教科別ホームページ紹介その2
第2回
〜社会科関連のホームページ
市川 尚(岩手県立大学ソフトウエア情報学部)
はじめに
前回は、教科別紹介その2の第1回目として(その1は97年4月号から98年3月号まで本紙に連載)、理科関連のホームページを紹介しました。 第2回目の今回は、社会科関連のホームページを紹介します。なお、以前に紹介したページは次のものです(これがすべてではありませんが、97年8月号に理科関連のホームページとして紹介したものです)。詳しくは、バックナンバーを入手して(お持ちの方は読み返して)頂くか、バックナンバーホームページをご覧ください。
今回も前回の理科紹介と同様に、これまでに紹介したページとは、なるべく重複しないように紹介していきます。
社会科関連のホームページ紹介
●飯國信行先生による「社会科リンク集」(http://fish.miracle.ne.jp/no-1192/;図1)
このホームページは、社会科のためのリンク集で、飯國先生が個人的に作っておられるホームページです。社会科に関連するかなりの数のホームページがリンクされています。
「小学校の内容に即したリンク集」では、3年生から6年生まで学習内容に分かれてリンクが提供されています。これとは別に、社会科について「公民的内容」「歴史的内容」「地理的内容」にわかれ、そのなかで詳細な項目に(たとえば歴史なら、〜時代ごとに、そしてデータベースといった情報の種類別に)分類されています。このように、ただリストするだけでなく、学習内容やその分野にそって細かく分類しておけば(分類のしかたによっては混乱をまねくかもしれませんが)、見に来た人たちが、ほしい情報をすぐに見つけることができるでしょう。また、「社会科教育」では、社会科の実践例やNIE、リンク集などへのリンクも提供されています。「社会科教育資料集」では、中教審の答申や、過去から現在までの指導要領を見ることができるようになっています。「今週のおすすめ」として、社会科や様々なことに役立つサイトが、毎回紹介されています。非常に力の入ったリンク集で今後とも期待が持てるページです。
●「生きた社会科」ホームページ(http://www.jeims.co.jp/minwa/syakai/;図2)
こねっとワールドの「調べてみよう!」の「社会」から行けるこのページは、私たちの生活に関連した社会科の様々な事柄について学ぶことができます。特徴的なのは、すべての情報がpdfファイルで提供されているので、ダウンロードしたものを印刷して見ることになるということです(必ずAcrobat Readerが必要となります)。いわばプリント教材を提供しているようなページです。それらの教材は、マンガ風のイラストが使われて、わかりやすく解説されています。例えば、「新聞印刷しくみ」では、新聞の印刷の工程をイラストを使って紹介しています。他にも、「通信の世界をウォッチ 町中のべんりー公衆電話」「私たちの暮らしと電気 電気はなくてはならないもの」「私たちの税についてもっと知ろう」など、様々な話題があります。授業に配布する参考(補足)資料として活用できるホームページです。
●日本標準による「社会科資料集」(http://www.nipponhyojun.co.jp/syakai/;図3)
「社会科Q&A」では、「稲作Q&A」と「歴史Q&A」があり、どちらもいろいろな質問に対しての回答が載っています。例えば、「日本人はお米をいつごろからたべていますか」といった質問などがあります。私のときにはお米は弥生時代からと習った覚えがあったのですが、最近の説では縄文後期にはとっくにお米を食べていたらしいとのことで、新鮮なおどろきがありました。また、「社会科クイズコーナー」では、「稲作クイズ」や「歴史クイズ」があります。3択問題が全部で5問出題され、正誤の応答の他に、解説も少し加えられています。残り回答時間がメーターで表示され、目に見えて減っていくので、クイズ感覚で楽しめるものです。「社会科体験コーナー」では、ベランダでお米をつくるベランダ稲作りの紹介、田植えや古墳見学の体験記があります。「社会科ホームページリンク集」では、小学校5、6年生のために、例えば5年生なら食料生産、工業生産など、分野別に整理されたリンク集が提供されています。
●水木洋さんによる「世界の窓」ホームページ(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hiroshi1/cam.htm;図4)
このホームページでは、世界各地のライブカメラを提供するサイトにリンクをはっています。98年8月17日現在のリンク数が、1168ヶ所ということで、非常に多くのライブカメラがあるということを認識させられます。ちなみに、日本だけでも北は北海道から南は九州まで、ほとんどの都道府県に存在していることが驚きです。世界地図を選択していくと、目的の国のライブカメラのあるサイトのリストが出てきます。たとえば、北米のカナダなら、山の景色やハイウエーの様子、はたまた街の様子までいろいろと見ることができます。ここで見ることのできる画像は「ライブ」なものですから、現在の世界各地の様子を、知ることができるのです。地理の授業で、世界各地のことをとりあげる機会があるときは、地図や写真だけでなく、現在の状況(画像)も一緒に見せることで、子どもたちの興味をひくことができるかもしれません。しかし、時差を考慮しないと、真っ暗(夜)な画面が出ることもあるので、注意が必要です。
