冬休み特別編2
〜教育用ソフトやデータを入手できるページ
市川 尚(岩手県立大学ソフトウエア情報学部)
1、 はじめに,
前回は、冬休み特別編として、メーリングリストをとりあげました。今回は特別編の第2弾として、教育用ソフトやデータを入手できるページを紹介します。このテーマについては、以前の夏休み特集でもとりあげたのですが、読者の皆様の希望もあり、再び登場です。
ソフトやデータを「入手」できると言っても、最近では、ネットワーク(ブラウザ)上でそのままソフトが起動するもの(JAVA)も多く登場してきていますので、イメージ的にはこの言葉がまるっきり当てはまるわけではないかもしれません。これまで、教材ソフトやデータは、パソコン通信等で自分のコンピュータ上におとしてきたり、オフラインでどこからか苦労してとってきたり購入したりするものだったのですが、Webが登場した現在、これらはかなり楽に、そして様々なものが手に入るようになったと言えるでしょう。
例えば、子どもたちにブラウザを使わせ、何か授業に関連する情報を収集できるページを見てもらえば、それは、これまで学校が使っていたようなコンピュータ用の教材ソフトと遜色の無い(それ以上の)ものです。広くとらえれば、ホームページ自体がすべて授業に役立つホットなデータであり、ソフトであると言えるでしょう。こうしてみると、膨大なホームページのなかから、有効利用できそうなものをみつけ、子どもたちに必要な部分を見やすいように加工し、提供するという教師の情報(インターネット)活用能力がますます必要となってきます。
本稿ではホームページ紹介の範囲を限定するために(夏休み特集同様に)、ダウンロード色が強い(HTML形式でないものをローカルディスク上におとしてくる)ホームページを中心に紹介していきます。ホームページだからといって、HTML形式やブラウザ上でできなければ駄目ということはまったくなく、むしろ学校で授業に使ったワープロ文書などでも、他の教師は十分に利用可能なのですから、とにかくどんどん公開していくという精神が大切だと思います。
教育用ソフト・データを入手できるホームページは、教師個人、学校、教育関係機関、企業等、幅広くから公開されています。ダウンロードできるフリーの教材(ソフト)を開発しているのは、やはり理系の先生、理科関連や数学関連が多いようで、そのあたりが充実しています。また、徐々にではありますが、教育機関(教育センター等)がWebを活用してホームページから、教材を提供することをはじめているようです。
夏休み特集のときに紹介したホームページは次のものです(詳しくは、バックナンバーをご覧ください)。
● CRDC:岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター(http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/index.html)
● 大日本図書ホームページ(http://www.egg.or.jp/dainippon-tosho/)
● Vector Software PACK(http://www.vector.co.jp/)
● 石川県高岡中学校「数学の部屋」(http://www.nsknet.or.jp/~y_aoki/)
● 岐阜県関市緑ケ丘中学校の林先生によるホームページ(http://www.tcp-ip.or.jp/~k-rin/)
● 鈴木茂先生による「釣りと教育」(http://www2s.biglobe.ne.jp/~s-sigeru/main.htm)
● 宮崎大学付属小学校「画像データベースプロジェクト」(http://fes.miyazaki-u.ac.jp/)
●三重県鈴鹿市立郡山小学校ホームページ(http://www.myk.ilc.or.jp/~sakura/)
今回は、これ以外のホームページを紹介していきます。
2、教育用ソフトやデータを入手できるページ
●マイクロソフト オフィス 教職員向け文例集 (http://www.microsoft.com/japan/education/ssp/;図1)
このページでは、教職員の校務文書作成を支援するサンプル文例集(マイクロソフトオフィスのワード、エクセル、アクセスファイル等)が提供されています。校務文書をつくるときに、文例集を少し修正すればいいので、一から作るよりは先生方の手間を軽減できることでしょう。文例集は、お盆と正月を除く隔週金曜に、追加リリースされるそうです(99年6月末までには500種類以上約700アイテムの文例を公開予定とのことです)。「全公開文例」では、これまでに公開された文例が、日付ごとにリストされています。地域懇談会のお知らせや、なわとび認定証のワード文書ファイル、児童・生徒名簿のアクセスデータベースファイル、ソフトウェア台帳として整理するエクセルファイルなど、用途に応じたファイル形式で公開されています。
こういった文例などは、先生方が公開しているページから得ることもできます(例えば前述した岐阜県緑ヶ丘中学校の林先生によるホームページでは、学級通信、各種実践記録、学習プリント・自作ドリル、校内研究関係文書等のファイルがダウンロードできます)。
●キッズシティ(http://www.kids-city.com/;図2)
「ソフト検索」では、幼児向け・小学生向け・中学生向けのオンラインソフト(シェアウェア、フリーウェア)が、国語や算数、英語などに分類され、そこからダウンロードできるソフトの一覧を見ることができます。「けいさん名人チャレンジ広場」では、このホームページ上で公開(ダウンロード可)している「けいさん名人」というソフトについて、子どもたちから寄せられた成績ファイルをもとに、「けいさん名人」、「さんすうはかせ」の表彰しています。ただ、ダウンロードするだけでなく、ソフトとホームページの連携がみられるサイトであり、子どもたちの意欲を引き出そうとしている努力が伺えます。各学年の全レベルをクリアーした人を「けいさん名人」と呼ぶそうです。
また、「WebMagazine」では、最新キッズソフト情報(日本や海外)や、お父さんお母さんの為の情報、先生のための情報など、ソフト(インターネット)に関する最新情報を得る事ができます。
●日本教育ソフト協議会ホームページ(http://www.jces.or.jp/;図3)
このホームページは、教材をダウンロードできませんが、市販の教育ソフトを紹介しています。いわいる教育用ソフトの2次情報が載っているホームページです。「教育用ソフトウェア一覧」では、この協議会の会員になっている各社の市販教育ソフトを検索することができます。会社名やソフト名、利用対象や教科、対応OSなどから探したいソフトの情報を選択し検索すると、その結果として出てきたソフトの商品構成、実際の画面をはじめ、デモ版の有りなしや、会社の概要まで知ることができます。会社の紹介のなかには、その会社のホームページへのURLが載っており、そこに行けば教育ソフトの詳しい紹介が載っていたり、試用版をダウンロードすることができるところもあります。
●大黒小学校ホームページ(http://www.osumi.or.jp/sakata/;図4)
自薦・他薦のホームページとして紹介する予定だったのですが、ちょうどテーマが一致したので、教員自らがWeb教材を開発して公開している例として紹介します。このホームページを作成している先生は、インターネット上での教材開発に興味を持っているとのことで、自分から進んで開発し公開しています。「教材作成・活用の実験室」では、開発されたweb上の教材を見ることができます。そのなかの「スロット計算の部屋」では、JavaScriptで作られたスロット教材があります。かけざん、たしざん、ひきざんのスロットがあり、スロットをまわしながら、ゲーム感覚でまなぶことができるようになっています。その他にも、「面積の公式」、といった算数関連の教材から、社会科や音楽にいたるまで、多くの教材が公開されています。
●山中先生による「竹の音」(http://www.ne.jp/asahi/yama/kin/;図5)
ある特定の教科のソフトをダウンロードできるページの例として、このホームページを紹介します。ここでは、数学用のWINDOWS用のVB(ビジュアルベーシック)で制作した教材ソフトを入手できます。「公開CALソフト一覧と無償ダウンロード」では、数学に関する多くのソフトが、その内容解説とともにリストされ、ダウンロードできるようになっています。例えば、「どっきん」という3D画像表示・作成ソフトや、微分・積分学習用ソフト 「微積」などがあります。また、それらのソフトの実際に使用している例を「公開CALソフトの使用例(画像) 」で見る事もできます。
●福島県教育センターホームページ(http://sub.ipc.fukushima-u.ac.jp/~g001/;図6)
教育センター等で教材を提供している例のひとつとして、このホームページを紹介します。「ダウンロードサービス」の「教材用ソフトコーナー」では、Windowsの入門者を対象としてマウスのクリック・ドラックを練習するソフトをはじめとして、教育センターで開発した多くのソフトをダウンロードすることができます。また、「各種資料コーナー」では、Access97テキストなど、情報教育研修で使用するセンター作成の研修用テキストの各種資料を提供しています。「ソフトウエアライブラリー」では、教育センターにあるソフトのリストや、「今月のおすすめソフト」を見ることが出来ます。
● L-Internet Resource Center(LRC)(http://www2.lint.ne.jp/~lrc/;図7)
ここは教育とは関係なく、一般にオンラインで配布されている、たくさんのフリーウエアやシェアウエアを集めたホームページです。インターネット、HTML、テキスト、ファイルマネージャ…のカテゴリにわかれ、そのなかにソフトの詳しい紹介や、シェアウエアならその値段等、そして実際にダウンロードすることができます。
●ホームページ作成のためのデータ
ホームページ紹介の連載ですので、ホームページを作成するためのデータをダウンロードできるところも少しだけ紹介します。ホームページ作成のに使えるフリー画像集などを提供しているページは多く存在しており、例えば、G-TOOL(http://www.siliconcafe.com/gtool/)があります。また、自分で何かホームページにインタラクティブな仕掛け等をつくりたいときなどは、ネットサーフレスキュー[Web裏技](http://www.rescue.ne.jp/)で、プログラムなどが配布されており、技術的にあまり詳しくない人でも、ホームページに掲示板等を持つ事ができます。このようにホームページを作る際は、その手助けとなるものが、ネットワーク上にたくさんあります。
3、自薦他薦のホームページ
● 協和発酵の「バイオDEクイズ」(http://www.kyowa.co.jp/bio_quiz/nf_qlist.htm;図8)
協和発酵のホームページから、「協和発酵資料館」に進むと、この「バイオDEクイズ」のページへのリンクをみつけることができます。ここでは、「入門コース」「チャレンジコース」「博士コース」にわかれています。タイトル通りクイズ形式になっており、入門コース「私たちの体の中に、微生物はいるか?」などの簡単な問題から、博士コースの「クローンとして作った生物の遺伝子は?」など難しいものまで、すべて3択問題として用意されています。問題に正解してもはずれても、解説がでてきます。そこには実際の微生物の拡大写真等なども表示され、視覚的にもわかりやすいものとなっています。まったくわからない人は、あらかじめ「豊かな暮らしを支える “バイオ”たち」などで、勉強することができます。一度のぞいてみてください。
自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/new/
図1 マイクロソフト オフィス 教職員向け文例集
図2 キッズシティ
図3 日本教育ソフト協議会ホームページ
図4 大黒小学校ホームページ
図5 山中先生による「竹の音」
図6 福島県教育センターホームページ
図7 L-Internet Resource Center
図8 協和発酵の「バイオDEクイズ」
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