オペア体験談
私がオペアとしてアメリカに渡ったのは2006年2月でした。現在NYのブルックリンという地区に滞在して5ヶ月目となります。聞きなれない言葉であるオペア(Aupair)とは、アメリカの一般家庭に家族として滞在し、その家庭の子どもをケアしながら、その地域の文化を体験するという異文化交流プログラムです。簡単に言えば、お子さんのお世話をすることによってホームスティ先に受け入れてもらえるわけです。空いた時間に語学学校へ行くことも可能ですし、週単位でお小遣いも支給されます。アメリカ以外でも、ドイツやオーストラリアなどでオペアをしている日本人も多く、その他フランスやカナダ、スペインなど様々な国での参加が可能であるようですが、今回は私が現在参加しているアメリカでのプログラムについてお話します。
オペアプログラムは、異文化交流の教育・交流プログラムとして、アメリカ合衆国国務省(DOS)管轄のオペア文化交換プログラムとして政府に指定されています。日本からオペアを希望する場合
斡旋機関を通すことが必要かと思われます。いくつかあるようですが、代表的なものはPIEEとIntraxかと思われます。事実この2つのいずれかで渡米されている方が多いように思います。
PIEEのHP
http://www.piee.jp/top05.html
IntraxのHP
http://www.ayusajapan.org/aupaircare/index.html
どちらの機関もプログラム内容と料金において差はほとんどありません。また渡米後のサポートは現地の機関が行い、日本の斡旋機関は関わりません。あくまで日本での書類等作成等に関する業務のみです。ちなみに私はPIEEにお願いしましたが、担当の方もオペア経験者で説明等とても分かりやすかった印象があります。Intraxはアメリカの非営利団体の直営のようです。詳しくはHPを参照してみて下さい。
さてオペアになるためには筆記試験や書類選考を受けなくてはなりません。といってもはっきり言って簡単だと思います。重要なことは渡米時27歳以下であること、運転免許証を持っていることぐらいだと思います。英語力、保育経験等も必要ですが何とかなると思います(保育経験はボランティア等で大丈夫です)。
これらの試験に合格すると、アメリカのオペア募集専用HPに掲載するための書類(ホストファミリーに見てもらう履歴書と考えていいです)の作成に入ります。このHPはオペア受け入れを希望する家族しか閲覧することができません。これを見たホストから直接オペア希望者に国際電話やEメール等で連絡が入ります。こう聞くと、ホストからすぐに電話がかかって来るのか心配されると思いますが、大丈夫です。私の場合は掲載された翌日に今のホストファミリーから連絡をいただきましたし、他のオペアの話を聞いても1〜2ヶ月の間に3,4件のホストから連絡をもらったという人が多いです。
日本人のオペアは需要が高いわりにまだ参加者が少ないようですので、いつくかのお宅からオファーをいただいて、話した様子でホストファミリーを決定するという手順になると思います。このホストファミリーの決定ですが、曲者です。なぜかというと電話やEメールだけでは相手の家族の本当のところはわからないからです。オペア期間は最低1年(延長も可能)です。1年間一緒に過ごすとなると、家族との相性や滞在地域(都会か田舎か)等は重要になってきます。渡米してからのホストチェンジも可能ですが、体力的にも精神的にもキツイと思います(それでもチェンジをしているオペアはたくさんいますが)。
ここでホストファミリーを選ぶ際のポイントですが、
@以前にもオペアを受け入れているかどうか。オペアは1年契約ですので、同じ家庭で以前にもオペアを受け入れていた可能性があります。前のオペアが任期を全うして帰国していた場合、比較的安心できるのではないでしょうか(以前のオペアと比べられたり、家族がオペア慣れしているというマイナスポイントもありますが)。
Aは自分自身の勘です。話してみてどうか、1年間同じ屋根の下で暮らせるか自分の勘に頼って下さい。
