学生 S・N
あらすじ
「キャロルの初恋」のあらすじは1938年の春、スペイン北部の小さな村。アメリカで生まれ育った自立心旺盛な12歳の少女キャロルは、母親に連れられ、母の生まれ故郷へやって来た。アメリカ人の父は義勇兵として国際旅団に参加していてなかなか会うことができない。はじめて暮らす異国の生活、そしてやがて訪れる母との永遠の別れ。胸に大きな悲しみを秘めたキャロルは、帰らぬ父を待ちながらも腕白で優しい少年トミーチェに支えられ、やがてふたりは恋心を抱くようになる。しかし、小さな恋は戦争によって悲しい結末を迎えることにるという感じの話で、観終わって感じたのが、まさか実話じゃないだろうけど、12歳の少女にこれでもか!というくらいの試練を与えて、だけど爽やかさを残す作品とはやはり監督の力量ってことになるのだろうか? という事でした。
感想
このキャロルって女の子は、どちらかと言うと寡黙な少女です。だからこそ、言葉ではなく、表情で伝えなければならない・・・1年後の色々と経験した後の少女の成長を感じる表情の変化。優しさと芯の強さを持った目力。侮る事なかれ!このクララ・ラゴという少女は、やがてスペインを代表する女優として名を馳せる事間違いなしです。
スペインの内戦の事は詳しくはないですが、子供の視線からもファシズムの勢力が強くなっていく不穏な状況は見え隠れしています。大人は触らぬ神に祟りなし・・・と見て見ぬ振りをするような状況も、純真なキャロルには理解出来ない出来事。そういう素直な子供の目線と、そうは言っても・・・という大人の分別。ウリベ監督には9歳と24歳の娘がいるそうです。そのどちらもが解る作品を・・・と作った作品だそうですが、その思いは充分に作品に反映していると思います。
そして、12歳の少女が受けるには相当厳しい試練の数々を支えた優しいおじいちゃんと村の腕白少年達。なかでも最初は意地悪な悪がきにしか見えなかったトミーチェとの淡い恋心。この辺も女の子がおマセなのか、アメリカ育ちのキャロルが特別なのか、田舎の村の少年トミーチェのはにかんだ表情もとても印象的でした。もう一つキャロルの従姉妹の小さい少女がいたのですが、この綺麗な女の子は大きくなったらベアールになるかも?(笑)ってくらい、小さいのに色気のある子でした。