教科別ホームページ紹介その2

第3回
〜国語科関連のホームページ


市川 尚(岩手県立大学ソフトウエア情報学部)

はじめに

  前回は、社会科関連のホームページを紹介しました。今回は、読者からの希望もあり、国語科関連のホームページを紹介します。なお、97年4月号から98年3月号まで本紙に連載した教科別紹介の国語科関連紹介でとりあげたホームページは次のものです(これがすべてではありませんが、97年12月号に国語科関連のホームページとして紹介したものです)。詳しくは、バックナンバーホームページでご覧ください。


 今回も前回同様、これまでに紹介したページとは、なるべく重複しないように紹介していきます。

国語科関連のホームページ紹介

熊本県湯島小・中学校ホームページ(http://www4.justnet.ne.jp/~yushima1/;図1)
  小さな島にある小さな学校のホームページです。国語関連の公開が充実しており、特に「YZH計画」は大変に面白い試みです。この計画は、生徒たちがつくった湯島の紹介を、他の方言ならどうなるのかを知るためにインターネットで呼びかけ、他の地域の方言に直してもらおうというものです。その直してもらった結果は、ホームページで参照することができ、同じ文章にたいして他の地域ではどのように言われているのかがわかるので、比較しやすいです。39都道府県の人たちに協力を得たとのことで、いろいろな地域の方言が載っています。
 また、「学習」には、「湯島のおすすめスポットを比喩で表現しました(中学2年)」や「短歌を作りました(中学2年)」といった国語の授業でつくった作品を公開したり、「詩の交流学習「わたしと小鳥とすずと」(小学3.4年)」では、読みを深めるために他の学校と読み取った誌の内容を交換する交流を行っています。

取手中学高等学校ホームページ(http://www.edo.toride.ibaraki.jp/;図2)
 このホームページでは、各教科の情報(国・数・英・理・社・体育)がそれぞれ充実していますが、今回はそのなかでも中等部の国語のページを紹介します。
 「教材に関連した読書のすすめ」は、中学校各学年ごとに教科書に関連した図書が紹介されています。教科書に沿った形で提供されているので便利です。「夏休みの推薦図書」にも、国語科の先生方が選び出した名作傑作をひとり2冊程度紹介しており、解説も詳しく載っています。「生徒の作品」では、生徒の読書感想文やそれに対する講評、生徒からの推薦図書を見る事ができます。「文学散歩」は、小説「土」をはじめとする、名作の舞台となった場所を先生方が旅したことが、画像等をおりまぜながら紹介しています。場所の紹介だけでなく、その作品の作者に関する紹介もされており、これを読めば作品への理解が深まることでしょう。「主なサイトへのリンク」では、図書館などのページへのリンクが、「百人一首の世界」では、問題が出題されます。「次回のお知らせ」では、生徒からの読書感想文等の原稿を募集しています。

TAMABURIさんによる「たまぶりぶり通信」(http://www.asahi-net.or.jp/~gi9k-srs/;図3)
 「授業実践記録」では、高校「現代文」の山田詠美・鎌田敏夫・清水義範・鷺沢萠など現代作家の作品を取り上げた授業実践が紹介されています。授業の展開だけでなく、その作品をどのように読んでいくかや、生徒たちはどのような感想をもったかが詳しく紹介されています。ページ作者(先生)の考えなども入っており、大変興味深く読む事ができます。ほかにも、教室で配布した教科通信・学級通信を紹介するとともに、教育雑感・読者通信・教育関係リンクのコーナーなどもあります。

片桐先生による国語教育(http://www.nttl-net.ne.jp/niagara/kokugo.htm;図4)
 新潟県立堀之内高等学校の片桐先生によるホームページです。夏目漱石「こころ」では、 高校の授業での「読み」をまとめたものが載っています。HTML形式と一太郎形式が用意されています。「Kの性格教科書部分」・「教科書未掲載部分」や、「私の動揺」「Kの自白」等の形象読みといった内容が載っています。ひとつのテーマについて深めたものを先生が情報発信をしている例です。授業に関わったものすべてを公開するのではなく(かなりの苦労を要しますから)、自分の得意な部分だけでも公開していけば、そのうち各テーマがそろい、インターネット上の国語の情報もますます充実してくるのではないかと思います。また、「漢詩の訳詩」では、生徒たちがつくった漢詩の詩訳が紹介されています。