私の場合はホストママの穏やかな口調と、ホストパパの少し緊張した話し方を聞いて大丈夫だと思いました。また、滞在地域も重要です。どこに行きたいという選択はオペアにはできないので難しいのですが、いくつかのファミリーからオファーがあり、決定打がない場合は地域も考慮してみて下さい。目的によっては、田舎の日本人が少ない地域でホストファミリーとじっくり過ごしたいという方もいらっしゃるでしょうし、色々なアメリカのカルチャーを体験したいので都市に住みたいという方もいると思います。ただ、最終的にはホストファミリーの人柄が最重要だと思いますので、あまりこだわり過ぎない方がいいかもしれません。
電話等で話した結果、最終的にホストがこのオペアを受け入れたいと決め、オペアの方も承諾すれば、次は渡米準備となります。私の場合は、渡米の前月に東京でオリエンテーションがありました。そこでは帰国したばかりのオペアOBの体験談を聞いたり、アメリカでの生活における注意点などをおしえてもらいました。渡米後は直接目的地には行かず、いったんNYでオリエンテーションを受けます。そこには各国からのオペアが集まっており、(私のときは30人くらいいました、ドイツやフランスからのオペアが多かったです。)友達を作るチャンスでもあります。5日間の泊り込みでのオリエンテーションを終えたらいよいよホストファミリーのお宅へ向かいます。以上がオペアプログラムの流れとなります。
次に実際のオペアの仕事についてです。オペアの仕事は週45時間、1日10時間以下と決まっていますが、実際はホストファミリーによって千差万別です。私の場合はホストマザーが日本人ということもあり、契約以上に働くということはありません。スケジュールとしては、月曜から金曜までは、朝8時〜夕方5時まで。週末、祝日はお休みをもらっています。他のオペアの話を聞きますと、朝子どもを学校へ送っていって、また迎えにいくだけで、それ以外の時間はフリーという場合もありますし、逆に家族の食事まで作っているというオペアもいます(実際には、家族の食事作りは契約に含まれていませんので断ることができます)。面倒を見る子どもの年齢が大きい程、学校や塾への送り迎えが仕事の中心となり、子どもの年齢が小さい場合は遊び相手になる、あるいは生活全般(食事やトイレなど)の面倒を見ることが主な仕事になると思います。仕事内容と量はトラブルの原因になりやすいので、渡米する前によく話合っておくことが必要です。
次に私の余暇の過ごし方ですが、ウィークデイは仕事で疲れていることもあり、あまり外に出ません。テレビを見たりインターネットをしているうちに夜は更けていきます。週末では、土曜日は図書館の無料のESLに通い、日曜日はマンハッタンにある語学学校へ通っています。学校の後は、オペアの友達とショッピングに行ったりごはんを食べに行ったりします。一人の時は映画を見たり美術館に行ったり、ホットヨガに行ったりしています。
また、オペアは月に1回オペアミーティングに参加することが義務付けられています。これはカウンセラーと、同じ地区に住むオペアが集まって毎月何かイベントを行います。私がこれまで参加してきたのは、インターナショナルフードディナー(それぞれの国の料理を持ち寄る)、国連ビル見学、メジャーリーグ観戦、ボーリングなどです。地域によっては同じ国の仲間同士で固まる、カウンセラーが話を聞かないなどミーティングがつまらないという話も聞きますが、私のところは毎回とても楽しいです。カウンセラーは明るく、いつも皆に話しかけてくれます。オペアの仲間も、ドイツ、フランス、タイ、ウクライナ、日本と様々な国から来ているためか、あまり一つの国で固まるということもありません。車の運転はNY以外の地域では必須となると思いますが、こちらは道路も広くさほど心配することはないと思います。
以上がオペアとしての私の生活になります。
こちらで生活を始めて5ヶ月ですが、正直もう5ヶ月も経ってしまったという気持ちです。英語力の上達はまだほとんど感じられませんし、やりたいことはたくさんあるのに毎日が過ぎていくのがとても早いです。私は数年働いてからオペアに参加しましたが、大学を休学して参加している人も多いです。またオペア終了後、再び渡米し大学に入るために勉強している人もいます。私も残り8ヶ月弱ですが色々体験して帰国したいと思います。
T.N