ブエノスアイレスの夜

 

制作年度 : 2001年

上映時間 : 105分

監督 : フィト・パエス

出演 : セシリア・ロス

学生 S・S (2011)

感想

 孤独に生きてきた主人公カルメンが、グスタボの「声」に惹かれていく。壁を間に挟んだ二人のやり取りに、初めはやきもきしながら見ていた。しかし、若く魅力的なグスタボに惹かれていくカルメンの様子が切なくて、自分の年齢やトラウマに、思うように行動できない姿が悲しかった。老いって女性にとってすごく怖いことだ と思うから。そんななか、グスタボは若々しさと純粋さでカルメンの心の壁を溶かし、「そのままの君でいい」なんて言ってくれるものだから、女性としてカルメンは本当に嬉しかったんだと思う。カルメンは強くて、周りの同情や優しさをはねつけていたけど、自分が甘えられる場所ができて本当に幸せな毎日を過ごせていた。け れどこのままハッピーエンドでは終わらなかったこの映画。カルメンの過去とグスタボの過去が絡み合って、悲しくて残酷な現実が突きつけられる。男女の愛と家族の愛について考えさせられる結末だった。でも一つ思ったことは、人の心の傷をいやすのは、やっぱり愛だってことでした。

学生 M・S (2009)

あらすじ

 カルメンは、昔軍人に拷問されたことがトラウマになって男性と付き合うことができなくなった。肉体的にも男性の肌に触れることはできなかった。一人で生きていたカルメンは人を愛せなくなっていた。ある日、遺産相続で故郷に帰ってきた。その故郷で、カルメンはグスタボを知り、若いグスタボの声を好きになる。最初はドア越しの会話があるだけで、お互いに相手の声しか知らない関係であった。そうしているうちにグスタボはカルメンを好きになり始め、猛アプローチをかける。そのおかげで男性を精神的に受け付けなかったカルメンもだんだんグスタボ自身を好きになる。年齢差を気にすることなく二人は愛し合い幸せな日々が続いていた。だが、最後には二人が実は親子であるという衝撃の事実が明かされた。

感想

 今まで私が見た映画よりも過激なシーン(官能的な場面)が多かった。最初の方は話が全然掴めなくて、そういう場面が続いたということもあり全然楽しめなかった。その点ではあまりお勧めすることができない。しかし、物語自体は個人的には面白いものだったと思う。グスタボのあまりに純粋な愛情に心が打たれた。カルメンがグスタボを受け入れ二人の思いが通じ合った時は心から良かったと思った。短い間だったが、二人の過ごす幸せな時間を見ていると私の気持ちも何だか幸せになった。その分、最後に明かされた真実は本当に悲しかった。いくつかの生涯を乗り越え二人は愛する気持ちをやっと手に入れたのに、親子という関係は二人が男女として愛し合うことを許してくれない。どうしようもなくいたたまれない気持ちだった。その事実を知った上での再会では、お互いが現実をしっかりと受け止めつつも、やるせない思いがあるのが伝わってきた。運命って残酷だなぁ、と思ってしまった。

 親子の事実が判明したのはカルメンの前の旦那の弟がカルメンの妹に過去の事実を話したためである。物語の後半にその話をする場面があったが、「今ここでそんな話になるか?」というような不自然な流れだったし、一気に話したので何だかつまらなかった。物語上でその事実を明かしたいがために無理に入れたような感じがした。もっとその明かし方や明かす場面をどうにかできなかったのかな、と思う。