All about My mother
監督 ペドロ・アルモドバル
制作 1998
主演 セシリア・ロス
(学生:M・Y)(2011)
あらすじ
息子(エステパン)から「お父さんについてすべて教えて」 と 17年前に別れた夫について聞かれた母マヌエラ。長い間隠していた夫の秘密を遂に話さなければと覚悟を決めた矢先、彼女は最愛の息子を事故で失ってしまう。息子が残した父への想いを伝えるため、彼女はかつて青春時代を過ごしたバルセロナへと旅立つ。行方不明の夫を探す道のりは、マエヌラが“女”としての自分を取り戻す再生の旅でもあった。
最愛の息子を失い、とても傷ついていたマヌエラだが、ロサやウマやアグラードたちと出会い、慰め、時には叱咤激励し、彼女たちにとって無くてはならない大切な存在になっていく。
感想
ロサは生まれてくる子に「エステパン」という名前をつけ、ウマは彼の写真を楽屋に飾っているシーンがあるが、そのことがまた、マヌエラの心の傷を徐々に和らげているに違いないと感じた。
人と人との関係が、「死」という残酷な形で断ち切られたとしても、いつしか、別の誰かと新しい関係性がつくられていくのだと希望を与えてくれる映画だった。
(学生:T・K)(2011)
感想
主人公マヌエラの人生は山あり谷あり。決して平坦ではない日々を、たじろぐことなく凛として生きていく。映画終盤のそんな彼女の姿が見る者の心を打つ作品です。
最大のテーマは、苦しい状況にありながら、逞しく、やさしく、美しい女性達への応援だと思った。
(学生:H・S)
あらすじ
この作品は17歳の息子を育てるシングルマザーマヌエラが息子の死をきっかけに過去を思い出す旅に出て、そこで再会する友人のアグラード、かつての夫であるロラ、また新たに出会うシスターロサ、女優ウマ・ロッホとの関係を描いていくストーリーである。
感想
まず、息子のエステバンは作家になって母親についての本を出すことを夢見ていた。毎日ノートを欠かさず持っていて、彼の死ぬ直前のノートにはまだ1度も会ったことの無い父親について知りたいと書かれていた。マヌエラは父親を探しにバルセロナからマドリードへ向かう。まず最初に出会うのが、友人であったアグラードである。アグラードは性転換手術を受け、売女として生活していた。私はここで性別に対しても日本とスペインでは認識の違いがあると感じました、彼女は外見こそ女性ですが、男性器はあえて残しているのです。それは売女の集まるカンポの客も両方を持つ人を求めているからである。両方の性を併せ持つことが非常に不思議だった。彼女は性の対象としては男性からも女性からも求められるが、どこか悲しげであると感じた。ただ、マヌエラやシスターロサといるときは本当の女性として笑顔でいるような気がした。また、ウマ・ロッホは彼女が本当に輝ける場所を与えたのである。
そして、アグラードの紹介でマヌエラが出会ったのがシスターロサであり、後に彼女の妊娠が発覚する。その子の父親はアグラードと共に売女をしながら、アグラードの財産を奪って逃げたロラであった。実はロラはエステバンの父親でもあり、マヌエラは動揺した。しかし母親に妊娠のことを言い出せなかったロサをマヌエラは熱心に援助していた。マヌエラは彼女の姉のようであり、また母親のようであった。ロサの父親は認知症で、彼女のことを娘だと分かっていない。また母親も父親の世話に追われ、ロサとの関係をおろそかにしていた。父親に会うシーンは私の中で最も切ないシーンであった。ロサはマヌエラのことを本当に尊敬していて、息子にもエステバンと名づけ、二人の子供として育てることに決めた。彼女は子供を産んですぐ亡くなり、彼女の葬儀でマヌエラはロラと再会した。ロラはその時自分には2人も子供がいたことを知り、しかもそのうちの一人は自分の知らないところで亡くなっていた。このシーンではロラの後悔が非常によく表れている。
この作品は登場人物それぞれが家族に関わる孤独を抱えていて、その中で友情を築き、心の頼りを見つけていくというものである。3人のエステバンやニナは母親の存在をより引き立たせるものであった。マヌエラは周囲の人たちを前進させるすごいパワーの持ち主だと感じた。この作品を見た後は、友情が孤独を克服する上で大切なものだと感じ、様々な状況で様々な孤独が存在するのだということを知る。
(学生:M・Y)
あらすじ
この映画の主人公は謎の多い38歳の女性マヌエラ、息子のエステバンと誕生日に演劇を見に行き、帰りに女優のウマのサインをもらおうとタクシーを追いかけていき、車にはねられてしまう。マヌエラはそのショックに耐えきれず、かつて夫だったローラに子供がいたことと、そして死んでしまったことを伝えるために一人旅立つ。故郷にもどり、かつての親友であるアグラードと会い、働く場所を探すため、シスター・ロサと出会う。さらに、ロサは実は妊娠していて、妊娠させたのは、マヌエラのもと夫、ローラだった。ロサは、ローラにエイズをうつされ、それを、母やシスターの仲間にも言えず、マヌエラと一緒に暮らすことになる。最後に、ロサはエイズにより死に、その葬式にローラが現れた。ローラはオカマになり、また、エイズにより体を蝕まれていた。マヌエラはローラに自分とローラの子供がいたこと、ロサの子供が生まれたことを伝えた。そして子供はエイズに打ち勝ち、この物語は終了する。
感想
