学生 T・N (2011)
あらすじ
1940 年頃、スペイン中部のカスティーリャ高原の小さな村オジュエロスに一台のトラックが入っていく。移動巡回映写のトラックで、映画は『フランケンシュタイン』。喜ぶ子供たちの中にアナと姉のイザベルがいた。その夜、映画に出てきた怪物(精霊)に興味を持ちったアナはイザベルから村のはずれの一軒家にその怪物に会えると聞いた。それからアナは何度もそこへ足を運ぶことになるのだが…。
感想
この映画『ミツバチのささやき』は以前からとても評判があったことや、ジブリ映画で知られる『となりのトトロ』のもとになった作品であると聞いていたのでとても期待していたのですが、今回この映画を見てみて、とにかく「凄い」の一言でした。
具体的にどこが凄いのかといいますと、まずは一番に印象に受けたのが映画シーンの描写です。普通の映画作品では一つ一つのシーンでカメラを動かしながら撮るのですが、この作品はそうではなく、ほぼすべてのシーンがカメラ固定撮影です。固定撮影では映画に迫力がでないのではないかという人もいるかもしれませんが、この映画はとても素晴らしい構図によるシーンで構成されていてまるで絵画の中に人が生活しているというように感じることができます。たまに背景描写で使われる水平移動による撮影がスペインの内戦終結直後の様子を壮大に表現していることも好印象でした。
次に良かったのはなんと言ってもストーリーですね。隠喩・対義表現を多く絡めてくるので、国語の苦手な人が理解するには厳しいかもしれませんが、その逆で難しい話が好きな人にはきっと面白いと思ってもらえると思います。ちなみに、内部的な話としては大人と子供の世界観の狭間で生まれた空虚やキノコ・フランケンシュタインといった隠喩を用いてストーリーを描いていくことによって、内戦終結後当時の戦争・政治批判を投げかけるというものです。
自分としては、キノコを食べるシーンがとても印象的で、戦争に対する恨み憎しみがとてもよく伝わってきて感動できました。
まあ、感想としてはこんな感じです。全体的に映画内の世界観がすばらしい作品だと思うので、皆さんもぜひ見てみてください。