文理融合データサイエンス関連

数理・データサイエンス・AIは、今後のデジタル社会の基礎知識であり、全ての学生が身に着けておくべき素養となります。

 

宮古短大における文理融合データサイエンス教育

数理・データサイエンス・AI は、今後のデジタル社会の基礎知識であり、すべての学部生が 身につけておくべき素養ととらえ、本学では「文理融合データサイエンス教育プログラム」に よって、大学における学び・研究や、将来の仕事・生活に役立つ数理・データサイエンス・AI の知識・技術を体系的に学びます。短期大学部に在学中には、すべての学生が身につけるべき 基礎的な「リテラシーレベル」を学修します。発展として岩手県立大学の4年制学部に編入学することで「応用基礎レベル」を学修することができます。

1 プログラムの科目編成と学修目標

リテラシーレベルの学修目標

2 プログラムの修了要件


対応科目

リテラシーレベル修了要件

備 考

必 修

選 択

経営情報概論

2単位[A]

 

[A]に加え、[B]〜[D]を満たすこと

情報社会論

2単位[A]

情報ネットワーク概論

 

選択2単位以上
[B]

経営情報システム論

 

コンピュータ概論

 

選択2単位以上
[C]

経営統計学

 

データ分析演習

 

電子文書実務(令和5年度不開講)

 

選択2単位以上
[D]

アプリケーション演習

 

 

岩手県立大学における位置づけ:更なる発展に向け

データサイエンス教育でのカリキュラム内容

導入:社会におけるデータ・AI利活用

社会で起きている変化、社会で活用されているデータ、データAIの活用領域、データ・AI利活用のための技術、データ・AI利活用の現場、データ・AI利活用の最新動向

基礎:データリテラシー

データを読む、データを説明する、データを扱う

心得:データ・AI利活用に於ける留意事項

データ・AIを扱う上での留意事項、データを護上での留意事項

選択:オプション

統計及び数理基礎、アルゴリズム基礎、データ構造とプログラミング基礎、時系列データ解析、テキスト解析、画像解析、データハンドリング、データ活用実践

 

情報ネットワーク概論と経営情報システムでは、心得である『データ・AI利活用における留意事項』を扱っています。

データ・AI利活用における留意事項

データやAIは、強力な道具になります。それだけに使い方を誤ると人間や社会に大きなダメージをあたえる恐れがあります。ここでは、データやAIを扱うにあたり最低限気を付けることを学修します。

3-1:データ・AIを扱う上での留意事項

1 ELSI:Ethical (倫理的), Legal (法的), Social (社会的) Implications (含意)あるいはIssues(事柄)

1980年代に生命科学分野で、科学技術のみならずその社会的責任を考える必要を認め、提唱された概念ですべての科学・技術に関する普遍的な考え方となっている。

従前から行われていた不公正・不適切な研究⾏為・発表の禁⽌など科学研究単位としての「健全性」、「妥当性」に対して、ELSIが考えるのはより積極的な、「社会の構成要素としての科学研究のあり方」となる。

遺伝子情報を全て解析しようとする「ヒトゲノム計画」の中で、個人情報である遺伝情報が個人や社会にどの様に影響し、どう対処するのかを研究したのがELSIの始まり

倫理的問題(Ethical) :
その科学(技術)研究がどのような倫理的問題に関連するのか?
そもそも各科学領域における「倫理」とはなにか?
既存の倫理学の体系に収まるのか ?
法的問題(Legal):

その科学(技術)はどの法の枠組で捉えられるか?
現⾏法で不⼗分な場合,どのような指針・法の形成が必要か?
(関連して,どのような行政規制が必要か)

社会的問題(Social):

その科学(技術)は社会に受容されるか?
どのような形であれば受容されるのか?
メリットとデメリットのトレードオフ:社会の受容ラインはどこか?

2 データ倫理
データ取り扱いの健全性:

禁⽌事項:違法な研究や不適切な研究の禁止
捏造(ないデータを作り出すこと)
改竄(実データを曲げて書き換えること)
剽窃・盗⽤(データを不正に使い回すこと)

データの保護
個⼈情報とプライバシーの問題

個⼈情報とは: 個⼈ID(個⼈を特定できるデータ)とその他の個⼈の情報・データ

名前、住所、マイナンバー、免許証番号、保険証番号、etc

本籍、年齢、勤務先、成績、メールアドレス、購入履歴、操作履歴、etc

プライバシーとは: 個人情報・データを含み,それを「守ること」。個人情報の中の「機微データ」や「要配慮個⼈情報」とその保護

3 データサイエンス・AIで起こりうる論点
統計的差別

統計的処理が妥当であり,その処理結果を⽤いる人が(偏⾒なく)合理的に判断している場合でも,結果として差別・不平等が肯定され,継続されうること。

データバイアス

統計処理、あるいはデータサイエンス的処理を⾏う際扱うデータに,そもそもバイアス『(bias)=偏り』があること。

アルゴリズムバイアス

機械学習により、アルゴリズムにデータから学習させたとき,データにバイアス(偏り)があったがゆえに,学習結果のアルゴリズムにもバイアスが生じてしまうこと。

個人情報の暴露,プライバシーの侵害

 

4 社会的合意の形成に向けて
データサイエンス時代の諸概念

・ 忘れられる権利:インターネット時代のデジタルデータに関して,削除・アクセス遮断 によりプライバシーが保護されることを求める権利。 Wikipedia

・ 説明に基づく同意:個⼈情報・データの提供を求める際は,「説明に基づく同意 (informed consent)」に基づいて,提供を求める必要があります。

・ オプトイン・オプトアウト:何らかのサービス・⼿続き等に「参加することを希望する」, あるいは反対に「参加しないことを希望する」ことを表明してもらう手続き

形成されつつある合意の例

・ GDPR(欧州⼀般データ保護規則):EU内でバラバラであった個人情報保護関連規則を最先端の考え方で一元化したもの。 Wikipedia

・人間中⼼のAI社会原則

国レベルで方針づけた、「社会」と「研究開発する側」がともに守っていきましょうというルール

サイト

データサイエンスやAIの責任は誰が負うのか

開発者,販売者,購⼊者,…. どのひとりも完全なる責任者にはなりにくいし,完全なる無関係者ともいえない。

例:自動運転

3-2:データを守るうえでの留意事項

1 データの守り方

守り方1:情報管理三原則(情報セキュリティ三原則) 機密性、完全性、可用性

守り方2:匿名化 データから個人IDを適切に削除して当該個人の情報であることがわからないようにすること

ビックデータ

守り方3:暗号化とパスワード

元のデータに対して、特別な処理を施して、そのままでは読めない特殊なデータに変換することを暗号化

秘密鍵暗号化方式

公開鍵暗号化方式

アクセス権限を持つ人間であることを証明するパスワード

2段階認証

ワンタイムパスワード

パスキー

2 悪意ある攻撃とすでに起こった事例

・データの持ち出し,あるいは紛失による流出

・攻撃による情報漏洩

・ スパイウェア,マルウェアによる情報搾取

危険アプリ

 

ミニレポート:どれかひとつについて

データ・AIを利活用する際に求められるモラルや倫理

データ駆動型社会における脅威(リスク)について

データ・AIが引き起こす課題について