井中学校
http://azalea.ac.city.arai.niigata.jp/arai-c/
 この学校は、平成9・10年度の文部省指定教育課程研究として、達成度評価を中心 とした学習指導の研究に取組み、現在も継続して実践しています。その内容がホーム ページ上で紹介されており、今後絶対評価を行っていく上で参考になる部分もあるか もしれません。
 この研究は、定期試験の改善として、定期テストを基本テストと発展テストに分け、 この研究は、定期試験の改善として、定期テストを基本テストと発展テストに分け、 基本問題を完全習得学習的に8割の生徒が8割できることを目標に補助プリントの作 成などの支援を行ったり、学習通知表で観点別学習状況の評価を基にした達成度評価 を実施(相対評価も実施)しています。「達成度評価」のページにある、「5教科の 達成度評定の出し方」では、5教科それぞれの評価方法や、評価基準・評定の算出方 法(数値化)などが具体的に紹介されています。
 達成度評価はなかなか保護者の理解を得られなかったようで、保護者向けに各学期 達成度評価はなかなか保護者の理解を得られなかったようで、保護者向けに各学期ご とに評価規準、1学期に評価基準を出し、期末保護者会等で機会あるごとに理解を求 めていたそうです。その資料も公開されています。

DC-PROS
http://www.dc-pros.com/
 このサイトからは、「S−P表分析Q&A」と称して、教育評価に関連するQ&A が提供されており、教育評価について理解を深めることができます。このQ&Aは、 全22項目から成り、S−P分析を創案した佐藤博士によって書かれています。S−P 分析とは、テスト結果から生徒の理解状況等を分析するための1手法のことです。
Q&Aの内容は、絶対評価・相対評価、形成的評価・総括的評価、テストデータの Q&Aの内容は、絶対評価・相対評価、形成的評価・総括的評価、テストデータの読 み取り方、S−P分析、偏差値などを解説したもとなっています。例えば、絶対評価 については、「相対評価と絶対評価にはどのような違いがあるか?」「絶対評価にお いて気をつけるべきことは?」「達成度評価の方法」などの解説があります。
 S−P分析については、「S−P表分析とは」から「S−P表はどのように作成する のか?」など、S−P表分析の簡単な説明にはじまり、その活用方法(分析方法)が 詳しく解説されています。
 また偏差値について、「偏差値の意味を正しく理解していますか?」など、偏差値 また偏差値について、「偏差値の意味を正しく理解していますか?」など、偏差値の 意味や利用するときの注意点の解説もあります。

B.B.KENJI'Sホームページ
http://homepage1.nifty.com/bb-kenji/
 このサイトからは、ポートフォリオ関連の情報が公開されています。「総合的な学習(ポートフォリオ関係)」のリンクから、その情報ページにいくことができます。 ここでは、主に研究会や研修会で利用した原稿を見ることができます。
 「ポートフォリオについて<総合的学習に関する評価方法開発研究会>」では、ポー トフォリオとは何かや、学習ファイルとポートフォリオの相違、ポートフォリオの用 語の混乱、発達段階におけるポートフォリオ等の説明が載っています。
 「今、ポートフォリオは<現状と課題(実践者によるアンケート調査から)>」と して、ポートフォリオ実践者等36名に取り組みに関するアンケートを実施した結果が 報告されています。ポートフォリオに取り組んで良かった・悪かったことや、苦労し たことが紹介されています。また、実際のポートフォリオの写真も載っています。
他にも、「ポートフォリオQ&A」として、ポートフォリオを始めたいけど何が必 他にも、「ポートフォリオQ&A」として、ポートフォリオを始めたいけど何が必要 かといった問いに対する回答があります。

Educational Testing Service
http://www.ets.org/
 ETSは米国でテストの作成や実施を行っている機関です。日本国内でも有名な英語 の試験であるTOEICもここが母体となっています。このサイトは、すべて英語で書か れていますが、米国への留学を希望している学生には役立つ情報が多いことでしょう。 ここで実施しているテストについては、Web上から申し込みができるようになってい ます。また、テスト研究に関する情報も豊富に提供されています。
 留学を希望する人は、ほぼ全員がTOEFL( Test of English as a Foreign Language )という、外国人留学生のための英語能力試験を受ける必要があります。
さらに大学への留学を希望するなら主にSAT(Scholastic Apptitude Test )というアメリカの大学進学適性能力試験が必要となりますし、大学院ならGRE ( Granduate Record Examination )や、分野によっては(例えばビジネス系なら)GMAT ( Graduate Management Admission Test )が必要となります。
 留学の際は、これらのテストを受け、その結果を踏まえて入学可能な学力があるか 留学の際は、これらのテストを受け、その結果を踏まえて入学可能な学力があるかを 判断されることになります。

自薦他薦のホームページ紹介

学習データベース「知恵の輪ホームページ」
http://mweb.jrslines.co.jp/tie/
 「イントラバケッツ」というシステム(株式会社四国ラインズ)を利用した、教育 「イントラバケッツ」というシステム(株式会社四国ラインズ)を利用した、教育用 のデータベースを提供しているサイトです。毎日の学校の営みのなかで、子ども達や 先生方が作っている資料を捨てないで、インターネットなどのネットワークを用いて 蓄え、必要に応じて取り出し相互に活用できるようにする等、みんなが安心して利用 できる教育用のデータベースを目指して、愛媛県内の先生と有志によって作成されま した。このサイトの「教材データベース」には、現在かなりのデータ(資料)が登録 されています。
 データベースに登録する資料は、イントラバケッツを使って、誰でも(子どもでも) データベースに登録する資料は、イントラバケッツを使って、誰でも(子どもでも) 簡単に作ることができます。作成した資料には、タイトル・対象学年・教科等・キー ワード・パスワードをつけて、インターネット上のサーバーに登録します。 登録された資料は、資料名や作者名で検索して取り出し活用します。また、キーワー ドによる全文検索もできます。検索で探し出した資料は、イントラバケッツにブラウ ザから取得して、再加工することも可能となっています。

おわりに

 今回は教育評価関連のホームページを紹介しました。教育課程審議会の評価に関す 今回は教育評価関連のホームページを紹介しました。教育課程審議会の評価に関する 答申を受けての情報(規準の例等)が公開されている反面、教育評価の基礎的な部分 を学ぶ(評価の用語解説や、評価手法の紹介等)ホームページや、教育評価のページ を集めたリンク集は、ほとんど見つけることができませんでした。教育評価関連のホー ムページはかなり少ないという印象を持ちました。
 教育活動は、Plan-Do-See(計画−実行―評価)もしくはPlan-Do-Check-Action 教育活動は、Plan-Do-See(計画−実行―評価)もしくはPlan-Do-Check-Action(計 画−実行―評価−改善)というサイクルを繰り返しながら展開していくものですから、 授業を行ったら必ず評価が来るということになります。学習目標に到達したかをどの ようにして測るのかを考え、実証していくということは、授業を行っていく上で大変 重要です。そういった意味でも、普段の授業に役立つような教育評価に関する情報は、 今後の充実が期待される分野だと思います。

自薦・他薦のホームページ募集中:ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
バックナンバーのページ:http://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/


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