カラスの飼育

(計6名の学生の感想)

時間:110

製作国:スペイン

監督:カルロス・サウラ

出演:アナ・トレト、ジャラルディン・チャップリン

配給会社:ELISA QUEREJETA

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 Y・N

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

 父の死から始まり、ペットの死に至るまで様々な死の形態が映画全体にあらわれている。父母を亡くし、姉、妹と共に母の妹と暮らすことになった少女アナ。その生活のあらゆる場面に亡くなった人々、特に母が現れるのだ。しかもそれを当たり前のように受け止めアナ。アナの目には「死」というものがどのように映っているのか。また、父の不倫関係、母の病気はどう受け止めていたのか。その上、冷蔵庫を開けると必ずあらわれる鳥の足の山。これらは一体何を意味しているのか。最後まで目を離すことのできない映画である。

お勧めどころ

 子供たちが夫婦喧嘩の真似をするシーン。「子供たちが起きてしまうから大声を出すな」と言っているが、子供たちがそのようにして大人の世界を知っていくのかということがわかる。

お勧めできないところ

 場面が現実なのか虚構なのかがわかりづらいところだろうか。ただそれを見つけること自体この映画の楽しみ方でもあるのだろうが…。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 T・Y

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

 この物語は主人公の女性が少女時代を回想するという形で進んで行く。物語の冒頭で主人公の父が死亡し、父母を失った主人公ら三姉妹は母の妹である叔母に引き取られることとなる。この叔母との生活を軸として散文詩的に生前の父や母とのエピソードが挿入され、一つの物語が展開して行く。生前の主人公の父は女性にだらしのない人間で主人公の母は常に苦しんでいた。この環境の中で主人公は大人社会への不信感を次第に抱くようになって行く。そして病弱であった母の死は父親のせいによるものだと感じた主人公は父に殺意を抱くようになる。

 そして父と母を失った主人公らは叔母の元で新しい生活を開始する。しかしその生活のなかで彼女らの保護者である叔母は彼女らの父と同じことをしようとする。父や叔母らという汚い大人社会の象徴を見せられた主人公はその幼さゆえの純粋さにより大人達の社会を拒絶する。そして、ついに主人公は彼女の周りの大人社会の破壊を願い生前の母から手に入れた“毒薬”を叔母が飲むミルクに混入させるのである。

お勧めどころ

 とにかく話が分かりにくい。作品は非常にスローテンポで進み平坦かつシュールなシーンが淡々と続いて行くのみである。専門家の方々や文学的素養のある方々からは「ぜんぜん違う」といったことや「内容を全く理解していない」といったお叱りを受けそうであるが、私の今の理解力では上記のあらすじのように解釈することで精一杯であった。

お勧めできないところ

俳優陣の演技は非常に素晴らしく特に主人公が“毒薬”を混入する時の表情には背筋が凍る思いがした。又、内容とは全く関係ないが作中で使用されているスペイン語は比較的平易でそこそこ聞き取ることができ良かった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 R・W

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

母を病気で亡くし、次いで父を亡くした3人の姉妹が母の妹のもとへ引き取られ、祖母とメイドとともに6人で暮らしはじめる。次女を中心にして、亡くなった母を慕いながら大人たちの複雑な男女関係・人間関係の中で送られる日常生活を描く。

感想

少女の幻覚とも言うべきシーンを中心に据え、成長した少女の回想を含めて、やや非現実的な映像で全体が構成されている。その効果であると思うが、3人の姉妹が両親のいざこざをままごとのように真似したり、母を慕って泣き叫んだりといった、で幻覚亡以外の場面の現実感がより強く感じられる。また、現実味を取り去った無機質な雰囲気が登場人物の心の奥底にある激しい感情を見る者に伝える。グレイゾーンを広く持つ構成になっているため、それぞれの人物の複雑な感情を自分なりに解釈する可能性を持っているとも言えるが、製作者の意図や本質を理解しようという点からすれば分かりにくい物語であるとも言える。

