情報倫理とルール

情報倫理と知的財産権

プライバシーの保護

[1]プライバシー権利

日本国憲法第13条には、「すべての国民は、個人として尊重される」と記述されている。

個人の私的生活は、生活の本拠である住居を中心として、家族、友達などと親密なつながりをもって営まれている。

→私的生活の内容について、秘密にして隠しておきたいという秘匿欲求が生まれる。

→私事内容の自由(プライバシーの権利)が成立する。

 

プライバシーの権利の保証

・住居の不可侵

・通信の秘密

→「私生活をみだりに公開されないという法的保障および権利」

 

情報化社会

・情報のコピーが簡単にできる[容易性]

・遠隔地や多くの人にすぐに情報を伝えることができる[即時伝送]

・訓練を受けていない人でも情報発信ができる。

→個人情報の不当な流出が発生

→個人を不当に中傷・誹謗した情報の拡散

 

[現在のプライバシー保護]

個人は本人の個人情報について原則として閲覧でき、情報の訂正や削除を請求でき、目的外利用の中止などを求めることができる。

「自己に関する情報の流れをコントロールする個人の権利」

 

[2]個人情報の保護

会員カードやポイントカードを作成すると、少なくとも住所、氏名、性別、生年月日、電話番号等の個人情報を提供することになる。

キャッシュカードやクレジットカードの作成に当たっては、さらなる個人情報を提出する必要がある。

懸賞やアンケートなどでも個人情報を提出している。

 

もし、個人情報が悪用されたら、

 

もし、個人情報が間違っていたら、

 

1980年OECDが「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告」

・収集制限の原則:人を欺いて情報収集をしてはいけない。

・データ内容の原則:データは目的に合ったもので。正確性、最新性を保たなければならない。

・目的明確化の原則:個人データの収集目的を明確にしなければならない。

・利用制限の原則:データは明確化された目的以外に使用されるべきでない。

・安全保障の原則:データ管理に十分な安全措置を施さなくてはならない。

・公開の原則:所有するデータの利用目的、データ管理者を公開しなければならない。

・個人参加の原則:データの対象となる者の求めに応じて、情報の開示、修正、削除をしなければならない。

・責任の原則:データ管理者は以上の原則を実現する責任を負う。

→個人情報の修正・削除に関する相談を国民生活センター、消費者センターで受け付けている

 

2005年個人情報の保護に関する法律が施行

「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきことに鑑み、その適正な取り扱いが図らなければならない」

 

[個人情報などの定義]

・個人情報:生存する個人に関する情報(識別可能情報)

・個人情報データベースなど:個人情報を含む情報の集合物(検索が可能なもの、一定のマニュアル処理情報を含む)

・個人情報取扱業者:個人情報データベース等を事業の用に供している者(国、地方公共団体等のほか、取り扱う個人情報が少ないなどの一定の者を除く)

・個人データ:個人情報データベース等を構成する個人情報

・保有個人データ:個人情報取扱事業者が開示、訂正等の権限を有する個人データ

 

[3]ネットワーク社会の倫理

[従前のコミュニケーション]

対面コミュニケーション

一方向コミュニケーション

 

[ネットワーク社会のコミュニケーション]

ネットワークを通して、世界中のコンピュータが接続され、電子メディアにより膨大な情報(文書、音声、画像など)が即時に相互伝送できる。

影の部分として、匿名性を利用し、相手を中傷・誹謗する事例が増加している。

[例] 2チャンネル、学校裏サイト

 

[ネチケット]

民主的社会を形成するには、個人を尊重する倫理が必要。

ネットワークを発展、利用してくためには、利用者一人一人のネットワーク上のエチケット(ネチケット)が大切となる。

 

個人情報と情報化社会の法(教科書P.84)

 

知的財産権(教科書P.86)

一般に「もの」を新しく創造するには、考えをめぐらし、必要な種々の資料・素材の手配し、経費と時間をかけてようやく一つのものが出来上がるという過程をたどる。

「有形・無形の経験・努力を伴う創造性について、その法的利益を認め、権利として保護することにより、創造力の育成が図られ、社会的創造物の発達という利益をもたらす」

知的財産権:収益を生み出す可能性のあるものすべての独占的、排他的権利

 

著作権(教科書P.88)

著作権制度は、芸術、学術、美術、音楽といった著作物の複製や翻案などに排他的権利を認め、著作者の権利を保護することにより文化の発展を図ることを目的としている。

「他人の著作物を利用するときには、著作権者の許諾を得てから利用してください」という制度

著作権は財産権の一種であり、譲渡権や貸与権がある。

〇著作人格権

著作者の人格的な権利を守り権利で、著作権者だけがもつという人権の一種

著作者個々人が有する「一身専属性の精神的自由権」の一つなので、移転や相続の対象ではない。

 

〇著作隣接権

著作物を公衆に伝達するために重要な役割を果たしている実演家(歌手、俳優、声優、舞踏家、演奏家、指揮者、落語家、マジシャンなど)、レコード製作者、放送事業者および有線放送事業者を保護する制度

 

〇コンピュータ社会における著作権

ディジタルデータは、複製による情報の劣化が生じず、また、コンピュータを使ってその複製が容易にできる環境にある。

また、ネットワークの発達により、その配布などが容易にできる、また多くの人に配布できる環境にある。

このため、個人個人が著作権を理解、尊重し、著作権を侵さないようにしなければならない。

 

[著作権侵害の例]

・一つだけ購入したソフトウェアを複数台のコンピュータにインストールして使用する。

大手ソフトウェアメーカから訴えられたPCスクール:損害賠償約4千万円

・著作権のある楽曲を違法コピー

全米レコード工業会から訴えられた大学生4人:損害賠償金1万2千~1万7千ドル

日本のレコード会社に訴えられた個人ユーザ5人:平均48万円の損害賠償

レコード会社に訴えられた男性:約500万円の損害賠償と遅延損害金

 

[著作権にまつわる刑罰]

民事上:権利者からの損害賠償請求、侵害などの差し止め請求、違法コピーの廃棄請求

刑事上:10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合3億円)

 

ダウンロード禁止法:2010年

私的利用であっても、著作権者などの許諾を得ずにインターネット上にアップロードされたコンテンツをダウンロードすることが違法になる。