2011年5月17日 重茂半島周辺での津波遡上高の調査 その4   吉木,今野(4年)

これまでの調査結果を,今野さんと吉木で論文として投稿することにしました。
そのため,4月15日に佐野先生・常田君たちが調査した入り江を,私たち2人も観察しておこうということになり,またまた重茂半島にやってきました。
午後,鹿児島志學館大学の岩船先生の研究を手伝うために,宮古市街地の建物に残る浸水痕の高さを測量しました。

追切で見られた,土と礫の互層の様子。
宿浜で見た礫層よりも海面に近い高さですが,見た目は似ています。
どれも丸くて扁平な形をしています。
波打ち際で洗われた礫が,過去の津波で打ち上げられたことを示していると考えるべきでしょうか?

津波が運んだゴミは,測量の結果,標高54m地点まで達していたことが分かりました。

午後,岩船先生と合流。
建物に残る津波浸水の痕跡を探します。

どこを浸水跡とみなすか相談しながら,1軒ずつ確認していきます。

千鶏。

川代。

浜川目。

あちこちで見られましたが,今回の津波の遡上高を示すと思われる痕跡には,青い印がつけられていました。

荒巻の海岸近くは,ヤブも建物もなくなって開放的です。

音部里。
防潮堤は残ったのに,その内側には何も残っていません。
防潮堤を越えた水が滝のように流れ落ちたため,すぐ内側が凹んで水たまりになっています。

前の写真で,左側から伸びる尾根に生えているマツの木の様子。
津波で運ばれた瓦礫がぶつかって,樹皮が剥けています。

続いて,荒巻。
ここは4月13日に,佐野先生・佐々木さんと来ました。

太平洋側の鵜磯。
きれいに何もなくなっているので,津波被害の悲惨さを感じさせません。

追切では,谷からは土が流れてきて,浜からは礫が打ち上げられるようです。
今回の津波では,礫だけでなくゴミも大量に打ち上がりましたが…。

浦ノ沢の隣の入り江,追切。
海の水はきれいだけれど,岸には打ち上げられたゴミが山になっていました。

宮古湾に面した浦ノ沢。

神社よりも高い位置にある鳥居周辺には,津波が運んだゴミが散乱していました。
すぐ近くなのに,津波の影響を受けた高さが神社とは全然違ったようです。

神社の近く,狭い釜状の入り江.。
向こう側は宮古湾。
透き通った,きれいな水でした。

神社の建物とその周囲には,水を被った痕跡は見あたりません。

重茂半島の先端,閉伊崎にある黒崎神社。
鳥居の看板が外れそうなのは,津波のせい?

よく見ると,粗礫と細礫が互層になっています。
残念ながら,堆積時期を推定させるものは見つかりません。

重茂半島先端に近い,太平洋側の宿浜。
尾根の上に礫層が見えます。