あなたになら言える秘密のこと

The Secret Life of Words

 

制作年度 : 2005年

上映時間 :115分

監督 :イザベル・コイシェ

出演 :サラ・ポーリー、ティム・ロビンス

学生 T・Y(2011) 

感想

 主人公のハンナ(サラ・ポーリー)は製造工場で働くマジメで物静かな女性。耳が悪く補聴器をしているが、仕事への影響はない。今日も始業の合図と共に淡々と作業に浸り、誰とも付き合わず、言葉を交わすこともなく、一日はただ単調に過ぎていく。だが、そんな生活を逆に心配した上司は、半ばむりやり彼女に有給休暇を取らせる。「どこか旅行でも行って来い」。言われるままに訪れたのは、とある港町だった。ハンナはここで、海の真ん中にある油田掘削場で火災事故が発生したことを知る。そして、油田では火傷を負った男性がいまも看護を待っている、という話を聴きつけ、自らその役目を引き受ける。彼女はそのむかし、看護士だったのだ。さっそくヘリに乗り込み、ハンナは油田掘削場へと上陸。そこで、事故で一時的に視力を失った患者ジョゼフと出会う。寝たきりながらも陽気に言葉を交わそうとするこの男と、この海の孤島に住む不思議な住民達と一羽のアヒルとに挟まれながら、ハンナは少しずつ心を開き始めていく。冒頭から、文句たらたらだったけど、結構楽しめてしまった。ハンナの変化が楽しくて、食い入るように見てしまった。 自分が一番気に入ったシーンは、ハビエル・カマラ演ずるサイモンと、サラ・ポーリー演じるハンナがブランコに乗るシーン。青春を思い出した自分はとてもやってみたくなりました

 このあたりになるとハンナもだいぶ笑顔をみせるようになっているが、最初のころは威圧的で、誰にも心を開かない状態をずっとみてきているので、なんとも幸せな気持ちになれた。

 時に未来を阻むかもしれない彼らの過去の苦痛も、次第にふたりを苛む時は少なくなるだろう。 いつしか、人生は楽しいと心から思えるときがやってくる。そんな穏やかな希望を感じさせる強靭な愛の物語だった。

学生 Y・T (2011)

あらすじ

 イギリスのとある街の工場で働くハンナは、働き者ではあるが誰とも口を利かず、孤独な毎日を送っていた。彼女の過去は誰も知らない。時々どこかに電話をかけるが、相手が出ても何も話さずに切ってしまう。全く休まないハンナを見た上司は、彼女に無理にでも休暇を取るように勧め、ハンナはある港町にやって来る。しかし休暇など欲しくなかった彼女はとりたててすることもない。そんな時に入った中華料理屋で、至急看護婦が欲しいと携帯で話す男を見かけ、ハンナは看護婦だと告げる。ある油田掘削所で火事が起こり、重傷を負った男性を看護する人が必要だという。ハンナはすぐにヘリコプターで採掘所に向かう。患者のジョゼフは重度の火傷を負っており、更に火事のせいで一時的に目が見えなくなっていた。ジョゼフは彼を殺そうとした男を助けて重傷を負ったとハンナは聞かされる。ハンナは黙々とジョゼフを看護する。ジョゼフは時には強引に、時には冗談を交えて何とかハンナ自身のことを聞き出そうとする。そんなジョゼフや、採掘所で働く心優しいコックのサイモンに、徐々にハンナは心を開いていく。

感想

 ジョゼフの世話をするうちに、ハンナが徐々に心を開いていくという展開は王道であるが、前述のディテールの積み重ねや、ジョゼフの目が見えないという設定が、ある種の説得力として効いてくる。油田掘削所の新鮮かつ不思議な景色もまた、そこに一役買っている。 全体的にイザベル・コヘット監督の演出は丁寧で、役者の演技も申し分ないが、それでもいくつか物足りない部分もあった。ヒロインがある料理を食べて心情を大きく変化させる場面などは、気持ちはわかるがもう少し強調してもよい気がする。個人的には、ここに限らずハンナの心の変化に少々唐突な印象を受けた。演じるサラ・ポーリーの表情をもっと映してほしいと思う。私は、作り手がいいたいことは、リアリティを重視したつくりの割に相当ファンタジックなものだと思うが、それでも夢を見させてくれる程度の説得力はあった。最後に再開するシーンがあったが、感動的な再会の場面だった。現実にはこんなハッピーエンドはないのだろうが、せめて映画の中だけでも、という監督の優しさなのだろうと思った。