パンズラビリンス

El laberinto del fauno

 

制作年度 : 2006年

上映時間 : 119分

監督 : ギレルモ・デル・トロ

出演 : イヴァナ・バケロ

学生 K・S (2011)

感想

 一見、ファンタジー映画なのだが一般的なファンタジーものよりもはるかに重く、暗い印象を受けた。

 ファンタジーとは今まで無縁のように思えたものを一緒にしてしまうということに衝撃を受けた。

 残虐な描写も多く、ファンタジーとはミスマッチな気もしたが、このような残虐な描写をリアルな世界観ではなく逆にファンタジーの世界に放り込んでやることによって、ラストシーンをより悲しく、感動を与えるのかもしれない。

 冷や汗をかくほどの残虐シーンも多く、気楽に見ることのできない映画だと思う。

 強く感じたのは、日本人ではこの発想はなかなかできないであろうということである。非常にオリジナリティあふれるものであったと思う。

学生 S・S (2011)

あらすじ

 この映画は2006年にメキシコ・スペイン・アメリカの合作で作られた最近の映画である。監督であるギレルモ・デル・トロはメキシコ出身であり以前にはブレイド2やヘルボーイなどを手がけた。特殊メイクについて学び特殊メイクや造形の会社を作った監督だけに本作でも、現実にはありえないものなのだがまるで本当にあるものように感じてしまうほどリアルな造形が見られることは見所の一つである。

 ストーリーとしては妖精やおとぎ話が好きな少女であるオフェリアがパンと呼ばれる妖精に出会うことから始まる。パンからはオフェリアは忘れているが彼女が地底の王国からこっそり人間の世界に抜け出してしまった姫であること、王様と王女様がその帰りを待っていることが伝えられた。そしてオフェリアが姫であるかの確認のために三つの試練をクリアしなければいけない。大きなストーリーとしてはこのとおりである。

感想

 私はレンタルショップでレンタルをして見たのだが、借りる決め手になったのが表紙の少女と裏に書かれたストーリーである。この二つから主人公である少女が迷宮をさまよいながら試練をクリアしていくファンタジーなのだと想像した。大方あっていたのだが、その表現がリアルでグロテスクのように感じた。そういう部分が苦手な方にはお勧めできない作品である言える。しかし、世界感やストーリー、演技はすばらしくなんども見たい作品であると感じた。そのため、この作品の魅力をうまく伝えられないのが残念である。

学生 T・N (2010)

あらすじ

 父を亡くした少女オフェリアは、母とともに再婚先のヴィダル大尉の駐屯地で暮らすことになった。体調の悪い母と、冷酷な父に悩んでいた彼女の前に、ある日妖精が現れ森の中の迷宮へ案内する。そこではパンが王女の帰りを待っていた。そこでパンは「あなたは地底の王国の姫君なのだと」いう。そこで彼女はこの現実から逃れるために、そして地底の王国の姫君になるため、パンから課された3つの試練を果たしていくのであった。

感想

 最初はファンタジー物かと思ってみたが、内容は結構グロテスクで暗い話であった。この映画は結構評価されているらしいが、個人的には中途半端な映画だと感じた。ファンタジーで押せばよかったのに、きつい現実世界をいれることであまり後味のよくない映画になったと思った。

学生 T・T (2009)

あらすじ

主人公の少女・オフェリアはスペインの内戦で優しかった父親を亡くした。ある日、母カルメンの再婚相手の独裁者派ヴィタル大尉の元に身を寄せることとなった。妊娠して以来、身体の調子を大きく崩していた母であったため、オフェリアは非常に心配していたが、街で暮らしていたオフェリアにとって、山の探検は大好きな絵本で読んだ夢物語そのものであった。大尉の小間使いであるメルセデスは優しく、オフェリアはすぐに彼女と打ち解けた。その夜、オフェリアはメルセデスと大尉の主治医が密談している現場を目撃してしまう。ふたりは反乱軍の協力者で、メルセデスは反乱軍の弟に情報と物資を渡すためにいつも危ない橋を渡っていたのである。

引っ越した先で出会ったカマキリを妖精だと思ったオフェリアは、深夜、家を抜け出して昼に訪れた森の迷路を進んだ。そこで出会った自然の守護神パンは、オフェリアは地底の魔法の王国のプリンセス・モアナ姫の生まれ変わりに違いないと言った。左肩にある印がその証拠で、満月の夜が来るまでに3つの試練に耐えられれば魔法の国に帰ることが出来るという。そこでパンから一冊の本と石を渡された。渡された白紙の本には不思議な文字が浮かび上がり、オフェリアには3つの試練の内容を示した。ひとつは蛙の腹から取り出した金の鍵。二つ目の試練は異界の扉を開けて時間内に帰還し、金の短剣を取ってくること。最後の試練は満月の夜に無垢なる者の血液を捧げること。試練を乗り越える中、母親が不正出血を起こし、日に日に容態が悪化する。そして出産の日、母が逝去してしまった。反乱軍である事がばれた主治医は射殺され、メルセデスは捕まるも命からがら逃走に成功する。激しくなる戦火、大尉との不和からオフェリアは脱出を決意する。大尉に追われながら、生まれたばかりの赤ちゃんを抱き、森の迷宮へと足を踏み入れる。

感想

冒頭、千と千尋の神隠しを彷彿させるような幻想的な建造物が出てきて、それをきっかけとしたファンタジックな表現が多く、非常に幻想的な情景の描写が多用されていると感じました。3DCGがとても綺麗で質感がよく表現されていると思います。現実と幻想、戦争と平和、絵本と現実の差分が非常によく表現されていて、ドキドキハラハラとするシーンは、見る人をあっという間に物語の中に引き入れます。ふわふわした非現実的なファンタジーの作品が多い中、この作品は異彩を放っているように感じました。麻酔の無い中での外科的医療や、痛みが伝わってくるシーンが印象的で、流動的な物語のアクセントとして非常に強調されていると思えます。昨今だと「うみねこのなく頃に」のように、愛がなければ視えないものがあるという事が、伝わってきて、まさにダークファンタジーの王道といえると思います。あと、スペイン映画はファンタジー要素があるほうがもろにリアルでグロイと思いました。