エビータ

(計3名の学生の感想)

時間:135

製作国:アメリカ合衆国

監督:アラン・パーカー

出演:マドンナ、アントニオ・バンデラス

配給会社:ハリウッドピクチャーズ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生S・A

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

アルゼンチン大統領夫人エビータ・ペロンの生涯を描いたミュージカル。妾の子供だつたエビータが愛人を変える度に地位を上げ、ついには大統領である夫にめぐり合う。大統領夫人の座を手に入れた彼女は、そのカリスマによつて政治家には成し得なかつた政策をやってのける。しかし、大統領夫人の権力を濫用した彼女を国民は許さない。政権の地位が危なくなる頃、彼女は病に伏す。最後の演説に胸をつかれる民衆。そして彼女亡き後、国民葬には多くの国民が駆けつけ、やはり彼女はアルゼンチンにとつて偉大な人物だつたのだと思わずにはいられないのだつた。

お勧めどころ

エビータにうるさいアルゼンチン国民も受け入れたマドンナ=エビータがとにかく素晴らしい。田舎出の娘が都会においてのし上がるその様は、マドンナのそれに重なるものがある。ポソプス界の女王であるマドンナが歌う様も絶品。また、エバが実際に身に付けたというドレス96着が再現された。色調、素材、デザインと賛沢に作られたそれらが惜しげも無く登場するのには女性はたまらないのではないだろうか。ブエノスアイレスは南米のパリと言われているらしく、それに相応しいと私は感心した。 ドレスやジュエリーなどから、当時のアルゼンチンがヨーロッパ寄りの文化を有していたことが感じられる。もともとミュージカル上がりであるため、歌には非常に力が入つている。ミュージカルのスピードとリズムを失わず、それでいてミュージカルよりも分かりやすい点は評価できると思う。

お勧めできないところ

アルゼンチンの歴史を知らない人には、分かりにくい。また、興味を持ちずらい分野なので、せっかく素晴らしい作品なのに見られることすらないかもしれないのが残念と言わざるを得ない。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 H・H

推薦度:★★★★☆

あらすじ

 第二次大戦下において大統領夫人となりアルゼンチンの民衆から女神とよばれ支持されたエバペロンの生涯をたどり,なぜ一介の女優にすぎなかった彼女がこんなにも世論に支持されたのか,本当の彼女のどんな人物だったのかをさぐる伝記映画。       

感想

この映画は舞台をもとに製作されているため全編ミュ-ジカルのように歌で構成されているので苦手な人もいるかもしれません。内容はアントニオバンデラスが歴史の証人として説明してくれるため大変わかりやすい音楽もマドンナの曲でヒットしたものもふくみ大変すばらしいがほとんど英語の歌なのでスペイン語の学習にはならないが大戦下でのアルゼンチンの階級社会やタンゴなどアルゼンチンのことはすこし知ることができる。

 

 

学生 S・U

 私は魂の指導者ではありません。アルゼンチンの一国民にすぎないのです。きっとエバはそういうでしょう。結局エバは何もしなかったのではないのか。アルゼンチナの情熱と陽気さを逆手に取った。うまく利用した。本当に希望をもたらしたのか?

 彼女はいったい何をしたというのか。エネルギッシュで、したたかで、野心に燃えたくましく、女であることを武器に矛盾を秘めていた。愛人として生き抜き、男性を手玉に取る母親の姿を見て育ち、父親の葬儀に参列を許されず、押さえられながらすり抜け、父の棺にキスをした。あの時、幼いエバの心の奥に何かが宿った。

 15歳の少女は、ギターリストの愛人になり、大都会を夢見てブエノスアイレスへと向かう。当時、男性至上主義のアルゼンチンでは女性が愛人関係によって生きるすべとしていることは珍しくなかった。エバもそんな女性の一人であり、野心の道具として男性を利用したにすぎない。当然、生きるためであり、ためらいも、罪悪感などない。

 そして、ペロンとの出会いも思惑の中でしたたかに、男性を自分の虜にすることなどいとも簡単に巧みに男心を揺さぶっていった。女優としての演技力などないエバであったが、相手の心をつかむことは一流の才能を持っていた。

 軍事クーデターの勃発、恐怖政治の始まり、エバの力なくしてペロン大統領はいなかった。

 ミュージカル仕立てで展開されているのでとてもわかりやすい。エバは頂点に上っても上流社会では招かれざる客であり、権力は通用しないことを痛感する。結局、エバはその当時の貧しい労働者の娘で、運命に導かれたというよりは、エバの知恵と生きる力で、燃え尽きたのだ。33歳の若さで。

 エバの遺体は、紛失数奇な運命を辿り、1974年にブエノスアイレスに戻ってきた。彼女の伝記も一緒に読み比べてみると面白い。その後のペロン大統領についても興味深い。