●東京水道局による「東京の水道」(http://www.tokyo-teleport.co.jp/tokyo-suido/;図5)
「今日の水源」では、今現在のダムの貯水量や前日との増減を知る事ができます。例えば、水不足のときに見れば、その深刻さがよりいっそうわかるかもしれません。「水道のひ・み・つ」の「水道水ができるまで」では、東京の人たちが普段飲んでいる水がどこから、どのようにして自分の家までひかれているのか、ダムや貯水地、浄水場などが水の来る流れにそって紹介されています。「節水ポイント1・2・3」は節水テクニックが、「水道VSマグニチュード」では、地震時の水の確保の方法(給水地点等)の紹介や、水道の地震対策などが紹介されています。「水道料金」では、料金体系が紹介され、「プレスリリース」では、ダム放流などの速報が載っています。「関連サイト」では、各水道局のホームページへのリンクが提供されています。「WATER NEWS」では、ポスターと作文の作品コンクールの受賞作品が紹介されています。
ここでは、「水ができるまで」をとりあげましたが、夏休み特集8月号で紹介した、夏休み宿題お助けリンク集「〜の出来るまで…」(http://ac3.aimcom.co.jp/~kayoko/natu.htm)を参照すれば、様々なものの作成工程を見ることのできるページへ行けます。社会科関連で他のサイトからリンクの多かったのは、「日産九州工場見学」(http://www4.nissan.co.jp/COMPASS/TOUR/K-FACTORY/index.html)の車のできるまでの工程を見られるホームページや、川鉄グループの「鉄が出来るまで」(http://www.kawasaki-steel.co.jp/)など、どちらも動画等を取り入れたホームページです。
●東京工業大学教育工学開発センター によるオンライン学習「日本の国土の成り立ちと自然」(http://gakusyu.cradle.titech.ac.jp/contents/kokudo/;図6)
オンライン学習教材の一例として、このホームページを紹介しておきます。ここでは、日本の国土の成り立ちを学ぶ社会科の教材を公開しています。「日本の位置と範囲」では、日本の位置を地球儀で把握したり、、「日本の地形」では、三角州のでき方がアニメーションを見て学んだり、扇状地やリアス式海岸なども同様にぐるぐるとまわるアニメーションなどを見る事ができます。そんなに文字数はなく、どちらかというと絵(アニメーション等)で理解させるようなタイプの教材になっています。
●飛鳥資料館ホームページ(http://www.cgc.co.jp/ASUKA/;図7)
「Virtual ASUKA HISTORICAL MUSEUM」では、飛鳥時代に関するあらゆる情報を見る事ができます。「飛鳥の時代」では、飛鳥前史にはじまり、飛鳥時代の範囲や、「飛鳥」という地名についてなどが、図とともに解説されています。他にも、「飛鳥の宮」、「飛鳥の石」「飛鳥の古墳」「飛鳥と万葉集」など、多くの解説があります。「飛鳥時代年表」で、年表を見る事もできます。当然、その年表の各項目からは、リンクがはられており、関連の項目へ進んでいくことができます。「索引」はきちんと整理されており、地名・時代、人名、宮・建物、石・古墳等いろいろな方法で情報をすばやく探す事ができます。このホームページは、例えば授業中に使用する社会科の資料集のような(それよりも詳しいものとしての)活用法が考えられます。また、 「エキスパートデータシリーズ」は、各遺跡調査を専門的に解説した情報を公開して行くコーナーで、法隆寺金堂の壁画「飛天」などについてかなり詳しく書かれており、歴史に詳しい社会科の先生でも、楽しむ事ができるサイトです。
●中田太三さんによる「雅楽」ホームページ(http://www.zipangu.com/Gagaku/;図8)
日本の古くからある伝統芸能を紹介しているホームページとして、雅楽のホームページを紹介します。「雅楽の解説」では、様々な雅楽の種類が紹介され、またその各々の音を実際に聞く事ができます。「雅楽の楽器」では、雅楽で使われる楽器がひとつずつ詳細に紹介され、これもその音を聞く事ができます。「情報」では、雅楽に関するイベント、書籍、CDなどの紹介があります。授業中に伝統芸能などを教える場合に、やはり実際の様子(この場合は音)がわかるかどうかは、動機づけや学習効果の面にかなり大きい差があると思います。最近では、こういった伝統的芸能や工芸を、よりリアルに紹介しよう(動画、音声、VR)というサイトが増えてきていますので、もし教える機会があったときは利用されてみてはいかがでしょうか。
