学生 S・K (2009)
感想
この映画はスペイン内乱と第二次世界大戦の時代のラブストーリーで、ロンドン、パリ、スペインが舞台となっている作品である。監督はジョン・ダイガンで2004年に製作された。
この物語の主人公はスチュアート・タウンゼントが演じるガイという真面目な青年である。奨学金でケンブリッジ大学に通っていた。そこで出会ったのがシャリーズ・セロンの演じるギルダという魅力的な美女であった。身分が高く自由奔放で男遊びが激しく、ガイとはまったくの正反対の性格であった。二人はすぐに恋に落ちたが、ギルダは突然アラビアへ長期旅行をするといって離れ離れになってしまう。ガイは大学を卒業し、教師となりナチスの反対運動に参加していた。ある日、連絡の途絶えていたギルダから手紙が届き二人はパリで再会を果たした。ギルダは写真家として有名になっていた。そこでモデルとして雇われていたのはペネロペ・クルス演じるミアというスペインの亡命女性であった。実はギルダとミアはお互いに愛し合っていた。ガイは教師を辞め、ギルダの仕事のアシスタントとして働くようになり、三人で共同生活をするようになった。不思議な三角関係であったが、幸せな日々であった。
しかし、そんな幸せは長くは続かず、ミアの祖国であるスペインで1936年スペイン内乱が勃発した。ガイとミアはこの戦争を黙って見ていることができずガイは共和国の志願兵に、ミアは看護師として戦地に赴くことにした。ギルダは戦争に命をかけるのは無益だとしてひどく反対をしたが二人の決意は固かった。ガイとミアは戦場で落ち合い、お互いのギルダに対する気持ちを打ち明けあった。しかし、翌朝ミアは戦火の犠牲となってしまう。
1939年、スペインの内戦と入れ替わりに第二次世界大戦が勃発する。1940年ナチスはパリを占領する。ガイはスパイとしてフランスにもどってきて、ギルダとよりを戻そうとしたがギルダはそれを拒んだ。ドイツ軍の将校の愛人となっていたのだ。はたからみれば自分の幸せだけを追い求めるように見え、ギルダは住民からひどく憎まれていた。やがてドイツ軍は降伏するが、ドイツ人と関係を持っていた女性は制裁を加えられた。ギルダはその一人として犠牲となってしまう。しかし、実のところギルダは愛人となることによってドイツ軍の情報を集めスパイとしての役割を担っていたのだった。結局三人は離れ離れになってしまい、二度と再会することなく終わってしまう。
この作品は俳優が豪華であったが、少し期待が外れであった。前半は分かりやすいが後半は内容が難しく話しの流れについていけずとても疲れてしまった。時間の流れが荒く話の展開が速かったように感じる。
前半はラブストーリーという感じがしたが、ギルダに感情移入していけず何を考えているのだろうと理解に苦しんだ。本当にガイとギルダは愛し合っていたということを分かりやすく描いてほしいと思った。後半は別の映画だろうかというくらい戦争がメインとなっていた。歴史的な背景が分からないと理解が難しいので、あらかじめスペインの内乱などについて知っておいてから見るといいと思う。後半はとにかく時間の流れについていくのに疲れてしまう。また、ミアが亡くなるときもギルダが亡くなるときも何だかあっけない感じで、もっと感動できるようにならなかったかなあと思った。
悪い点ばかりを述べてきたが、シャリーズ・セロンとペネロペ・クルスがとても綺麗であった。レズビアンという設定には少し驚いたが、二人でダンスをするシーンなど本当に魅力的であった。
この映画は少し難しいが、二回三回と見ていけばもっと理解が深まると思う。まだ一回しか見ていないので理解ができていない点がたくさんあるだろう。スペインの内乱や第二次世界大戦を学んでからまた見てみたいと思う。