学生 N・K (2010)
あらすじ
この作品は、巨額の不正経理・不正取引が明るみなって2001年12月に破綻に追い込まれたエンロン社の事件を背景にして再リメイクされた話である。念願のマイホームも手に入れ昇進も決定、ディックの生活は順調にみえた。しかし倒産後に失業、再就職先も見つからないが家族を抱えるディック。しまいに愛すべき妻のため芝生を盗んでしまったり、フラッペ一杯の飲み逃げから本物の強盗になったり、どんどん追い込まれていく。
悲惨で暗い米国の現実を下敷きに企業不正に負けることなく、この映画で明日から同じ立場の人も笑って頑張ろうと感じさせられる。労働者の辛い立場を浮き彫りにしたかのような社会派痛快コメディ。ジム・キャリーが徹底的にコミカル演出することで笑えない事実なのに笑ってしまう娯楽映画。
感想
事実だけを聞いてしまうと人生終わったようなもの。笑うに笑えない苦しさや圧迫感、絶望感に考えさせられものがある日本の派遣切りを彷彿させる恐怖の経済不況。それを笑い飛ばしてしまう明るさが全体ににじみ出ていて暗くさせないのが良かった。ジムの演技等のコメディの要素とシリアスな背景のストーリーを上手く調和している。
特に主役、妻ともに役者がとても良かった。会話は自然的で嘯いた回りくどさもなく違和感がない。アメリカならではの爆発さで、日本ではありえないと思いつつも弾けたコメディ演技が笑いを誘う。くすり、というよりは盛大に吹いてしまう場面が多々あった。ラストの展開は読めてしまうのですが、全体的な爽快感にスカッとした。見ていて楽しくなりたい人、見やすいスペイン映画を探している人にお勧め。