漢詩の世界(http://www.cent.saitama-u.ac.jp/kanshi/kanri/head.html;図5)
 このホームページは、漢詩の世界を,詩人別・テーマ別・年代別に紹介しています。それぞれの作品には、「書き下し文」や「語訳」、「通解」、そして、漢詩に関連する画像や音楽的に朗詠したものが聞ける作品もあります。各ページでは、きちんとリンクが整理され、関連する項目にすぐに飛ぶ事ができます(例えば、作者から、作品へ等)。授業での補助資料や発展学習教材等への活用が期待できます。

日本古典文学ホームページ(http://www.zzz.or.jp/pjcpress/pjc-db01.htm;図6)
 このホームページは主に大学受験のために作成されています。日本の古典文学の物語、歴史軍記物、随筆、歌物語、和歌、俳諧、紀行文、歌論などの分類から、源氏物語や徒然草、万葉集をはじめとして様々な作品の解説が載っています。それぞれの解説にはまず、クイックデータとして、ジャンル、 時代、作者、作品構成が紹介されています。内容としては、登場人物、それから、登場人物に関しての詳細や、あらすじ、家系図、などがあります。各個所には、「重要古語・難解箇所」といった印があったり、本文が載っていないものもあり、ウェブ上の参考書といった位置づけと言えるでしょう。

青空文庫(http://www.voyager.co.jp/aozora/;図7)
 このページでは、著作権が切れた作品、およびネット上での公開が許された作品を、テキスト形式、HTML形式、エキスパンドブック形式で載っています。作家別、作品別に50音順に整理されています。このように電子化してもらうと、教材づくりの際に簡単に加工することができたり、大変に役にたつと思います。これらは、ボランティアの方々により支えられているプロジェクトであり、「青空文庫のしくみ」にある「現在テキスト入力中の作品」や支えている人たちのリストを見ると、多くの人々がボランティアで協力して関わっている(電子化して下さっている)ことがうかがえます。今後もどんどん作品が増えていくことでしょう。

すとん先生による「電網和室」(http://www.venus.dtinet.or.jp/~stone/;図8)
 このホームページは、現職の高校国語教諭がつくっている日本語(国語)・国文学・国語教育のホームページへのリンク集です。「MENU(目次)」では、ホームページが分野別に分類されています。その分野は、「日本語(国語)関係」「国文学関係」「国語教育&教育全般」 「国語関係のML」 「その他、国語関係」にわたり、そのそれぞれに多くのホームページがリストされています。「It's NEW (新着情報)!」では、今月の興味深いホームページ(国語に関連した)を紹介しています。インターネット上に構築された国語教育に有効と思われるホームページの情報を、使いやすい形で案内整理し、国語教員たちのインターネットへの入り口になるという目的のもとに作成されています。

自薦・他薦のホームページ紹介

茨城県土浦第二小学校ホームページ(http://www.educ.tsuchiura.ibaraki.jp/~nisho/;図9)
 「交流(姉妹校)コーナー」では、インターネット上で情報交換をする仲間としてインターネット姉妹校をつくり、海外の学校などとその地域にあったテーマで交流をしています。例えば、オーストラリアのエラノラ小学校と,川や湖の環境汚染について情報交換をしています。そこでは、情報交換にホームページを使用しており、言葉少な目で写真が多く使われています。文字だけでは交流できなくても、ホームページなら交流を進める上で、視覚的にカバーすることができます。また、こういった海外を視野においたホームページのために、すべてのページの英語版が用意されています。たいていのホームページは、一番最初のページやメニュー、最低限必要な場所のみが英語というサイトをよく見かけますが、すべてのページにというのは、かなりの苦労があったのではないかと思います。しかし、海外の人たちにとっては、わからない部分がないわけですから、安心して読むことができることでしょう。現在は、5年生のめだかの観察を進めているようで、観察の進め方に関することや、姉妹校(日本の学校)との交流日記などが紹介されています。姉妹校の募集も行っているようです。このように、交流を円滑に進めるためのひとつのツールとして(メールでできない部分を補ったり)、ホームページが活用されています。他にも、「コンピュータ授業に関する研修」についてなど、いろいろ情報が発信されています。

自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/new/

図1 熊本県湯島小・中学校ホームページ
図2 取手中学高等学校ホームページ
図3 TAMABURIさんによる「たまぶりぶり通信」
図4 片桐先生による国語教育
図5 漢詩の世界
図6 日本古典文学ホームページ
図7 青空文庫
図8 すとん先生による「電網和室」
図9 茨城県土浦第二小学校ホームページ


Return to:
 ホームページ紹介バックナンバーリスト

ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jp