●最高裁判所ホームページ(http://www.courts.go.jp/;図9)
「裁判所の組織」として、最高裁判所についての解説をはじめ、高等、地方などの裁判所が説明されています。「全国の裁判所」として、日本全国にある裁判所の情報(所在地など)が紹介されています。また、「最高裁バーチャルツアー」では、普段はなかなかお目にかからない、大法廷など見る事ができます。その際、マウスの操作によって,自分の向いている方向を自由に変えてぐるっと360度見渡したり、ズームイン(アウト)することができます。画面内の物(銅像や法廷の席など)をクリックすることで、詳しい説明を見ることもできます。また、それぞれの場所では、通常の見学者がよくする質問をQ&A方式でまとめてあります。授業中に大画面に映し出して、裁判所のなかを見せてあげる、教室に居ながらの見学会というのもの面白いのではないでしょうか。また、傍聴についての解説や、裁判所からの広報、司法統計、手続きの方法も紹介されています。
司法をとりあげたら、一応立法と行政もということで、たとえば、立法機関(国会)関連としては、衆議院(http://www.shugiin.go.jp/)と参議院(http://www.sangiin.go.jp/)のホームページ、行政機関としては、首相官邸(http://www.kantei.go.jp/)のホームページに内閣の情報が載っています。また、これらのホームページからさらに関連サイトへのリンク(首相官邸からは省庁へ)があります。
●住友商事ホームページ(http://www.sumitomocorp.co.jp/;図10)
「世界の物価レポート」では、各地域(アジア、中近東、アフリカ、など)の経済・社会・生活の簡単な紹介があるとともに、特に面白いのが「1997年世界の物価・サービス料一覧」として、米(10kg)、パン(1kg)とはじめ、ワイシャツ、乗用車など、31品目に及ぶ価格が円に換算されて載っています。よって、日本と比較して世界各国の物価がどれくらい高いのか安いのかがわかります。さらに、「 1997年の価格差」では、東京を100とした各品目の価格差を円グラフで見やすく表示しています。「物価が語る社会の背景(1997年)」では、ひとつの品目に対しての、各国の価格がグラフで並んでいるので、国別の比較を見る事も出来ます。
他にも、「世界の暮らし」として、海外に駐在する駐在員が,現地でしか入手できない生活情報を提供するという、各国の文化などを紹介しているページや、「経済動向」についてのページもあります。
自薦・他薦のホームページ紹介
●Multi-Cultural-Pediaスタッフによる「Multi-Cultural-Pedia(異なる文化を楽しみながら学ぶ事典)」(http://www.netlaputa.ne.jp/~tokyo3/;図11)
ここは、世界中の異なる文化を学べるホームページです。例えば、「世界のじゃんけん」では、世界各国のじゃんけんをリストした表があり、また、そのじゃんけんの解説も載っています。じゃんけんのルーツを知ることもできます(いろいろな見方があるようですが)。「世界で活躍するドラえもん達」では、各国でドラえもんがどのように呼ばれているのか、他にも、月に何が住んでいると伝えれているのかや、しゃっくり、くしゃみ、色、などなど実にさまざまなものに関して、異文化ではどうなのかを知る事ができます。特に「抜けた歯を」では、世界各国でやり方は違っても(日本では下の歯は屋根の上に投げ、上の歯は縁の下に投げ入れるですが)、子どもの成長を願うという根底に流れる思いは共通だということを強く認識させられます。とりあげている話題は、子どもたちにも楽しんでもらえるような身近なものばかりです。これらの情報は、実際にネイティブから取材しているということです。これから国際化社会になっていくなかで、子どもたちの目を世界にどのように向けていくか、と考えたとき、その入り口としてこのホームページが使えるのではないかと思います。おすすめですので、ぜひ一度のぞいてみてください。
自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/new/
図1 飯國信行先生による「社会科リンク集」
図2 「生きた社会科」ホームページ
図3 日本標準による「社会科資料集」
図4 水木洋さんによる「世界の窓」ホームページ
図5 東京水道局による「東京の水道」
図6 東京工業大学教育工学開発センター によるオンライン学習「日本の国土の成り立ちと自然」
図7 飛鳥資料館ホームページ
図8 中田太三さんによる「雅楽」ホームページ
図9 最高裁判所ホームページ
図10 住友商事ホームページ
図11 Multi-Cultural-Pediaスタッフによる「Multi-Cultural-Pedia」
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