更新29/novembre/2001
「獅子座の流星群」をめぐる二つのお話
2001年秋に見えた流星群
1999年秋に見えるはずだった流星群
1998年秋に見えるはずだった流星群―-星降る夜の天文学
1927年にスイスで書かれた1797年の流星群―-星降る夜のフランス文学
このページを更新する日が来るとは、思ってもいませんでした。
2001年11月19日未明。全国の多くの場所で、ほんとうに降るような流星群が見られました。
これまでの予想と違う新たな学説が唱えられ、見事にそれが証明されたわけです。
自然科学って、観測事実できれいに立証されますよねえ…
詳細はこちらをどうぞ。
国立天文台「しし座流星群」について
http://www.nao.ac.jp/pio/leo/index.html
皆さんもこの流星群を見ることができたでしょうか。
ちなみに私は、2時くらいで力尽きて寝てしまいました…だって月曜日朝から授業だったから…
(学生さんは遅刻したり居眠りしたりできるけど、教員はね…)
遅刻も居眠りもしちゃ駄目だけど!↑
1999年11月。再び獅子座の流星群の季節がやってきました。
昨年は残念ながら、流星嵐というほどには至らず、しかも予想よりも早く、
昼間にピークが来てしまったために、多くの流星を見ることができませんでした。
今年はどうでしょうか。
国立天文台の予想によると、今年の流星出現が最も多い日は、
日本では11月17日から18日にかけての夜であり、
17日23時から18日に明るくなるまでの期間、流星出現の可能性が高い、
ということです。晴れていさえいれば、流れ星がたくさん見えるはず。
ただ今年も、流星嵐というほどたくさんは見られないようです。
国立天文台「しし座流星群」について
http://www.nao.ac.jp/pio/leo/index.html
残念。盛岡は曇りでした。日本国内、晴れたところは少なかったようですね。
流星群も少なかったみたい。流れ星は見られたようですが。
翌日のヨーロッパではそこそこ観測できたらしいですが、やっぱり星の嵐とはいかなかったようです。
やはり自然現象というのは、予想通りにはなりませんね。
獅子座流星群の説明は、次の、昨年版のページを読んでくださいね。
1998年版
星降る夜の天文学
今年の11月、日本で素晴らしい天体ショーが見られます。
それが獅子座流星群です。
この流星群は、実は毎年11月17、18日頃に見られるのですが、
33年周期でたくさん見られる時期がめぐってくるのです。
そして今年と来年がその当たり年!
1799年にはヨーロッパで、1833年には北アメリカ東部で、
そして前回1966年には北アメリカ西部で、
1時間に1万以上の流星が肉眼で観測され、
それこそ、天空を埋め尽くす流星の嵐だったとか。
日本では今年、その大出現が見られそうなのです。
(来年はヨーロッパが好条件で、日本では見えないそうです)
流星群が出現するピークと予想される時間は、11月18日午前4時。(前後2時間程度の誤差あり)
しかもその日は新月なので、星を見るには絶好の条件です。
運がよければ、東の空に昇ってくる獅子座を中心に輻射される
たくさんの光の筋が、空いっぱいに見られることでしょう。
もちろん、予想だから外れるかもしれないし、天気がいいとも限らないのですけれど。
観測は簡単、寝転んで空を見るだけ!(こうすると視界が全部空になるから)
それが無理なら上を向いて立っていよう。(寒そうだけど)
できるだけ、街中のような空が狭くて明るいところではなくて、
空が暗い見晴らしの良いところが最適。地上の光が目に入らない方がよいのです。
ここ県立大学の周りは暗くてよさそうなのですがどうでしょう…?
興味を持った方は、こちらを参照してみてください。
国立天文台の広報ページです。
国立天文台「しし座流星群」について
http://www.nao.ac.jp/pio/leo/index.html
ここから、たくさんの関連サイトへのリンクも貼られています。
詳しい説明や観測方法、写真の撮り方まで教えてくれる親切なサイトが多いです。
ついでに、11月16日から20日まで、環境庁が
「グリーンライティング・キャンペーン」というのを提唱しています。
過度な照明をやめて、夜空の明るさ(というより暗さですね)を見直そう、というものです。
流星の降る夜、町中が明りを消してみんなで空を見上げたら、
どんなに素晴らしい光景が見られることでしょう。
できることなら、こっそり大学の屋上に寝転んで、
星降る夜の天文学、としゃれこみたいものです。
星降る夜のフランス文学
ここで紹介したいのは、ロマン・ロランの戯曲です。
その名もずばり『獅子座の流星群』です。
お話
1797年晩秋、スイスの古い都市で、
フランスの革命の嵐から逃れてきた二人の男とその家族達がめぐりあいます。
二人はそれぞれ、過去に因縁のある大貴族とジャコバン党員という、あいいれない間柄でした。
互いの信念を守って生きてきて、傷つけ合った二人でしたが、
亡命先のスイスからも追われることになります。
ラストシーン、新しい旅立ちと別れを象徴するように、
幾百、幾千という獅子座の流星群が天上を散っていくのです。
ロマン・ロランはフランスの作家で、日本でも有名な代表作は
『ジャン・クリストフ』『魅せられたる魂』などです。
平和運動に積極的に参加し、1915年にはノーベル文学賞を受賞しました。
この作品は、「革命劇」連作シリーズの最終話として書かれたものです。
フランスで革命と言ったら、当然1789年に始まる大革命のことです。
日本語では「フランス革命」、フランス語ではただ大文字で始まる
Revolution です。
世界史の年表を見ると、1789年フランス革命、と書いてあったりしますが、
当然、1日や1年で終わったものではありません。
国王だったルイ16世が処刑されたのは1793年1月のことですし、
王妃だったマリー・アントワネットが処刑されたのも同年10月です。
革命がいつ終わったか、というのは、いろいろ意見の分れるところでしょうが、
1799年11月のクーデター(ブリュメール18日のクーデター)によって、
ナポレオン・ボナパルトを首領とする軍部独裁政治に移るのを、
一つの大きな目安とすることができるでしょう。
革命の10年間、政権は何回も交代します。
ついこの間まで栄華の中にあった人があっという間に追われる立場になる。
そんな運命の逆転、しかも不幸な方への逆転がたくさんありました。
作家ロランはそんな人々を主人公に、革命劇シリーズを書いたのです。
1799年ヨーロッパで見られた流星群をお芝居に取入れているわけですが、
主人公達は夜空を埋め尽くす流星の嵐を見て、
「獅子座の流星群だ!」と叫びます。
当時18世紀末にその名称が既にあったのかどうか、実は謎です。
しかし、ロランが戯曲を書いた20世紀初めには、有名でした。
獅子座は太陽や強さといったものをイメージさせます。
ラストシーンで、主人公は、
獅子座の方角から空一杯に流れていく星々を、獅子座のかけらと表現しています。
そうして、仇敵同士ともいうべき二人の男は、
各々が属していた「(各々の)フランス」が砕けてしまったことを嘆きながら、
同時に(子供たちに代表される)新しいものが生まれていることを認めます。
この場面には、獅子座の流星群が降らねばならないのです。
残念ながら、私はこの戯曲を読んだだけで、上演を観たことがありません。
今年は「日本におけるフランス年」で、たくさんのフランス関係のイベントが企画されているのですが、
獅子座流星群が極大になるこの秋に合わせて、この芝居を上演する、という
気の利いた試みはないようです。
いまどき革命なんてダサダサ、なんて思わないで、
こんなお話がある、ということを覚えておいてくださいね。
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