学生 M・C
感想
映画という文化は各国に存在するものであるが、今回は初めてスペイン映画を鑑賞することになった。日本映画やアメリカの映画であれば、これ!という映画が思い浮かぶが、スペイン映画はどんな形の作品が主流で、代表する映画がどんな作品なのかということはまったくわからないのが正直な話である。
今回「マルティナは海」という作品を観た。これは日本では 2002 年に公開された作品である。主要登場人物は主人公のマルティナとウリエス、シエラという二人の男性である。純粋な少女であったマルティナが赴任してきた教師ウリエスとの恋に落ちることで大人の女性へと変化していく姿を描いているのが主な話になっている。映画は海で泳いでいたある少女が水面に浮かんでいる男性を見つけ、叫んで逃げるシーンから始まる。
始めにこのシーンがきて正直どうしてこのシーンから始まったのか理解できなかったが、このシーンは最後まで観ていくとそういうことだったのかとわかった。観ていて気になったのは、全体的にシーンが突然切り替わっているなと感じた。シーンが変わるごとにこれほどまで話を飛ばしているような作品を今まで観たことはなく、どこかおかしいよなと違和感があったが、このシーンがパツッと切り替わる作り方は意味があったなと最終的には思っている。
また、娘には近づくなと警告していたマルティスのお父さんが二人の結婚をそして、子どもができたことを予想以上にすんなりと許してくれたことにも不思議さを覚えた。ここはしきりに反対するべきところではなかったのかと思った。この映画を観て感じたことは、ほんとにこの二人の愛は海よりも深いものなのだなと強く感じた。ウリウスと結婚するもウリエスは生活に飽きを感じて失踪してしまう。妻であるマルティスも含め彼の周りではウリウスは死んだことになる。その後、結婚前から求愛していたシエラと再婚して暮らすマルティスだが、その後ウリエスが生きていたことが判明すると一点、今の生活を続けながらもウリウスとの愛を再確認し、再び深めていくマルティス。
「世界のすべての海を渡ってきたが、やっぱり君がいないといきていけない。」と失踪後にウリウスはこう語っているシーンがある。この言葉にウリウスはマルティスへの本当の愛情に気付いたのだなと感じた。マルティス自身も今あるシエラとの生活を続けながらも、ウリウスをかくまいウリウスとの愛を深めていく。ただ、これほど愛し合っている二人なのだが、最後は船に乗って街を去っていく途中でシエラの仕業の仕業により船が沈没し、悲しい結末を迎えてしまう。死んだはずだったウリウスが生きていて、愛していたマルティスを最後には奪われた形になってしまったシエラの気持ちも分からなくもないが、そこは愛の本質に気付いたマルティスをそっと見送ってほしかった。わざわざ船のトイレに穴を開けて、ペットのワニを船に残していき、浜辺にワニが打ち上げられることで船が沈んだことを確認しようなどと姑息なことをしてほしくなかった。映画を観終わって心に残ったのは二人の愛の深さは本当にどんな海よりも深く、そして広いものなんだなということと、他のスペイン映画の作品も観てみたいなという気持ちだった。考えさせられる作品であったことは間違いないし、愛のあり方について少し学べたようなそんな気がした。次はぜひ先生に薦めていただいた作品を観てみたいと思う。