グロリアの憂鬱

 

制作年度 : 1984年

上映時間 : 101分

監督 : ペドロ アルモドバル

出演 : カルメン・マウラ

学生 S・S (2010)

感想

 まず最初の入浴シーンで驚いた。日本の映画と違って過激だと感じた。物語の内容については、ありふれた家庭の中で苦悩し葛藤していくグロリアの姿に、同情心がわいてしまった。ありふれた家庭とはいっても、その物語は少しずつ非現実的な要素を帯びてきて、けれどもそれが当たり前のように感じてしまう。登場人物や設定も、何だかとても濃い!と感じてしまう映画であった。

 グロリアの人生に、切なさを覚えてしまう内容の映画ではあったが、ラストシーンで次男が戻ってきてくれたことが救いだった。家族の絆って大切だと思った。親孝行しなければ。

学生 R・O (2009)

あらすじ

 マドリードに住む主婦グロリアは、掃除婦をして家計を支える。タクシードライバーの夫アントニオは自分のやりたいように生活し、グロリアを労わることもない。長男トニは温厚で優しい少年だがドラック売人をしており、次男ミゲルはゲイ・セクシャルである。さらに家にはドケチな姑がおり、公園で見つけた棒やトカゲなどなんでも持ち帰る癖がある。

 貧しいながらも家計を支えるために家事と仕事に励み、なんとか生活するグロリアだったが、次第に家族がバラバラになっていってしまう。

感想

 登場人物のキャラが強いという印象が強かった。家族だけでなく、売春婦の隣人、超能力を持つ少女を虐待する隣人、盗み癖のある作家の妻など、とにかくキャラが濃かった。

 息子の歯の治療もままならないほどの貧乏で、家族に振り回され、常にイライラと戦いながらグロリアは生活するのだが、次男を養子に出してから生活がめまぐるしく変わっていったのが分かった。苛立ちから夫を撲殺してしまい、長男と姑は田舎に帰ってしまい、独りきりになってしまうのは可哀想に感じた。イライラしながら懸命に生きる生活からは逃れたが、幸せな結末ではなく、最後には全員がバラバラになる(最後の最後で次男は帰ってくるのだが)というあまりに悲しい結末で、いつまでも憂鬱が続くんだなという印象を受けた。

 ここまで癖のある人物ばかり登場する日本の映画はなかなかないので、一度見てみると面白いかもしれない。

 だが、夫を殺害したにもかかわらず逮捕されずにグロリアがこれまでどおりの生活をしているのが変だなという印象を受けた。またハッピーエンドでもなくバッドエンドでもない終わり方もすっきりせず、腑に落ちない。お勧めの映画とは少し言いがたい。