2011年6月25日 栗駒山 秣岳 [今野さんの卒論テーマ探し]   吉木,今野(4年)  

今野さんの卒論テーマ探しとして,2010年11月20日,2011年4月5日,5月3日の3回にわたって,岩手山不動平の微地形を調査しました。

その結論は,
 「こんな地形,周氷河地形じゃないっ,研究にならない!」
ということでした。

次のテーマ探しですが,いまだに周氷河地形に未練があるようです。
ということで,
 「奥羽山脈で周氷河地形なんて…」
という指導教員の意見を無視し,栗駒山の西にある秣岳の斜面を見に来ました。

なぜ,秣岳なのか?
 それは,秣岳は後氷期に火山活動の影響を受けていないため,最終氷期の地形が残されている可能性がある,という理由からです。

秣岳への登山口。

須川温泉の駐車場で,地形図を見ながら周囲の山々を確認します。
苦笑いを見ての通り,全然分かっていませんでした。
「地理のアサカ先生,来週からの教育実習大丈夫ですか?」

秣岳から南南西に延びる尾根から,秣岳方面を見たところ。
最終氷期の周氷河地形の存在を予想させるような起伏は,残念ながら見つけられませんでした。
気持ちの良さそうな尾根に見えるけれど,実際には身長を上回る灌木で,大変なヤブこぎでした。

秣岳南東の雪田付近で見られた,表層直下に挟まるTo-aテフラ。(標尺の3と4の間)
厚さは5〜6 cmくらいでしょうか。

せっかく来たので,登山道を外れて雪田を散歩しました。

泥炭層と,そこに挟まるTo-aテフラ。

↑クリックで拡大表示↑

秣岳の南東の雪田にて。
周氷河地形が見られそうな砂礫地なんて,どこにもありません。

秣岳南東のゆるやかな谷の末端は,小さな滝になっていました。
黄褐色の粘土質礫層の上を,巨岩からなる礫層が覆っているので,滝の後退が起きにくいようです。

調査の結果,栗駒山の秣岳周辺に明確な周氷河地形は見当たらず,ここでの研究も断念することに。
卒業研究のテーマが決まらないまま,今野さんは母校での教育実習に行ってしまいました。

秣岳から北西に延びる稜線を見下ろした風景。
行ってみたくなる台地ですが,稜線は廃道になっています。
もう,行く気力はありませんでした。

須川湖と須川温泉。
周氷河斜面の末端に形成される小崖は,結局見つけられませんでした。