キャロルの初恋

EL VIAJE DE CAROL

 

制作年度 : 2002年

上映時間 : 104分

監督 : イマノル・ウリベ

出演 : クララ・ラゴ、フアン・ホセ・バジェスタ、アルバロ・デ・ルナ、マリア・バランコ

学生  A・F (2011)

感想

 1983年の春、アメリカで生まれ育った12歳の少女キャロルは、母親に連れられ、母の生まれ故郷であるスペイン北部の小さな村へやって来た。初めて暮らす異国の生活や、母との別れなど、胸に大きな悲しみを秘めたキャロルはトミーチェに支えられ、やがて二人は恋心を抱くようになった。しかし、戦争によって、その小さな恋は悲しい結末を迎えてしまう。

 素直な子供と大人たちの差が興味深く、12歳の少女が受けるには厳しすぎる試練の数々を支えたおじいちゃんと村の少年たちの優しさも心に響いた。なんとなく、爽やかさが残る映画だった。

 

学生  S・N

あらすじ

「キャロルの初恋」のあらすじは1938年の春、スペイン北部の小さな村。アメリカで生まれ育った自立心旺盛な12歳の少女キャロルは、母親に連れられ、母の生まれ故郷へやって来た。アメリカ人の父は義勇兵として国際旅団に参加していてなかなか会うことができない。はじめて暮らす異国の生活、そしてやがて訪れる母との永遠の別れ。胸に大きな悲しみを秘めたキャロルは、帰らぬ父を待ちながらも腕白で優しい少年トミーチェに支えられ、やがてふたりは恋心を抱くようになる。しかし、小さな恋は戦争によって悲しい結末を迎えることにるという感じの話で、観終わって感じたのが、まさか実話じゃないだろうけど、12歳の少女にこれでもか!というくらいの試練を与えて、だけど爽やかさを残す作品とはやはり監督の力量ってことになるのだろうか? という事でした。

感想

 このキャロルって女の子は、どちらかと言うと寡黙な少女です。だからこそ、言葉ではなく、表情で伝えなければならない・・・1年後の色々と経験した後の少女の成長を感じる表情の変化。優しさと芯の強さを持った目力。侮る事なかれ!このクララ・ラゴという少女は、やがてスペインを代表する女優として名を馳せる事間違いなしです。

 スペインの内戦の事は詳しくはないですが、子供の視線からもファシズムの勢力が強くなっていく不穏な状況は見え隠れしています。大人は触らぬ神に祟りなし・・・と見て見ぬ振りをするような状況も、純真なキャロルには理解出来ない出来事。そういう素直な子供の目線と、そうは言っても・・・という大人の分別。ウリベ監督には9歳と24歳の娘がいるそうです。そのどちらもが解る作品を・・・と作った作品だそうですが、その思いは充分に作品に反映していると思います。

 そして、12歳の少女が受けるには相当厳しい試練の数々を支えた優しいおじいちゃんと村の腕白少年達。なかでも最初は意地悪な悪がきにしか見えなかったトミーチェとの淡い恋心。この辺も女の子がおマセなのか、アメリカ育ちのキャロルが特別なのか、田舎の村の少年トミーチェのはにかんだ表情もとても印象的でした。もう一つキャロルの従姉妹の小さい少女がいたのですが、この綺麗な女の子は大きくなったらベアールになるかも?(笑)ってくらい、小さいのに色気のある子でした。

 

学生  C・I (2009)

感想

 観終わって感じたのが、爽やかさを残す映画だなということ。スペインの内戦の事は詳しくないが、ファシズムの勢力が強くなっていく不穏な状況は見え隠れしていた。戦争そのものを描かないのに、戦争の悲惨さを描ききっている見事な映画だった。戦争により、大人の世界がいかに狂い、それが子供たちにどんな悲惨な影響を与えるか、子供たちが健気で純粋、美しいだけに、より、いっそう戦争の悲惨さが引き立っていたと感じた。大人は触らぬ神に祟りなし。と見て見ぬ振りをするような状況も、純真なキャロルには理解出来ない出来事であった。そういう素直な子供の目線と、そうは言っても…という大人の分別が描かれていて興味深かった。そして、12歳の少女が受けるには相当厳しい試練の数々を支えた優しいおじいちゃんと村の腕白少年達。なかでも最初は意地悪な悪がきにしか見えなかったトミーチェとの淡い恋は見所だ。

 地味だけど、心に何か残る作品だった。短い時間の中で、子供の頃の色々な思いを少しだけ思い出させてくれるような、そんないい映画だった。なんといってもあの少女の目力が本当に印象的でした。とても魅力的な主人公に私は見入ってしまった。この映画の魅力はこの主人公にもあると感じた。