教科別ホームページ紹介その2
第1回
〜理科関連のホームページ
市川 尚(岩手県立大学ソフトウエア情報学部)
はじめに
前回までは夏休み特集として、いつもとは違った観点からホームページを紹介してきました。今回からは、以前に戻って教科別にホームページを紹介していきます。これは、以前97年4月号から98年3月号までも連載してきましたが、また再開するという形になります。これまでに紹介したページとは、なるべく重複しないように紹介します。
教科別紹介その2開始の今回は、理科関連のホームページ紹介です。以前、紹介したページは次のものです(これがすべてではありませんが、97年5月号に理科関連のホームページとして紹介したものです)。詳しくは、バックナンバーを入手して(お持ちの方は読み返して頂く)か、バックナンバーホームページをご覧ください。
- 福島県葛尾中学校「理科の部屋」
(http://www.katsurao-jhs.katsurao.fukushima.jp/)
- 理科教育メーリングリストのホームページ
(http://rika.ed.ynu.ac.jp/)
- http://svr.togane-ghs.togane.chiba.jp/">千葉県東金高等学校のザ・ナインプラネッツ
(http://svr.togane-ghs.togane.chiba.jp/)
- 滋賀県平野小学校(http://www.hirano-es.otsu.shiga.jp/)
- 仙台市科学館(http://www.smus.city.sendai.jp/)
- 東京都第四大島小学校(http://www.mef.or.jp/~katanaka/)
- 日本気象協会(http://www.jwa.go.jp/)
- 山口教育大学付属光中学校(http://hostw.hikari-jhs.yamaguchi-u.ac.jp/)
- 山形県白沼小中学校(http://toki.ed.niigata-u.ac.jp/~kon/)
- 全国発芽マップ(宮崎教育大学付属小学校)(http://www.fes.miyazaki-u.ac.jp/)
- 岡山芳泉高等学校「理科実験・観察データベース作成プロジェクト 」(http://www.hosen-hs.okayama.okayama.jp/)
- 美里天文台(http://www.obs.misato.wakayama.jp/)
- 学研サイエンスキッズ(http://kids.gakken.co.jp/)
- NHKやってみようなんでも実験(http://www.nhk-ed.co.jp/)
今回は、これ以外のホームページを紹介していきます。
理科関連のホームページ
博物館・科学館など
最近では、多くの博物館や科学館などから大変有用な情報が公開されています。もとから素材や資料が豊富なところですから、ホームページ上の情報の充実度もかなりのものがあります。今後ますます発展していってほしいものです。
●国立科学博物館(http://www.kahaku.go.jp/;図1)
「特別展」では、これまでに行われてきた特別展の内容が詳細に紹介されています。例えば、「大恐竜展」(1998年7月11日(土)〜10月11日(日))では、開催要項、展示される恐竜の画像をはじめ、恐竜の組み立て方の様子が画像で紹介されています。大きな恐竜の模型がどのようにできあがっていくのかは、なかなか普段は裏に隠れてお目にかかることのない内容です。
「かはくHP集」では、博物館での研究の一端が紹介されています。例えば、「国立科学博物館地震資料」として、昔からの地震計の紹介や、関東地震、濃尾地震などが写真入りで解説されています。「日本の桜」、「コケ植物」では、画像などがデータベース化されており、調べる事ができるようになっています。「海棲哺乳類ストランディングデータベース 」(イルカ ・クジラ)、「人骨標本コレクション」、「アオコをつくる藍藻」(藍藻)などもあります。これらの情報は、どちらかというと専門的な雰囲気で紹介されています。
また、研究活動(古いページ上にある;移行作業中とのこと)には、「サイコム・プロジェクト」に関する情報が公開されています。これは、自然に対する感動、科学に対する理解を深めることを目的として、1997.4.1〜1998.3.31まで実施された、科学系博物館とNTTとのインターネットを利用した共同実験です。そのうちのひとつの、「実験バンク」では、理科の実験・観察プログラムが、分野別や教育要領別にリストされています。例えば、小学校4年生の理科では、「電池をつくろう」があり、材料/器具、方法/手順、Q&A、参考文献のページがあります。「自然観察マップ」では、自然観察の情報が提供されています。 「かわらの小石の観察」には、川(荒川、多摩川、相模川)の石をみつけた観察場所の紹介や、交通機関、観察記録(画像)が載っています。興味のある人たちのために、日本列島の地質/地層という参考資料も載せています。このようなプロジェクトに見られるように、現在各博物館等がインターネット利用を模索しはじめ、様々な情報がホームページ上に公開されてきています。
●兵庫県立 人と自然の博物館 (http://www.nat-museum.sanda.hyogo.jp/;図2)
「収蔵品・展示物」には、自然に関するデータがたくさん公開されています。そのなかの「収蔵品」では、貝・鳥・昆虫・植物・化石等の画像データベースが公開されており、名前で検索したり、画像一覧から探すことができます。「鳴く虫の動画」として、動いている様子を見る事もできます。そして、なんといってもこのホームページで特徴的なのは、「日本の昆虫・野鳥・カエルの鳴き声」です。ここでは、240種にも及ぶ、コオロギ類、キリギリス類の鳴き声、セミの鳴き声、野鳥の鳴き声 、カエルの鳴き声を聞く事ができます(一部画像も見られる)。例えば、コオロギ類だけをとってみても、70種近くの鳴き声が登録されています。秋は、鳴く虫のシーズンですから、その機会にここで鳴き声を調べることも面白いかと思います。
また、兵庫にある博物館ですので、地元に密着した情報も数多く見る事ができます。「兵庫百景 」では、地図を選択してくことで、兵庫の文化遺産などをめぐるコースの紹介が出てきます。「兵庫の公園」といった公園の紹介や、「植物画が語る兵庫」として、きれいな植物の絵が紹介されています。「博物館展示クイズ」では、ホームページに載っていることがらについて(兵庫の動植物等)の3択問題が小学校、中学校、高校用と用意され、実際に回答していくと、採点してくれます。トップページの「イベント」には、年間スケジュールなど博物館で行われるもようしものについて、かなり詳しくしることができます。「博物館案内」では、館内の展示に関して説明されています。
このように、博物館にあるさまざまなデータを教室にいながらにして、参照することができるようになってきました。 授業での調べ物への活用(データベース的使用法)、画像データ(ホームページをまるごと)を教材として授業で提示するなど、活用の用途は広いです。博物館に訪れる子供たちの引率の先生方の(子どもたちにも)事前学習の材料としての活用も期待できます。
●横浜こども科学館(http://www.city.yokohama.jp/yhspot/ysc/ysc/ysc.html;図3)
ここのホームページは、天文関係の情報が充実しており、多くのところからリンクがはられています。「宇宙・天文ニュース」では、流星群の話をはじめとして、天文関連の話題が頻繁に更新されています。タイムリーな話題もここで知ることができます。わかりやすい解説に、各関連ページへのリンクが散りばめられ、知らないうちにいろいろなページを参照するような作りになっています。「人工衛星情報」では、人工衛星に関する解説へのリンクが提供されています。「人工衛星についてよくきかれる質問と答え集」では、画像入りで解説してくれています。「天文民俗学のページ」では、「日本の星の伝説」をはじめ、世界各地のさまざまな星に関する民話を知ることができます。特に、日本各地の民話は、地域ごとにかなり詳しく紹介されており、自分の地域につたわる伝説を知っておくのも面白いことでしょう。
学校や先生方からの公開
学校ホームページからも、理科関連の情報はたくさん公開されています。学校からの発信ですから、授業に視点をおいた発信であり、先生方の参考になる部分も多いはずです。たとえば、授業実践の紹介(指導案、様子)、授業で作成した作品集、リンク集など、多岐にわたっています。また、学校だけでなく、先生方が個人(またはサークル)で草の根的に公開されているページもかなりあります(これは理科のホームページの特徴とも言えるでしょう)。このなかから、少しだけ紹介します。
●岡山県玉野市立東児中学校ホームページ(http://www.tamano.or.jp/usr/s-nochi/toji2-3.htm;図4)
この学校のホームページでは、理科の情報が充実しています。「理科」のページは、地球の環境について学習するために、まず身のまわりの自然を調査・観察していこうというコンセプトでつくられています(ここのページには、Dr.ムーン の理科のページとして直接リンクしているところもあります)。「身近な自然の観察・調査」では、3年間の理科の授業内容にあわせての計画が紹介されています。そのなかには、例えば、「我が家の消費電力量節約のためのエコライフ」として、消費電力量を見直したり、節電をチェックするための情報など、計画の中身が載っているところもあります。「ワクワク・コラム」では、理科に関連したコラムが頻繁に更新・掲載されています。「バス釣りと水生昆虫を楽しもう!(7月25日)」をはじめとして、結構読み応えのある楽しい内容です。「環境を観る目テスト」では、水の汚染や大気の汚染などの自己採点表などがあります。「自然トピックス」では、一年間の月ごとに、身近に見られる自然現象を紹介しています。例えば、10月には、「火星とアンタレスが並ぶ」や、「ジョウビタキがやってくる」が解説されています。
「理科の情報」からは、理科に関するリンク集が提供されています。
●檀上先生による「高校物理実験室」(http://village.infoweb.or.jp/~fwbc3325/;図5)
このホームページでは、物理の授業で実際に行った演示実験や生徒実験を紹介しています。実験は、力学、熱力学、波動、電磁気、原子の項目にわかれていおり、「力学関連」では、第1回重心はどこ?をはじめとして、13回分の実験が紹介されています。そのそれぞれに、単元や対象(校種、学年)、内容として目的、準備、方法、結果、などがあり、それを見てすぐに実践できるような情報が発信されています。物理の先生方にとっては非常に有用な情報と言える。「リンク集」には、理科関連のホームページ(特に先生方が公開しているページ)へのリンクがはってあります。
●阿達先生による「教材としての走査型電子顕微鏡画像集」(http://www.asahi-net.or.jp/~qf7n-adc/;図6)
このページでは、普段は入手しにくい、高倍率の画像(走査型電子顕微鏡の画像)を先生方にフリーで提供してくれています。「画像集一覧」では、提供されている画像をすべて見る事ができます。カテゴリは、大きく動物と植物にわかれ、動物では昆虫をメインに、植物では、花粉や気孔、胞子、菌類まで、多岐にわたって、大量の画像が公開されています。また、そのひとつひとつに若干の解説がそえられています。このようになかなか入手しにくい情報をお互いで共有しあうためにホームページを活用すれば、かなり有用なものとなるでしょう。それは、別に特別な画像だけでなく、みなさんがそれぞれ持っている、学校や教室の壁にはばまれて普段はお目にかかれない授業の内容であってもいいのです。
●津坂先生による気象衛星「ひまわり」雲画像集(http://www.japan-net.or.jp/~tsusaka/;図7)
これまで、気象関係のホームページは紹介してきましたが、授業に役立つための気象情報をまとめたページを紹介します。この気象衛星「ひまわり」雲画像を提供しているホームページは、梅雨や台風の時期であるとか、それぞれの季節別になど、たくさんある雲画像の中から、使えそうなものを画像集として提供しています。その時点での雲画像がアーカイブとしてまとめられているので、一括してダウンロードしてくることができます。それを連続再生するソフトを使用して、雲の動き(変化)を参照することができます。画像集は、愛知教育大学地学教室サーバーから提供されています。再生ソフトは9801用だそうですが、DOS/V機でも出来る方法が説明されています(Windows用)。このページは、インターネットで提供されている雲画像が、その場その場でのリアルタイムなものがほとんどで、教科書の内容の学習の時には、ほとんど役に立たないという趣旨のもとで作られたそうです。このように、リアルタイムだけでなく、それを連続して再生できる機能がつくと、変化を追うことができるようになり、貴重な資料となっていくことでしょう。
興味があったら見てほしいページ(理科とは関係ありません)
●ThinkQuestJapan(http://www.thinkquest.gr.jp/;図8)
ThinkQuest は、12才から19才の中高生2〜3人+コーチでチームを組み、何かを学ぶためのWebページを作成し、その出来映えを競うという、教材Webページ制作コンテストです。 96年に米国で開始されたもので、98年度からは日本でも活動を支援するThinkQuestJapanが発足し、日本語によるWebベース教材を作成するコンテストを開催します(ようは日本語版のThinkQuest)。今回紹介するのが、そのホームページです。ここでは、コンテストの案内をはじめ、過去の作品を見る事もできます。ちなみに、ThinkQuestの昨年度の最優秀作品は、地球が空に触れる場所:ヒマラヤ山脈というタイトルものです(英語版ですが一度ご覧になってみてください。レベルの高さが伺えます)。 また、よく不明確になりがちな審査基準等も明確に示されていますので、かなりきちっとしたコンテストと言えるでしょう。対象は、「中学生・高校生の部」があり、他にも日本ならではのものとして「学生・社会人の部」というものもあります。1998年7月1日〜1999年1月31日を Webページ制作期間として開催されますが、申込締切:1998年9月30日ですので、まだ申し込みは間に合います(この号が出るのが9月上旬ですから)。もし、興味があれば参加してみてはいかがでしょうか?
自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/
図1 国立科学博物館
図2 兵庫県立 人と自然の博物館
図3 横浜こども科学館
図4 岡山県玉野市立東児中学校「Dr.ムーンの理科の授業」
図5 高校物理実験室
図6 教材としての走査型電子顕微鏡画像集
図7 気象衛星「ひまわり」雲画像集
図8 ThinkQuestJapan
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