苺とチョコレート

Fresa y Chocolate

(計3名の学生の感想)

時間:110

製作国:キューバ、メキシコ、スペイン合作

監督:トマス・グティエレス・アレア

出演:ホルヘ・ペリコリア、ウラディミール・クルス

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学生 K・S

推薦度:★★★★☆

あらすじ

舞台は占領下のキューバ。甘い物を食べる男は男として認められない。唯一口にできるものはチョコレートぐらいである。ある朝、主人公ダビドがチョコレートアイスクリームを食べていると、向かいの席に苺のアイスクリームを持ったディエゴという男が座ってくる。見るからにホモである彼を、青年革命同盟員であるダビドは冷たくあしらう。しかしディエゴの芸術的才能やものの考え方、自分とはまるで違う革命への志にダビドは次第に興味を抱くようになり、ディエゴと同じアパートに住むナンシーも加え、3人は互いに理解を示し深い友情で結ばれる。平和で楽しい生活を送っていた3人であったが・・・。

感想

これまでタブー視されてきた「男と男の愛情」を、母国への強い思い=革命心と絡めながら、コミカルチックに視聴者に訴えかける社会派的作品に仕上がっている。

ディエゴがダビドをどうにかして口説こうとして躍起になっている様子は必見!!

またいまいち同性愛に偏見を持ってしまうという方にもお勧めの一本。

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学生S・H

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

生真面目な学生ダビドが彼女にふられチョコレートのアイスを食べている時、苺のアイスを手に持ったディエゴがあらわれる。(苺は上品な女らしさの象徴であり、すなわち男性が人前で食べることは同性愛者を示す)初め、ダビトはディエゴに対し嫌悪感を持っていた。だが、彼の音楽、詩、小説、歴史、政治の深い知識に触れるにつれ、ディエゴの隣人の女性、ナンシーも加えて3人は次第に心を許しあう友人になる。しかし同性愛者=反社会分子という図式がまかり通る社会の圧力の中3人に暗い影が落としはじめる・・・(ビデオパッケージ参照)。

お勧めどころ

共産主義社会における人々の営みに触れることができる。学生の政治運動や、反社会分子とレッテルを貼られた人への圧力など、今日の日本とは異なった社会であり、新鮮である。

お勧めできないところ

物語が上手く完結していないところ。

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学生 M・T

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

舞台はキューバ。共産革命が起こっている最中。ダビドは革命派で政治を勉強しつつも文学を愛する大学生である。

ダビドは恋人だと思っていたビビアンが結婚してしまい絶望した日々を送っていた。そんな時「コッペリア」というカフェでディエゴと出会う。彼はストロベリーアイスを食べていた。チョコレートアイスだけが男性の食べていい甘いものとして認められているこの国で、ストロベリーアイスを食べるのはホモの証拠である。ダビドは関わらないように努めるが、ディエゴが見せる珍しい本や自分が演じた劇の写真などに興味を抱き、ディエゴの家に行ってしまう。ディエゴは大使館の協力を得て友人ヘルマンの作品を展示会に出品するという。

 寮でこの話を聞いたダビドのルームメイトのミゲルは反革命分子では、と疑いダビドをスパイとして送りこむ。再度訪れたダビドに驚きながらも自分の思想・芸術観について目を輝かせながら話すディエゴ。革命派のダビドに腹を割って反対の立場であることを伝えるディエゴにダビドは好感を持ち、外では他人という条件を加えつつも友情の杯を交わす。頻繁にディエゴを訪れるようになったダビドは隣人ナンシーとも親しくなる。

 ある日、ヘルマンの作品が出展拒否になる事件が起きる。ダビドは自分のせいでは、と心を痛め、スパイ行為をやめようと心に誓う。事態はさらに悪化しヘルマンが買収され亡命することになる。簡単に金を受け取るヘルマンと芸術を愛するディエゴは衝突し、ディエゴは展示会役員らに抗議文を送る。

 自分の書いた小説を見せたり、ビビアンのことで家を訪れたりするダビド。一方ディエゴも男性が好きというだけで圧力をかけられる苦しみをダビドに訴える。いつしかホモに対するダビドの偏見は薄れていた。

 ナンシーとも恋仲になり楽しい生活を送るダビド。しかしディエゴには亡命の危機が迫っていた。以前出した抗議文のせいでブラックリストに載ってしまったのだ。国を出る前に一緒に外出し、条件なしに友人となる二人。部屋に戻り「ホモの問題じゃなく僕を抱きしめて欲しい」というディエゴをダビドは友情を持って抱きしめる。

感想

あまりあらすじを把握しないで見たので、最初見た時は「同性愛」という言葉にびっくりした。革命や共産主義の話も出てくるので、1回見ただけでは理解しにくいが、2回目は思想のちがいも含めた友情物語だということがわかった。

お勧めどころ

最後のシーンである。初めは人間でないようなものを見る目つきだったダビドが偏見を捨て、ディエゴの人間性を好きになる。見ている私達もほとんどはダビドと同じく偏見を持っているだろうが、この映画が進むにつれてディエゴが好きになっていくのである。それゆえディエゴが受け入れられる場面では、深く感動するのだと思う。また有名な音楽や詩なども映画のところどころで出てくるので、文化的にもお勧めだ。

 ただ、同性愛者の話なので見る人によっては、いい感想は聞かれないかもしれない。