私はこの映画でマヌエラはいいお母さんだと思いました。彼女の人生はいいことばかりではありませんでしたが、いろんな人と出会い、別れ、そのなかで、強く生きていました。また私は、マヌエラの親友であるアグラードが大好きでした。アグラードは芸名で、知りあう人を喜ばせたく、アグラードという名前にしたそうです。アグラードは、オカマだったのですが、本物の女になるため努力し、しかし、せっかく整形した鼻も殴られてまがってしまったのですが、それをネタにし、人を笑わせるなど、最高でした。
(学生:R・O)
あらすじ
主人公のマヌエラは臓器移植コーディネーターで、一人息子のエステバンとマドリードで暮らしていた。息子の誕生日に、今まで隠されてきた父親のことを話してほしいと言われるが、エステバンに話す直前、交通事故で息子を亡くしてしまう。情緒不安定なマヌエラは息子の死の悲しみを背負いながら、夫と出会ったバルセロナへ向かう。バルセロナでの生活していくうちに、マヌエラは現実へと向き合えるようになっていく。
感想
登場する数々の女性たちに降りかかる不幸を、主人公を中心に助け合いながら乗り越えていく姿は見るものの心を動かします。話の内容は重いのにも関わらず、女性たちの友情の様子のおかげで、暗くなりすぎず、非常に見やすいです。女性の強さや友情をメインとしていますが、人間の死、エイズ、アルツハイマー、麻薬中毒などの様々な社会問題も盛り込まれているので、考えさせられる作品となっています。ストーリー展開が速く、飽きない作品になっているだけでなく、多くの要素が含まれていて、深い作品でもあるので、是非とも一度は見てもらいたい映画です。
(学生:M・N)
あらすじ
マドリードで息子エステバンと二人暮しのマヌエラは、息子の誕生日に彼の父親との思い出の演劇を見に行った帰り、交通事故で息子を亡くしてしまう。深く傷ついたマヌエラは彼の父親に息子の死を告げるためにバルセロナへと旅たつ。バルセロナで旧友との再会や新たな人間関係を築き、生活していく。息子も知らなかった母親の過去が少しずつ明かされていく。
感想
この映画のなかには売女やドラッグ,整形そしてエイズなど自分の周りではあまり身近ではないものがすごく身近に存在していて、とても驚いた。自分にとってそれらはとても刺激の強いものであるため、国が違うと文化も違うし、人々の日常にあるものも違ってくるということをよく見ることができた。
たくさんの人がでてきて、最初は理解するのに大変だった。ロラは“彼女”と呼ばれていたので最初は分からなかったが見ていくうちに実際は“彼”から”彼女“に変わったのだということが分かったときには驚いた。それだけでも驚いたのに、息子にも明かしていなかった父親の正体がそのロラであるということが分かったときにはもっと驚いた。
最初に書いた通りこの映画では、売女やドラッグ、エイズなどが登場人物と密接に関係している。日本では差別や偏見の対象になりうるであろうことも、マヌエラであったりウマ・ロッホであったりが当たり前のように受け入れ、その人の特徴などでみるのではなく、その人自身のことを見つめていることに感動した。
マヌエラはエステバンに最後まで父であるロラのことを告げることはなかったし、ロラのことを話すときには悪いことを言っていたため、きっと憎んでいるのだろうと思っていた。しかし実際にロラに会ったときには全くそんなことはなく、むしろ好意的にも見えた。それもそのはず実はロラという名前は芸名のようなものであり、本名はエステバン。マヌエラは息子に父親と同じ名前をつけていたのだから納得それもだった。
自分はこの登場人物たちのような環境で生活する可能性は低いけれども、それぞれの生き方がとてもかっこよいいと感じた。
(学生:M・M)
感想
母親と子どもの絆や愛が、二人の会話だけでなく、ハグやキスという挨拶から伝わってきた。
日本人にはない行為だから余計そう感じたのだろうが、とても羨ましく思った。
母親の子どもへの愛情、母親にとっての子どもの存在・大切さが、事故直後の行動から痛いほどわかり、涙が出た。
特に、瀕死状態の息子に対し「私の息子、私の愛する息子…」と泣きながら叫ぶ母親の姿が、とても辛かった。
人はいつ死ぬかわからない、と改めて思った。
自分の人生がいきなり終わるかもしれないし、一瞬にして誰かがいなくなるかもしれない。
生と死を見つめ直すことができる作品だった。
私は、題名から家族愛がテーマだと思い、この『オールアバウトマイマザー』を手に取った。
しかし実際には、脳死や臓器提供、遺族の心情、ドラッグや性転換、エイズ…など、
作品を観る者にさまざまな衝撃を与えるものでもあり
かなり複雑で深かったため、予想外だった。
本当に考えさせられる作品だった。
人生に疲れたとか、生きているのが嫌になったとか、そういう人に勧めたい。
考え方が変わるだろう。
(学生:T.K.)
あらすじ
主人公マヌエラは息子エステバンと二人暮らし。別れた夫のことを息子に聞かれ、長い間隠していた夫の秘密を話そうと決意した矢先、彼女は息子を事故で失ってしまう。息子が残した父への思いを伝えるため、マヌエラは夫と過ごした土地であるバルセロナへと旅立つ。
感想
タイトルの示す通り、「母親」という存在の様々な形をあらわした映画。また、上手く散りばめられた社会問題と社会の枠を越えた友情を描き出している。一見の価値あり!!!