世界で一番醜い女

La mujer mas fea del mundo

 

制作年度 : 1999年

上映時間 : 109分

監督 : ミゲル・バルデム

出演 : エリア・ガレラ

学生 Y・K (2009)

あらすじ

 この映画は、看護婦さんがその顔を見ただけで失神し、産んだ母親さえも顔を見た直後にショック死してしまうほど、強烈で醜い容姿を持った主人公ローラ・オテロの話である。生まれ持ったこの容姿のために、ローラは辛い幼少期を過ごす。しかし、一人の整形医師によって誰もが羨む美貌を手に入れ、それと同時に、今まで自分を侮辱してきた人達に復讐を開始するのである。

感想

 整形前のローラは顔が醜くても、心は綺麗であった。しかし、整形を行い、美貌を手に入れた途端に、野心、憎悪、復讐の思いばかりが募り、心が荒んでいった。これは、ローラだけでなく、私達すべての人間に言えることであると思う。人はどんなに美しくても、どんなに裕福になっても、内面の美しさを失ってはいけないのである。心が貧しくなってしまうことは非常に悲しいことであると思った。しかし、もし自分がローラのような境遇であったら、そのようなことも綺麗事としか思えないと思う。自分の不幸な人生を恨むことしかできないような経験は今までしたことがないが、さぞ辛いのだろうと感じた。

 この映画は一見シリアスな殺人事件のようにも見えるが、意外とコメディ要素が強く、見る側を飽きさせない作りになっていると思った。特に警察の方々のキャラクターがしっかりしていて、彼らがシリアスな場面にも適度な笑いを入れてくれて、非常に面白かった。

 また、刑事とローラのクライマックスのシーンは感動的であった。同じような境遇の二人が、周囲の目も気にせず、互いのしがらみから解放されて抱き合うシーンは、心が本当に通い合った瞬間だったのだと思う。どんなに容姿が醜くても、心が綺麗ならば、きっといつか理解してくれる人が現れてくれる。だから決して心の美しさはなくしてはいけない、この映画はそのようなことを伝えたかったのではないかと思った。緊迫したムードの中にも笑いが盛り込まれていて最後には、人間として忘れてはいけないものを教えてくれるような心温まるお話です。是非ご覧ください。

 

とても素晴らしい映画だったのだが、一つだけお勧めできないところがあった。それはローラの素顔をさらけ出してしまったところである。この映画は、クライマックスになるまでローラの醜い容姿を見ることはできない。それまで私達は、共演者のリアクションでしかローラの素顔を感じとることができない。だからこそ、映画を見ている側は、ローラの顔がどれだけ醜いものなのかを想像で楽しむことができるのである。もし、映画上映中に一回も素顔を明かさなかったら、私達はローラの素顔に好奇心を膨らませ、人それぞれの想像の中で完結することができるのでないかと思う。以上のことから、ここが私のお勧めできない点である。

学生 T・S (2009)

感想

この映画を通して、国の国民性のようなものを感じました。

まず、映画は連続殺人犯の犯人逮捕を目標としているため、刑事さんが出てくるのですが、その刑事、警察の人々の会話のユーモアさが面白いと思います。

日本では、割とシリアスな殺人事件がストーリーにかかわってくる場合、警察や刑事の会話は基本的にまじめな話が多く、自嘲的な笑いなどが多い。

しかし、スペインでは笑いを取りに来ている会話が随所に見られ、国民の陽気さが出ているのがわかります。日本では、まじめにはまじめ。が基本だと思いますし、消極的なのも日本人の特徴のようにも思えます。国民性が映画という形で、文化、芸術を通して伝わってくるのが面白いです。

この映画自体は、近未来が舞台となっているため、基本はリアルな部分が多いですが、醜い女役の人の顔が、最終的に薬が切れた状態になってしまったため、変形してしまうのですが、そういった部分では、若干リアルではない面が見られるのもしょうがないと思います。それを差し引いても、スペイン人の明るさやユーモアさが伝わってくるものなのでしょうか。

映画の事前情報もなしに選んだ映画でしたが、思ったより面白い映画でした。あまりサスペンス系の映画は見ませんが、刑事さんが思ったより太った人が多かったのも特徴だとおもいます。

10年近く前の映画のため、かっこよさの定義が違うのは仕方ないことなのでしょう。ほかの国の映画を見ることで、国民性等が見られると思うので、積極的にスペイン圏以外の映画も見たいと思います。