意思決定の意義

1.意思決定

意思決定とは

決定すべき問題に対する情報から採るべき行動を決定するプロセス

何らかの目的を達成する行動に対する選択が複数あり、複数の選択を評価し、その中から決定を行うこと

【例】

進路の決定

衣類の購入

昼ごはん

意思決定における情報とデータ

データ:人間が利用できるメッセージ

情報:特定の問題や特定の状況と関連付けられたデータ

【例】

36.5

141.7

1.12

意思決定の流れ

意思を決定すべき問題に直面する。

いろいろなデータから問題解決のために利用できるものを見つけ出す。

問題解決のための複数の代替案を作成する。

複数の代替案を評価し、最適なものや上位のものを選択する。

選択された代替案を実行する。

意思決定を行う主体者:意思決定者

個人:個人が行う活動のための意思決定

個人により個人の中で処理されるので、決定から行動のプロセスは融合されて処理される。

複数の集団:集団が行う活動のための意思決定

意思決定者と行動を行う主体が異なり、決定を行動に移すためには、意思の疎通が必要となる。また、決定がよいものであったかをフィードバックする仕組みが必要となる。

 

2.意思決定の段階

組織のいろいろなレベルでの意思決定に共通的な要素

@ インテリジェンス:問題認識の段階

意思決定を必要とする問題状況の発見・認知

目的と現実とのギャップを認識したり、ギャップを把握したりする。

A 設計:代替案の設計または発見の段階

認知された問題を解決する手段を考える段階

代替案(同時に行うことが不可能な複数の案)の作成

代替案の作成には、目的の達成に影響する要因やそれらの要因と目的との関係を正確に理解することが必要となる。

B 選択:代替案の評価と選択の段階

設計段階で開発された代替案を評価し、選択する段階

評価:問題解決における効果と費用に照らして行われ、最善と判断されたものが選択されることになる。

効果と費用を正確に推定する方法が必要。

通常@ABと流れる。

ABはセットとなっているものも多い。

3.意思決定の要素

意思決定の評価には、意思決定者がコントロールできる要因(決定変数)とコントロールできない外的要因(環境変数)の結果として評価(結果変数)される。

 

[例] 利益を最大とする生産量の決定問題

製品A:製品1個につき利益100の利益がある

製品B:製品1個につき利益50の利益がある

総生産量:製品AとB合わせて1000個生産することが可能

(a) 意思決定者がすべてをコントロールできる(外的要因は発生しない→生産したものは必ず全部売れる)と仮定し、利益を最大にする生産量は?

A製品の生産量      
B製品の生産量      

(b) 外的要因により、ある程度需要量が定まった場合の利益を最大とする生産量は?

市場の需要量(予測):

A製品の需要量400個
B製品の需要量600個

→A製品の生産量     
  B製品の生産量     

4.意思決定における情報の不完全性

意思決定に際して得られる情報が完全であれば、・・・

最善のものを選択することが可能

実際問題として、

時間的制限などから代替案に対する情報が不完全のまま代替案を作成

不完全な環境変数の情報のまま代替案を評価

意思決定における情報の分類

確実性

環境変数に対して、どのケースが起こるかが確定的にわかっている場合

リスク

環境変数の起こりうるケースが複数あり、そのどれが生じるかはわからないが、それらが生じる確率がわかっている場合

不確実性

起こりうるケースがわかっていても、それらが発生する確率がわからない場合

確実性         ←       リ  ス  ク       →        不確実性

リスクの状態では、確実性によった状態(生起確率が客観的に求められる場合)から不確実性によった状態(生起確率が主観的に求められる場合)までが存在する。

【例】

初期の新型コロナウイルス感染症対策効果  現在の新型コロナウイルス感染症対策効果  3年後の新型コロナウイルス感染症対策効果

1年後の社会動向  1年度の原油価格

小テスト(理解度テスト)  期末テスト  入学試験

原始時代の天気予報  江戸時代の天気予報  現代の天気予報

 

現代組織(複雑で早い変化)における意思決定

環境変数に対する情報の不完全性の中での意思決定

結果変数に対する情報の不完全性の中での意思決定

結果変数に対する効果関数に対する情報の不完全性の中での意思決定

 

意思決定が有効に働かない場合

結果の強制された意思決定:

強いリーダシップの元での意思決定: