赤い薔薇ソースの伝説

学生

時間:114分

製作国:メキシコ

監督:アルファンソ・アウラ

原作・脚本:アラウ・エスキベル

出演:ルミ・カバソス、マルコ・レオナルディ

配給会社:にっかつビデオ(株)

推薦度:★☆☆☆☆

あらすじ

舞台はメキシコ革命下のメキシコ。良家の末娘に生まれたティタは、ペドロという青年と相思相愛の仲だった。しかし、彼女の母親は、家のしきたりを理由に彼女が結婚することを許さない。そこでペドロは、ティタのそばにいるために、彼女の姉ロサウラと結婚し、姉妹の家で暮らし始めた。ティタとペドロは、家族の目を盗んで会おうとするが、なかなか機会が得られない。

 そのうちにペドロとロサウラの子供が生まれる。ところが、その子はまもなく死んでしまい、ティタは発狂する。そんな彼女をいたわったのが、医者のジョンだった。彼女はテキサス州の彼の家で療養し、次第に彼に心をゆるしていく。そして彼の愛を受け入れ、結婚を約束したのだった。

 その頃、実家は革命軍の襲撃を受け、母親が兵士らによって殺されるという事態が起こった。家に帰り、再び同じ屋根の下で暮らし始めたティタとペドロは、ある晩ついに結ばれる。それによって彼女は妊娠した。

 そんなときに、もう一人の姉ヘルトルーディスが現れる。彼女は革命軍の兵士にさらわれていたのだが、何と将軍になって帰ってきたのだった。ヘルトルーディスはティタがペドロの子をはらんだのを知り、ペドロとの結婚を強く勧めた。本当に愛し合う人同士が結婚することこそ真実であると言う。

 その頃から、ティタは母親の霊に悩まされるようになる。母親の霊は娘の不道徳を責めた。しかしティタは反発し、自由に生きることを主張する。そこで、母親の霊はペドロに祟りをなした。彼はキャンプファイヤーで大やけどをするのである。ペドロの治療にあたったのはジョンだった。その折にティタは、ジョンにペドロとの子ができたことを告げ、彼との結婚を断った。彼は悲しみを隠して、二人の前途を祝福する。しかし、実ははらんでなどおらず、ただの想像妊娠に過ぎなかったのである。

 ロサウラは、二人目の子供を産んでから体調がおかしくなっていた。そのせいでペドロに疎まれていると感じた彼女は、ティタに嫉妬するが、そのまま病死する。

 二十年以上の歳月を経て、ようやくティタとペドロは正式に結婚することができた。その晩、二人は心おきなく愛し合うのだが、ペドロは突如腹上死してしまう。ティタは悲しみのあまり家に放火し自殺する。

感想

 あまりお勧めできる映画ではない。これほど凄惨な悲恋の物語はほかにないと思う。

 題名中の「赤い薔薇ソース」とは、ティタが台所を任されてから一周年になるのを記念して、ペドロがティタに贈った薔薇を、鶉料理のソースにしたものである。しかし、この「赤い薔薇ソース」が登場するのはそれきりで、物語の中での意味は小さい。何のために題名に用いられているのだろうか。まして何が「伝説」なのやら、理解に苦しむところである。

 しかし、しきたりにこだわる母親と自由を望むティタとの葛藤が何を意味するのか、メキシコ革命という時代の波に視点を置いて考察してみることは、面白いかもしれない。