3.経営情報システムの発展

1.ノーランの発展段階説

経営情報システムを経営環境、経営の実態、利用可能な情報技術などから6つの段階に分類

1 創始期:コンピュータを使った情報システムの導入段階

データ処理を通じて事務の効率を目指す段階
投資による明確な差異が生じる段階
コスト削減が図られ、投資効率が明確に確認する事ができるため、経営者は思い切った決定を行うことができる。

2 波及期:企業が次々とコンピュータシステムの導入を図り、コンピュータの利用が増加してくる段階

コンピュータ使用の頻度が増加
コンピュータシステムに対し、どのような考え方をとるかといった視点はない。

3 統制期:組織のいろいろなところで、独自にコンピュータシステムを導入した結果、部門間で相互に不都合が生じ、システムに統制をかけないと、うまく処理できない段階

組織全体におけるコンピュータシステムの役割などが認知され、計画や統制についての議論が行われる段階

4 統合期:新しい技術によりさらに進化した段階

情報処理志向の情報処理システムから経営志向システムへの変換

個別アプリケーションの統合、統合化されたデータベースの利用、通信やネットワークの利用

5 データ管理期:組織全体としての情報システム構築が考えられるようになり、アプリケーションやデータの組織全体での横断的に利用される段階

ユーザ部門も情報システム構築に広く責任を持つ時期

6 成熟期:データ資源を活用し戦略的なシステムを構築する時期

情報資源管理を行う管理部門によるアプリケーションの統合
情報資源の有効的利用

ユーザも参加した情報システム構築

転換期:3期から4期(DPの時代からITの時代)

技術的不連続点

2.コンピュータの時代から情報時代へ シノットの発展論

情報技術
経理、記録管理を正確、迅速に行う、生産性のための道具

生産やマーケティング、設計や研究開発、意思決定支援などにインパクトを与える情報武器

情報処理担当者:操作者や技術者⇒組織を代表する責任者へ

情報処理の組織的重要性の増加

様々な観点からのコンピュータの時代から情報時代への変換

情報管理の担い手:データ処理、MIS管理者からCIO(情報統括役員)

情報管理部門の責任者の上司:経理部長から社長や社長クラス

組織:集権的から分散的

情報を扱う管理者層:中間管理層から上級管理層

対象:DPから情報資源

焦点となる資源:コンピュータからデータ・通信

必要な技術や知識:技術的から経営的

計画の性質:技術的から戦略的

情報管理の任務:統制から技術的イノベーション

技術への投資:保守的から攻撃的

技術統合:DPアーキテクチャーから情報資源管理アーキテクチャー

マネージメントスタイル:統制から影響力

3.我が国における経営情報システム(MIS)の発展:[後で扱うのでカット]

昭和34年:小野田セメントの会計処理
39年:みどりの窓口
40年:三井銀行のオンラインバンキングシステム

MISは、マネージメントの意思決定について適切であると客観的に判断される情報を
組織的に収集、加工、蓄積し、マネージメントの要求に応じてこれらの情報を提供する
機能を果たすべく作られた、人間および機械の公式の組織

42,43年:訪米MIS視察団

企業の各管理階層に対してそれぞれの必要性に適応するような情報をいつでもどこでも
提供するシステム

MISに対する過大な期待(理想に及ばない技術力)

→失敗とされる

MIS論の個別具体的なシステム議論や開発

トランザクション処理システムの高度化

予測・計画システムの開発

MISを指向した企業の目標

単なる事後的なデータ処理だけでなく、経営管理上の判断資料の作成

個別的職能部門別のシステムにとどまらず、総合的システムを構築する

全社的、統一的な高速データ伝送システムの設計が必要

→技術的背景からトランザクション処理システムとしての完成度を高める。

フォーマルな予測計画における技術の発展と普及

経営計画におけるコンピュータの支援(経営シュミレーションモデルを長短期の経営計画に利用)

直線的な傾向には有効、複雑なものには根本的な再考を要求

→予測や計画を包含した広い意思決定のコンピュータ支援

電気通信の自由化等により、情報処理と通信の融合化によるMISの新しい展開

トランザクション処理システムの異組織、異企業でネットワーク的に統合

戦略的役割の増加→戦略情報システム

 

MISの発展に伴い、企業の情報関連投資は増大→情報産業の発展の原動力

ダウンサイジング、分散処理、エンドユーザコンピューティング

ネットワーキング技術の進歩→エレクトロニック・コマース

バブルの崩壊により情報関連投資の投資効果に対する厳しい評価

→企業の業績を大きく左右する

情報技術の変化、企業環境の変化

→転換期を迎えている

4 ディジタル企業に向けて

IT時代の企業

組織階層の少ない組織

中間管理階層の削減

お客と直接関係する下層の従業員に対する意思決定権の増大化

社内情報処理などを利用したトップとのコミュニケーション

仕事と場所の分離

リモートオフィス・サテライトオフィス・モバイルオフィス

地域を越えた社内組織の構成

仕事の流れの再構築

コンピュータを利用した情報システムを利用した新しい仕事の流れ

組織の弾力性の増加

市場の動きに対応する情報システム

マネージメントプロセスの確信

コンピュータを利用した新しい管理プロセス

組織の境界の再定義