ボンボン

BOMBON-EL PERRO

 

制作年度 : 2004年

上映時間 : 97分

監督 : カルロス・ソリン

出演 : ファン・ヴィジェガス

学生 A・I (2009)

あらすじ

 長年勤めたガソリンスタンドをクビになったファン(ファン・ビジェガス)は、娘夫婦の所に居候し、手彫りのナイフを売り歩いていた。彼はある日、車が故障して困っている女性(クラウディーナ・ファッツィーニ)を助け、家まで送って行くと、そのお礼に白い犬(グレゴリオ)をもらう。その犬は由緒正しき血統書付きの犬で……。

感想

 「コメディ」と分類されていたし、心温まるストーリー・・・といった感じで紹介されていたので、犬が引き起こすドタバタコメディかと思い、選びました。しかし実際は、ドタバタという感じは一切なく、特別大きく盛り上がるシーンもない、ひたすらゆったり進む映画でした。起承転結のはっきりしている、メリハリのある映画が好きな人にとっては退屈な映画かもしれません。

主人公のビジェガスが車の助手席にボンボン(犬)を乗せてドライブするシーンなどでは、ゆったりとした音楽が流れていて、とても良い雰囲気です。ビジェガスは人の良いおじさんで、ボンボンはとても大きい狩犬だけどどこか愛嬌があります。

のんびりとした映画ですが、雇用問題など暗い部分も多く描かれています。個人的には、犬を商売道具として扱う印象が強く残りました。大怪我をしたけれど奇跡的に回復した犬(ボンボンとは別の犬)に対し『痛みを感じない』と言った銀行員。種付け料のために、嫌がる犬を無理やり交尾させようとするトレーナー。ビジェガスと娘夫婦との気まずさや、緊張して朗読ができない娘に対する母親の冷たさなども、暗い気持ちになりました。

ところどころで、喧嘩するシーンや下品な表現が出てくるので、ちょっと注意です。

ずっと微笑んでいるビジェガスですが、ちょっと力のない笑顔のように私は感じました。困っているような、苦笑いのような・・・そのビジェガスが最後、吹っ切れたような笑顔になったのが良かったです。ボンボンも楽しそうで、これからの生活にちょっとした希望が持てるラストでした。

調べてみると、ビジェガス役の人を含め多くの役者さんが素人。役名も本名です。ビジェガス役は実際にガソリンスタンドで働いているそうです。だからこそ、自然体でリアルな映画になっていると思います。