インターネット その1

インターネットのしくみ(教科書94ページ)

インターネットの概念

インターネットとは「世界規模で構築されたネットワークを結ぶネットワーク」

世界各地の大学や企業でLANなどの組織内ネットワークが構築されてくると、今度は組織外のネットワークと接続する必要が出てきた。このためTCP/IPと呼ばれる共通のプロトコルを用いて接続された双方向にコミュニケーションが可能な世界的規模のネットワークである「インターネット」ができた。

インターネットの概念図

2007年時点でのインターネットの利用者は、世界中で約15億人、日本国民の70%が利用している。

[よくあるインターネットの利用例]

ホームページの閲覧:

メールの送受信:

ファイルのダウンロード:

インターネットの歴史

1969年アメリカ国防省の高等研究プロジェクトによるARPANET:

ARPANETは、パケット交換技術の実用性を試験するために、アメリカ西海岸の大学と研究機関の4か所を結んだネットワークを構築しスタートした。最終的には34か所を結んだネットワークを構築した。

戦争を考えたとき、ネットワークの一部が敵に破壊されたとき、通信ができなくなるという事態は避ける必要がある。

モデムによる2点間常時接続的な通信方式では、回線への攻撃により通信不能となる。

このことを避けるため、通信を小さな単位に分割し、複数の経路を通って目的地に確実に届けれるものとして「パケット通信」が必要であり、パケット通信を前提としたネットワークが必要。

また、モデムによる2点間常時接続的な通信方式では、2点間のみの通信となり、他の通信を行うことができないが、パケット通信を利用することで、複数のユーザで同時に一つの回線を共有できるようになり 回線の利用効率が向上する。

 

後に、全米の研究施設のネットワーク、更に世界の研究施設のネットワークが接続されるようになった。

一般利用者が使う商用ネットワークとも接続されるようになり、世界規模でのネットワークに成長した。

[日本の場合]

1984年JUNETと呼ばれる研究者用ネットワークの実験が発足し、東京工業大学、東京大学、慶應義塾大学を結んだ。

その後、WIDEプロジェクトと呼ばれるインターネット関連のプロジェクトが始まり、後に商用ネットワークなどと相互接続されインターネットが構築された。

 

インターネットの利用

電子メール(教科書112ページ)

インターネットで最も利用されているものの一つが電子メール。

電子メールを送信する際は、

メーラー→メールサーバー→・・・→目的のメールサーバー

の形で、バケツリレー方式で、目的のメールサーバに送られる。目的のメールサーバでは、受信するパソコンに取り込んだり、Webメールを使ったりして、メールを読むことができます。

添付ファイルの仕組みを使うことで、画像ファイルなどを送ることができます。

電子メールの例

 

電子ニュース

不特定多数の人と情報交換ができる電子ニュース。ニュースの記事はサーバに転送され、購読しているニュースグループの記事を読んだり、ニュースを投稿したりする。投稿されたニュースは、世界中のニュースサーバに転送される。

 

ファイル転送

ファイル転送プロトコル(FTP)を使用してコンピュータ間でファイルを転送することができる。

これにより世界中のコンピュータから情報ファイルを入手することができる。

相手先のコンピュータの利用資格がなくてもファイル転送できるものをanonymous FTPといい、ソフトやデータの公開などに用いている。

 

情報検索・収集(教科書106~111)

WWWブラウザを利用し、インターネット上に蜘蛛の巣のようにめぐらされた情報を検索・収集することができる。

情報の発信

ホームページなどにより情報を発信することができる。

ホームページでは、HTMLという言語を用いて、テキスト情報や画像、音楽付きのホームページを作ることができる。

最近では、容易に情報発信が出来るブログやtwitter等の投稿型の情報発信が多くなっている。

 

リモートログイン

手元の端末から遠隔地のコンピュータを利用する。

 

オンラインショッピング

インターネット上に出店された会社の提供するサイト上で買い物をし、クレジットカードや電子マネーなどを用いて代金を支払う

 

クラウド

従来のコンピュータ利用では、組織内に処理を行うサーバを設置したり、データの保存などしたりしていたが、インターネットの普及により、インターネット上に安価に利用可能なデータ処理サーバを提供したり、データを保存するサービスが提供されるようになった。

 

TCP/IP(教科書P.102)

現在のインターネットの基本的プロトコルとしてTCP/IPを用いている。

TCP/IPは、1969年に実用化されたARPANETで使用され、1983年に実用化されたインターネットを利用する上での複数のプロトコルの集合体を指す名称

[TCP/IPのアプリケーション層でよく見られるプロトコル]

・FTP ファイル転送プロトコル、または、ファイル転送アプリケーション(ポート番号20,21)

・telnet ネットワーク経由でほかのコンピュータに接続し、遠隔操作を行うためのソフトウェア(ポート番号23)

・HTTP WebサーバとWebブラウザの間でHTML文書や音声・画像などのマルチメディアデータなどのやり取りをするために使用されるプロトコル(ポート番号80)

