20111101 洋野町大野のドバ調査 大野高校周辺 [常田くんの卒論] 吉木,常田(4年)   

別の小規模な凹地の底も掘ってみました。
先ほどの凹地と同じ形状で,斜面下方に通路状の凹みが開き,馬蹄形(視力検査のCみたいな形)をしています。
掘ると黒い盤状のものにぶつかり,スコップでも歯が立ちません。

この場所のスケッチだけで,2時間以上かかりました。

先ほどの斜面下方の谷沿いで,谷底堆積物を観察します。
黒っぽく見えている土が本来の谷底堆積物で,To-aテフラとB-Tmテフラのセットが挟まる黒泥です。
その上に,明るい茶色に見えるドバ混じり層が堆積し,そこを水流が刻んでいます。

強引に削ると,どうやら固結した炭のようです。
炭焼き跡に残った炭が膠結したように見えましたが,これが一般的な現象なのかはよく分かりません。
いずれにしても,馬蹄形の浅い凹みは炭焼き跡のようです。
似たような馬蹄形の凹地は,あちこちの斜面に見られます。
これらの炭焼き跡が製鉄に使われた木炭と関係あるのかは,今後調べていきたいと思います。

常田君が
「この斜面はドバ採掘によって形成された斜面だ」
と言うので,土壌断面を確認することにしました。
近世に人為的に作られた新しい斜面ならば,黒い土が無いか,非常に薄いはずなので。

たて穴群から分水界を越えた斜面で,小規模な凹地を発見。
凹地の底を掘ってみました。

たて穴だけでなく,不規則な高まりも多く見られます。
落葉をどけると,表面にドバや段丘礫起源の円礫が散っています。

午後は,ドバのたて穴掘りが集中して分布する場所に来ました。
写真は,穴の縁から穴の底の常田君を撮っています。 かなり深い穴です。

「茶色い土しか出てきません!!」
常田君の言うとおり,黒い土はほとんどありませんでした。

凹地の底からは,赤く焼けた土が出てきました。
製鉄スラグは周囲も含めて全く見られないので,どうやら炭焼きの跡のようです。

地形と堆積物の見方の説明を受けて,スケッチを書きます。
でも,書くたびにダメ出しされ,何度も説明し直され,何度も書き直します。
1回で理解できないのは問題だけれど,投げ出さなかった根性は認めます。

勝利のVサイン。 凛々しい表情です。
でも,穴掘りは今野さんの方が早いですね。
女の子に負けるようでは,まだまだ調査回数が足りないようですね。

今日の調査の目的は,これまでに常田君が探してきたドバ採掘跡地を,私の目でも確認することです。
常田君が大野高校周辺で見つけてきた採掘跡地を案内してもらいました。