 3人の姉妹が遊んでいるシーンが最も印象に残った。どこにでも見られる光景のはずであるが、この少女たちはどうも無邪気に遊んでいるようには見えなかった。というか、無邪気な子供が遊んでいる、という、通常目にする光景を重ねることができなかった。子どもだからといって何も分からないわけではなく、小さな子どもも大人と同じようにいろんなことを感じ、複雑な気持ちを抱えているということなのかもしれない、と思った。

 少女が無心に慕う母親や、突然3人の子どもの保護者となってしまった叔母、姉妹の父親と愛人関係にあったメイド、過去を思ってばかりいる祖母、そういった大人たちの持つ、子どもを慈しむ気持ちや、一人の人間として持つ理解しかねる感情。そういった対比に、人間関係の、不確かなバランスのような部分が感じられた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 K・Y

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

母を亡くしているアナは,三人姉妹の次女である。アナは,父が発作で死んだ時に偶然居合わせ,その時,父の寝室から女の人が出て来るのを目撃してしまう。そして,その事が生前の母を苦しめていたのだと知る。その後,三人姉妹は,おばに引きとられることになり,叔母は三人の母親代わりになろうとするが,亡くなった母を忘れられないアナは,それを嫌う。ある日,おばが,妻を持っている男性と抱き合っているのを見たアナは,おばに殺意をいだくが,未遂に終り,そのままで暮らしていくことになる。

お勧めどころ

全体的に作品の雰囲気は重く,主人公である女の子も,表情の極端に少ない子で,時折「死にたい」などと口走ったりする。しかし,子供というものは,変わろうと思えば変われるもので,映画の中には,20年後にちゃんと人間らしく成長した彼女も出てくる。だから,未来に向かって,この子の人生も明るくなってゆくのだろうと想像できる点は,良かったと思う。また,主人公が子供時代に,おばの家で姉妹と一緒に遊ぶシ-ンがあるが,あの場面の彼女は,いつになく楽しそうであり印象に残った。その時のBGMも場面にあっていて良かった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 O・K

推薦度:★★★★☆

あらすじ

この映画は、主人公である、アナがその少女時代の思い出が、時系列に従わずに次々と映され、構成されています。。アナは、母親が好きでしたが、母は、その夫に裏切られ、病に冒されて死んでしまいます。母の死後、アナは母を悲しませた父を恨み、父がほかの女性と寝ているときに、飲み物に毒を入れ、殺してしまいます。父の死後、母の妹が、後見人、保護者として、一緒に暮らし始めるが、うまくいきません。アナにとっての少女時代は、死に直面し、未知の物を恐れ、眠れぬ夜をすごすという悲しい思い出がほとんどすべてです。アナの目は、未知の大人の世界をみて、その矛盾を目の当たりにし、それを死という形で終わらせようとします。

 最後に、叔母に、毒を盛って殺そうとしますが、失敗に終わり、新学期をむかえて学校に行くシーンで終わります。

お勧めどころ

 私がこの映画で一番好きなシーンは、アナとその姉妹(姉と妹)が、音楽に合わせて、踊っているシーンです。このシーンだけは、なんかいろいろな、苦しみや悲しみから開放されて、ただ楽しそうだからです。全体としてみてもいい映画だと思います。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

学生 T・N

推薦度:★★☆☆☆

あらすじ

三人姉妹の次女であるアナは一さじで人を殺せる薬を持っていた。母親は父親の不倫に悩み原因不明の病気になって死んでしまった。そんな父親を憎いと思ったアナは薬を父にのませてしまう。父はなくなり、両親を失った姉妹はおばにひきとられる。母親のことをおもいながらアナは過ごしていたがある日おばが不倫しているのをみてしまい、父に抱いていたような殺意がおばに向けられることとなる。

お勧めどころ

この映画は不幸な家庭環境にある少女の心情をえがいたものであるが、その無邪気さとそれに同居する残酷さが痛いくらいによく表現されていた。劇中ながれる主題歌が哀愁をかんじさせるいいメロディだった。

お勧めできないところ

出演するおとなたちがほとんど不倫している。スペインという国を誤解しそうになる。