・SMTP 電子メールの送信や中継を行うためのプロトコル(ポート番号25)

[例]

・POP3(ポート番号110) メールサーバに蓄えられている電子メールを取り出すためのプロトコル

・IMAP(ポート番号143) メールサーバに蓄えられている電子メールにアクセスし操作するためのプロトコル

・DNS(ポート番号53) ドメイン名や電子メールアドレスをIPアドレス情報に変換する

・DHCP(ポート番号67,68) ネットワーク・クライアントにおけるTCP/IP関連の設定を自動化するための仕組み。
利用端末をインターネットに接続する時点でIPアドレスを割り当てる。
事前にクライアントを設定する必要がないので、現在多くの所で使われている。
[例]i-mode、無線LAN

・SNMP(ポート番号161) ネットワーク機器の管理を行うためのプロトコル。

 

[TCP/IPのトランスポート層]

アプリケーションのプログラム間の通信を実現するのがトランスポート層の役割で、TCP/IPには、2つのトランスポートプロトコルがあります。

TCPとUDP(教科書P.103)

TCP(Transmission Control Protocol):TCPはコネクション型の信頼性のあるトランスポート層のプロトコルで、終端間でデータの到達を保証します。もし、経路の途中でデータがなくなったり、順番が入れ替わったとしても、TCPがうまく解決します。
ただし、コネクションの確立・切断などでパケットを使用するので、データの総量が少ない場合には無駄が多くなる。
また、ビデオ会議の音声や映像データのように、一定間隔で決められた量のデータを送信するにはあまり向いていません。

UDP(User Datagram Protocol):UDPは、信頼性のないコネクションレス型のトランスポート層のプロトコルで、相手に届かない場合や相手のコンピュータがネットワークに接続されていないといったケースの場合、UDPは相手からの応答確認など送信したデータが届いているかどうかのチェックしません。そのようなチェックはアプリケーションプログラムが必要に応じて行います。
UDPは、データ量の少ない場合やビデオや音声などのマルチメディア通信に向いています。

ポート番号(教科書P.103)

コンピュータでは、複数のプログラムを同時に動作させることが出来る。このため、どのプログラムとどのプログラムが通信しているかを識別するためにポート番号と呼ばれるアドレスを使います。

代表的なポート

telnet 21
ftp 23
smtp 25
http 80

IPアドレスとドメイン名(教科書P.104)

[IPアドレス]

TCP/IPによるネットワークでは、ネットワークとホストコンピュータを識別するためにIPアドレスを用いる。

現在使われているIPアドレスはIPv4とよばれる4バイト32ビットでコンピュータのアドレスを示す。そのままでは人間がわかりにくいので、各1バイトを0~255の10進数で表し、区切り文字としてピリオドを用いる。

岩手県立大学のWebサーバ:182.48.21.77

岩手大学のWebサーバ:160.29.227.40

岩手県のWebサーバ:210.175.215.2

理論上は約43億の識別が可能であるが、組織や機関の規模に合わせてクラスを分けて割振りするため、実質的には43億を下回る。

近年のインターネット利用の爆発的増加により、上記の約43億の識別ではIPアドレスが足りなくなった。

IPアドレス枯渇問題に対する対応

プライベートアドレスの利用:インターネットに直接接続しないLANでは、プライベートアドレスと呼ばれるIPアドレスを自由に使用することができる。このため、組織内のコンピュータ全てにインターネットで利用するIPアドレスを取得するよりも、インターネットに直接接続する少数のIPアドレスを取得したほうが、利用するIPアドレスが少なくなる。
プライベートアドレスを使用する場合、プライベートアドレス内のコンピュータがインターネットで通信できるように、インターネットで使用するアドレス(グローバルアドレス)に変換することが必要となる。

IPv6:IPv4が32ビットで足りないので、32ビットの4倍の128ビットをアドレスとして利用することとしたIPv4の次の企画
128ビットを利用することで、340兆の1兆倍の1兆倍のIPアドレスが確保され、IPアドレスの枯渇問題に対応できる。
IPv6では、IPアドレスを 2001:0db8:bd05:01d2:288a:1fc0:0001:10ee のように表す。

ニュース1 ニュース2

[ドメイン名]

IPアドレスはコンピュータ間で通信を行うには便利なものだが、人間にとっては覚えにくいものである。そこで、覚えやすいように組織を区別するための名称が導入され、人間がわかりやすくしたものをドメイン名という。

www.iwate-pu.ac.jp

www.yahoo.co.jp

www.pref.iwate.jp

ドメイン名は、短い英字がピリオドによってつながれた構造を持っていて、右から順番に、国、組織の種類、組織名、組織内でのホスト名からなる。

 

インターネットでは、ドメイン名はDNSによりIPアドレスに変換され、コンピュータ間で通信が行われる。

 

[OSIとTCP/IP]

前節で、ネットワークの国際標準プロトコルとしてOSI参照モデルがあると説明しましたが、現実の世界では、OSI参照モデルはほとんど普及しておらず、今回説明したTCP/IPが事実上の標準となっています。