20131013 製鉄遺跡調査 板どうや鉄山・濁川鉄山

  

吉木,正義(3年)

久慈地域の製鉄遺跡に関する調査です。今回は,洋野町にある板どうや鉄山跡と濁川鉄山跡を調査しました。

階上岳の南,ノソウケ峠の近くの山奥にある,
板どうや鉄山跡。

鉄山跡らしい明瞭な微地形は残っていませんが,
正義君の左側の部分はスラグが積み上がっています。

堆積物を観察しても,
ここが製鉄跡であることくらいしか分かりませんでした。

濁川鉄山跡。

畑の脇の斜面に,そこら中にスラグが散らばっています。

最後に海を見て,今日の調査は終了です。

ここは和座川の河口にある浜。















さらに下流,濁川集落の下流側で見られた河床堆積物です。

正義君が立っている平坦な場所が,粘土質な埋没腐植層の上面です。
その腐植層を,明るい色調の砂質堆積物が覆っています。

この砂質堆積物も鉄穴流しに伴う粗粒堆積物と考えていますが,埋没腐植層最上部の年代は,
暦年較正で769±23 yrBP,1σの暦年代範囲で1228 calAD~1275 calADと,
上流側と比べてかなり古い年代が出てしまいました。

埋没腐植層の最上部に挟まる植物片の年代を測ったところ,
暦年較正で74±22 yrBP,
1σの暦年代範囲は1700 calAD~1915 calADでした。
鉄穴流しが行われたのは江戸時代後期と予想していたので,
予想の範囲内です。
でも,年代幅がありすぎて,当たっているとも言いにくいです。

濁川鉄山跡の下流で見られた堆積物の露頭です。

正義君の腰あたりの高さを境として,黒い埋没腐植層の上位に,マサっぽい粗粒堆積物が堆積しています。
粗粒堆積物は,かつて行われた鉄穴流しに伴う土砂と推測しています。