20111105 八幡平植生調査 蒸の湯東方の滑落崖 [今野さんの卒論]   吉木,今野(4年) 

蒸の湯温泉の東側にある大きな滑落崖に,コメツガの多い植生が見られます。
このあたりの植生については,同級生の田村さんに手伝ってもらって,今野さんがすでに調べています。
ただ,そのときは植生調査だけで精一杯で土壌断面を観察していなかったそうなので,今回は土壌断面の観察だけのために来ました。 もう11月ですので,今野さんの卒論調査も今回で打ち止めです。

滑落崖を下ります。
沢筋には,安山岩溶岩の巨岩が積み重なっていました。
今にも崩れてきそうです。

滑落崖の基部でも,土壌断面を観察します。
崖錐なので,落ち葉を剥ぎ取ると,土壌は薄いです。
今野さんの穴掘り動作も腰が入っていて,慣れた掘り方になってきました。

今野さんのお尻。
熊鈴を鳴らしながら,穴を掘り続けます。

「どんな土壌かな?」

土壌断面のスケッチも終え,これで今野さんの卒業研究のための現地調査は終了です。
これからは,室内作業に専念です。
せっかく山仕事に慣れてきて楽しくなってきたのに,山に来る必然性が無くなってちょっと残念ですね。

蒸の湯温泉から登りはじめ,長沼に到着しました。
静かな沼でしたが,水面が波立つくらいの風がありました。

滑落崖の頂部から周囲の斜面がよく見えました。
針葉樹とブナが混在した森林です。

この崖錐には薄い土しかないのか確認するために,場所を変えてスコップを刺してみます。

登山道の段差部分で,To-aテフラを発見。
“2”の数字の右側にある粟粒みたいな点々が,To-aテフラの軽石粒です。
一応,1000年以上の時間が経過した土壌もあるようです。

滑落崖を登り切ったところにあるベンチにて。
ベンチの下に,To-aテフラが露出していました。
厚さは,10cm弱といったところです。
その下位にも,厚い黒色土が形成されています。
少なくとも数千年間前からは,ここは安定した環境だったようです。
周囲の植生は,コメツガよりも,オオシラビソが優勢です。

コメツガが多く生えている急斜面で,土壌断面を観察します。
平均傾斜40°か,それ以上の急斜面なので,ほとんど土はありません。
そのなかでも,部分的に堆積している場所を探して観察しました。
真っ黒な腐植土がせいぜい30cm程度あるだけですが,一部ではTo-aテフラを見つけることができました。

まだ木のニオイがする新しい東屋の前で,ちょっとおすまし。

季節は晩秋。
もう,いつ雪に覆われても不思議ではありません。