宮廷画家ゴヤは見た

Goya's Ghosts

 

制作年度 : 2006年

上映時間 : 114分

監督 : ミロス・フォアマン

出演 : ハビエル・バルデム

学生 E・M (2010)

あらすじ

 18世紀末スペイン、ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は国王カルロス4世(ランディ・クエイド)の宮廷画家に任命される一方、権力や社会を批判する絵画も描いていた。ある日、彼のミューズであるイネス(ナタリー・ポートマン)が、ロレンソ神父(ハビエル・バルデム)が指揮する異端審問所にとらわれてしまう。そして彼女を救おうとしたゴヤが見たものとは……。

感想

 正直、テーマが重い映画でした。絵画とかちょっと興味があったので軽い気持ちで見始めたのですが、悲惨で残酷なシーンが多く、グロテスクなのが苦手な方にはおすすめしません。えー、ちょっとー、それってどうなんよー、の連続です。でも、宗教とか思想とかこの頃の時代背景とかに興味がある方にはおすすめですね。キリスト教、密かに憧れていたのですが、拷問で得た告白が証拠だとか、神を信じれば拷問にも耐えられるとかという理論がまかり通っていたというのが信じられません。当時の教会はいったい何を考えていたのでしょう。この時代のスペインは、“売春婦のまち”とか呼ばれていたようですが、このように体を売らないと生きていけない時代もあったのですね。自分がこの時代この場所に生まれたことを、心から幸福に感じました。ゴヤの絵は、写実が正確すぎて美しくは描いていないというのがナンセンスなところで、王妃に機嫌を損なわれるシーンが見受けられました(このシーンは唯一私が思わず吹き出してしまったところかな)。イネスが亡骸になってしまったロレンソの手を握りしめ、引き馬車にしっかりと付いて行くあのシーン、そしてそれを見守るゴヤの後ろ姿、ラストはなんともいえません。

学生 M・T (2009)

感想

 拷問を復活させた神父がひどい男だなと思った。無実で牢屋に入れられたイネスに手を出し、2人の間に生まれた子供のことは知らないふりってとこがひどいと思った。ただ1つ感動した場面は、娘が拷問を受けありもしない真実を吐かされたと知ったイネスの父のトマスが神父を自宅に招き、拷問を受けさせてイネスの無実を証明したとこである。娘のために神父を拷問にかけるほどの怒りから娘への愛情を感じた。

学生 S・O (2009)

感想

18世紀のスペインが舞台です。最初から最後までひとつひとつのシーンでの衝撃が大きかったです。まず拷問。キリスト教会によるユダヤ教徒弾圧のための拷問は、女性でも関係なく苦痛を与えていました。それによって牢屋に閉じ込められてしまいます。牢屋に入った人々は、とても人間とは思えない暮らしを強いられ、そのあとはナポレオンのスペイン侵攻の様子が描かれているのですが、これがかなりリアルです。高校で世界史Bをとっていた人ならぼんやりと分かると思います。ナポレオンの無差別殺人の様子と、部屋の中から見たゴヤが描いた絵は、確か教科書にも載っている有名な絵だった気がします。

私も途中で少し気分が悪くなったので、血液とか銃撃戦とか苦手な人にはおすすめしません。心臓に悪かったです。途中ゴヤの耳が聞こえなくなるのですが、映画の侵攻には大きな影響はないようでした。歴史にかなり忠実な内容だったので、英雄ではないナポレオンを見ることができます。

しかしそれからすぐにイギリス軍にやられていましたが。人間の描写が相当リアルなので、死人とか、衝撃的です。個人的な感想としては、後味の良くない映画でした。

学生 A・M (2009)

あらすじ

 舞台は1792年マドリット。未だにその名が有名である画家であり彫刻家のフランシスコ=デ=ゴヤを主人公として、フランス革命やスペイン王室の様子、さらにその時代の美術もみながら楽しめる作品となっている。

感想

 なかでも印象に残っているのは、やはり教会で行われていた異端審問だ。食事の際、豚肉を食べなかったというだけで異端者にされてしまうヒロイン、イネス=ビルバトゥアが拷問されるのは見るに苦しいものがあった。その時代に行われていた拷問とカトリックの宗を強制する教会が、昔といえど本当にあったことだと思うと恐ろしく感じた。

 この映画は、拷問の様子や多くの罪なき市民が殺されていく侵略の光景が生々しく再現されている。残酷でショッキングなシーンもあるため、そういったものが苦手な人は見ない方がいいかもしれない。しかし、それほどまでに歴史とその恐ろしくも美しい時代を生きた人々の様子をリアルに感じることができる作品ということなのだと思う。

 恐ろしい部分ばかり書いてしまったが、そのなかにも愛や友情を感じられるところもある。一つに親子愛があげられる。イネスが教会で拷問を受け閉じ込められているのを助けようと、イネスの家族は自分たちの処罰を恐れもせずに修道者のロレンゾを尋問、拷問する。娘を守るためなら手段を選ばないという家族の思いに親が子を思う気持ちの強さを感じた。また、監禁中にロレンゾの子を授かったイネスが生まれて間もなく離ればなれになった娘を正気を失ってもなお思い続ける様子からも愛をみることができる。友情は、何年経ってもイネスを見守り続けるゴヤとイネスの関係から伺える。人によっては愛情ではないかととらえる人もいるかもしれない。私は、イネスのことをどこか娘のように愛し、友として守り抜こうと決めたようにゴヤを見たので友情だと思った。それぞれの見方で楽しんでほしいと思う。

 この映画を通して、この作品でとりあげられている時代は、宗教問題や戦争、そして拷問などが多く存在し、悲しい歴史をもってはいるがその分今よりも親子の愛矢友情など、人と人との絆が強かったように思えた。そして人の生きようとする強さが現れているように思う。