アンダルシアの恋物語

学生 T・N

時間:103

製作国:スペイン

監督:Vicente Escriva

出演:Cristina Hoyos, Sancho Garcia

配給会社:東芝EMI株式会社

推薦度:★★★☆☆

あらすじ

 アンダルシアといえばスペインでも最も暑く、強烈な太陽が光と影を作り出す情熱の地。そこを舞台に、この映画はいわばスペイン版「ロミオとジュリエット」を演じている。相対立するジプシーの家系タラント家とモンターヤ家。そのような中で恋におちる若いふたり、、、。幼いころに父親を殺された青年マヌエルと、厳しい父親に生活を拘束される美しい娘アナ。お互い、過去からの両家の確執という背景を憎みながらも、それに立ち向かい、自ら新たな道を進もうとする。そしてそうした2人を見守り、両家の関係を改善の方向へもっていこうとするタラント家の母親マリア。彼女の母親としての力強さは、一家を支える父親の不在を感じさせず、フラメンコを生業とするジプシーの家の女性の力強さを思わせる。ビデオの中盤で彼女が語る「恋は神様が与えた最高の喜び」という言葉は、息子を勇気づけるとともに常に前向きに歩もうとする彼女自身の姿勢がうかがえる。

 密会を重ね、2人の感情が高まるなか、結婚式を挙げるまでに至るが、そこで不幸がおとずれる。アナを愛するモンターヤ家の使用人ピカオによって、彼のタラント家への憎しみとマヌエルに対するアナを奪われた嫉妬のために愛する2人は殺されてしまう。

感想

 一度は修復されかけたかにみえた両家の確執が、やはり過去から未来へとつづいていくのだという暗い歴史の繰り返しを暗示している。

 話の展開全体に関しては、予想に反しないという点で安心して見られるストーリーではあるが、やや単調な気もする。全体を通して映像の明度が暗く、重い印象をうけ、それがストーリー全体の重い、深刻な雰囲気を作り出しているが、舞台がアンダルシアであるという構成上、特にフラメンコの場面においては原色的で非常に印象的な明るさがある。力強く、迫力のあるフラメンコを伴う明るさとその他の部分の薄暗さによる対比が、ジプシーの生活、暮らし、人生における明暗をより一層際立たせているといえる。

 ともかく、悲劇の純愛ストーリー好き、ラテン系の濃い男性好みの人にはお薦めできる一作である。