スペイン語レポート 04東北大YH H・Y
スペイン料理を作ろう!!
■ レポートの目的
普段、テレビ等で数々紹介されているスペイン料理を食べてみたいと思い、どうせ食べるなら自分で作ってみちゃえと考え実際に作ることにした。また、大学に入学しスペイン語を勉強してスペイン語圏の文化に興味を持ち、それぞれの国の文化を色濃く反映する「食」を調べることでそれらの国を考えてみようと思った。
■ スペイン料理への印象
最も有名なスペイン料理であるパエリャを考えると
シーフードが中心である
香辛料をたくさん使ってスパイシー
地中海性気候で夏乾燥、よって日本より農作物が弱そう
みたいな感じがする・・・・・
■ まず始めにスペイン料理を調べる
< スペイン料理の歴史>
イベロ族に始まり、ケルト=イベロ族、ギリシア人、カルタゴ人、ローマ人、西ゴート族、アラブ人と種々の民族が次々に占領を繰り返し、互いに影響しあってその食生活を決定したとされている。とくに、紀元前3世紀から始まるローマ、8世紀のイスラム文化、1492年のコロンブスの新大陸発見がスペインの食の転換期である。ギリシア人がオリーブ、ぶどうをもたらしたが、ローマ帝国時代にそれらの栽培が始まり、ワインとオリーブオイルはスペイン料理に欠かせないものとなった。8世紀のイスラム=スペイン時代は農業が発達し、バレンシア地方を中心に灌漑設備が採り入れられ、綿花、米、オレンジなどがつくられた。新大陸発見によって、とうもろこし、ジャガイモ、ピメント(パプリカ)などが伝来した。
< スペイン料理の特徴>
(1)ソースにたよらない料理である。新鮮な材料の味を引き出し、素材そのものをあじわう。例外はフランスに近いバスク地方。
(2)スパイスはあまり使われない。ピメントン(パプリカ)、こしょう、サフラン、オレガノが目につくくらいである。例外はバスク地方。
(3)本質的には、肉食の国である。魚介料理も豊富であるが、スペインは牧畜の国である。飼育数の多いのは、豚、羊、山羊、鶏が中心で、牛は酪農に適した大西洋側の北部沿岸地方に集中しており、飼育数は少ない。それらの動物の肉、内臓はもとより捨てるものはほとんどない。血も料理に使われる。
(4)生ハムや腸詰、チーズなどの保存食が発達した。前述したように、スペインは牧畜の国であり、肉や乳を保存し、食物供給の安定をはからなければならなかった。
(5)ワイン、オリーブオイルはスペインの食の基本である。その他にも、にんにく、たまねぎ、じゃがいも、トマト、アーモンドがよく使われる。
(6) 各地方独自の料理が生まれ、継承されているのは、変化にとんだ地形によるものである。その地形が生み出す素材があり、さらに、それが河川や高い山脈で分断され、交通通信が困難であったために土地の風習や食が伝統として残り続けることとなった。
たとえば、メセタといわれる中央部は荒涼たる山岳地帯で、牧畜が主な産業である。仔豚、仔羊、などのほか、狩猟による野鳥、野獣のローストが賞味できる。アンダルシアは、典型的地中海気候で海に近く、魚類の揚げ物が多く、ガスパチョはよく知られた冷たいスープである。バレンシア、ムルシアは、野菜、果物、魚介類が豊富でパエリャの本場。カタルーニャから、バスク、カンタブリア、ガルシアと地中海からビスケー湾にそって漁業がさかんで、それぞれ独自の魚介料理が存在する。
(スペインの食卓 柴田書店からの引用、一部略改)
■ スペインと日本の1人あたりの供給食料の比較(2000年、kg/年)
穀物計 | 小麦 | 米 | とうもろこし | じゃがいも | 砂糖 | 豆類 | |
スペイン | 100.4 | 89.6 | 8.2 | 1.7 | 84.5 | 30.0 | 5.9 |
日本 | 116.7 | 43.4 | 59.4 | 12.0 | 23.6 | 17.2 | 2.0 |
野菜 | 果実 | コーヒー | 茶 | アルコール飲料 | 肉類計 | 牛 | 羊 |
157.7 | 116.9 | 4.1 | 0.0 | 106.3 | 113.9 | 14.5 | 6.2 |
111.6 | 31.0 | 3.4 | 1.1 | 61.0 | 43.8 | 10.1 | 0.2 |
豚 | 鶏 | 牛乳 | 卵 | 魚介類 | バター | 消費カロリー(kcal) |
65.6 | 23.2 | 161.6 | 10.7 | 44.7 | 0.6 | 3352 |
17.9 | 15.4 | 67.8 | 19.3 | 64.8 | 0.7 | 2762 |
(地理データファイル 帝国書院より)
■ いろいろ調べてみて・・・・・
魚介類の料理が中心でありスパイスをふんだんに使い云々と思い込んでスペイン料理の本を開いたら前書きから「スパイスをあまり使わず、肉食中心で・・・」ときて、出端をくじかれた。しかし、前の表のように日本と比べれば魚介類の消費が少ないと感じるが先進国平均の23.5kg/年から比べればだいぶ消費していると思う。ようするに海に囲まれて山脈があって、ひとつの国の中でも地方によって様々な食文化を持ってるということなんだと思う。(ただ、国土の大半が山岳部で放牧が中心になるというだけで・・・)そこで、やっぱりスペイン料理で最もメジャーなシーフードを使ったパエリャを作ってみた。ついでに、またまた有名なスパニッシュオムレツにも挑戦した。
パエリャの作り方
材料(6人分):米・・・・・・・・・・2カップ
若鶏もも肉・・・・・・1枚 チョリッソ・・・・・・30g
車えび・・・・・・・・6尾 あさり・・・・・・・・6個
いか・・・・・・・・・1/2杯 ムール貝・・・・・・・6個
鞘インゲン・・・・・・50g 赤ピーマン・・・・・・1/2個
緑ピーマン・・・・・・1/2個 ピカーダ・・・・・・・50cc
ソフリト・・・・・・・200cc 肉のブイヨン・・・・600cc
サフラン・・・・・・・少々 レモン・・・・・・・・1個
ローズマリー・・・・・1枝 塩・・・・・・・・・・少々
こしょう・・・・・・・少々 オリーブオイル・・・・適量
注)ピカーダ・・・日本でいうみそみたいなもの。ナッツ類をローストして香ばしさをだし、パセリ、パン、にんにく、白ワインなどをつけしっかりすりつぶしてペースト状にしたもの。
ソフリア・・・香味野菜を揚げ炒めし、野菜が持っている甘さ、香りをしっかり引き出して作る調味料の一種。玉ねぎ、にんにく、トマト、ピーマンは必ず使う。
1.材料の下処理をする。
2.オリーブオイルで鶏、いか、えびを炒める。
3.米を加える。ブイヨン、ピカーダ、ソフリト、サフランをくわえ、ひたひたまで煮詰めたらチョリッソ、ムール貝、あさり、ピーマン、鞘インゲン、ローズマリーをいれる。
4.約220度のオーブンに入れ10〜15分たく。
5.オーブンから取り出しホイルでふたをし、約10分蒸らす。最後にレモンをかざる。
(スペイン料理 辻勲著より)
注)簡単のために今回はピカーダ、ソフリア等の調味料を使わず、市販されているパエリャの調味料を使った。また、材料はえび、いか、向き外、ピーマン、白ワインのみ。
作ってみたりした・・・・・
スパニッシュオムレツの作り方
材料:卵・・・・・・・けっこう使った。
ジャガイモ・・・けっこう使った。
ピーマン・・・・2個
玉ねぎ・・・・・半分くらい
1.材料を切り刻む。
2.ジャガイモをちょっとゆでた。
3.材料をオリーブオイルでいためた。しおこしょうをふり、味をととのえる。
4.といた卵を少しずついれた。ふたをして蒸してみたりした。
5.なんとかひっくり返してもう片面をやく。(メチャメチャでかいのを作ってしまってたいへんだった。)
6.なんとか、それっぽいのができた。(かなりオリジナルな感じ)
スパニッシュなデカさだった・・・・・
■作ってみて・・・・・
このレポートには関係のない話だが、自宅生ということもあり2年ぶりくらいに自分で料理を作った。ひどくつかれた。毎日の母の仕事ぶりに感謝。一人暮らしのみんなすごいよ、あんたたちは・・・・・
さて、スペイン料理を実際に作ってみた。パエリャなんていい味だしてたね、あれは・・・・・いいだしをしてるよ、魚介類たち。ぜひ、本場ものを食べてみたいね、だれかに作ってもらったやつね。さあ、オムレツだ。予想どうりの味でした。(適当に作ったから本場物とちがうのか!?)普通に食べれますね。普通に。好んで食べようとは思わないかも、だれかにつくってもらっても。
現実問題として文化の違いはこのオムレツみたいなものであると思う。ある国で主食のものであってもある国では主食でなかったり、食べられていなかったり、口にあわなかったり。現在、多くの海外の料理が日本にあり、パエリャのように日本人の口にピッタリの物もあったりもするけど(はたして、今回作ったものがどれだけ本物にちかいのか?)、多くは単純な味のものや日本風にアレンジされたものであり、異文化の食べ物は口にあわないものがほとんどであると思う。その口にあわないものこそが異文化であり、それを食べることが他文化に触れるひとつの手段なのかもしれない。そう考えると、今回、オムレツによってスペイン文化の一部が見れたのかもしれない。
オムレツだけでスペインを判断するわけにもいかないのでこれからいろんなスペイン料理を食べてみたいと思った。(現地で誰かが作った本物を・・・・・)
参考資料
スペインの食卓 柴田書店
スペイン料理 辻勲著
地理データファイル 帝国書院